HPH-MT8インタビュー / 作曲家・編曲家 ArmySlick氏/Hiroki Sagawa氏

Japan/Tokyo, Aug. 2021

サウンドの品質・定位感・再現性 どれをとっても
「HPH-MT8」は従来のヘッドホンに感じていたストレスを感じさせない

左「ArmySlick」氏 / 右「Hiroki Sagawa」氏

現在、お二人が行っている、コライト(共同音楽制作)について、教えていただけますか?

Hiroki Sagawa:複数の作家が共同で曲作りすることを「コライト(Co-Write)」と呼んでいます。最近の洋楽の作曲クレジットなどを見ると、何人もの名前が列挙されているのを、皆さんもよく目にすると思います。あれは、すべて1つの楽曲を作り上げるまでに関わったクリエイターの名前なんです。

ArmySlick:特に、海外では以前からコライトでの作曲が行われていますよね。最近では、日本でも頻繁にコライトが行われるようになり、個人的にもここ最近の作曲はほぼすべてがコライトといっても過言ではないような状況です。クリエイターそれぞれに得意・不得意があるので、それぞれの得意分野を生かして、より良い曲を生み出そうという試みです。

様々なヒット曲を世に送り出しているお二人が、「HPH-MT8」にご興味を持ったきっかけとは?

ArmySlick:普段からSNSで、クリエイターの皆さんが「HPH-MT8」の情報をアップしていて、評判も良さそうだったので、かなり気になっていたというのが正直なところです。 「HPH-MT8」を試す機会があり、個人的にはそのサウンドに「ヤマハの本気」を感じました!(笑)

Hiroki Sagawa:知り合いのクリエイターの方が、実際に「HPH-MT8」を使っていらして絶賛の声を耳にしたのがきっかけでした。正直、ヤマハのヘッドホンに対しての印象は強くなかったですし、僕も実際に「HPH-MT8」のサウンドを聞いてみたいと思っていたところでしたので、「HPH-MT8」を試す機会に恵まれて本当にラッキーでした。

実際に、クリエイティブの現場で「HPH-MT8」を使用してどんな印象や感想を持たれましたか?

Hiroki Sagawa:「HPH-MT8」のサウンドを聞いた瞬間に、ローエンドからハイエンドまでのサウンドの伸び、ステレオ感の豊かさに驚かされました。良い意味で予想を裏切られるほどのクオリティーというのが、僕の第一印象ですね。ArmySlickさんも先程おっしゃっていましたが、ヤマハがとうとうモニタースピーカーだけでなく、ヘッドホンにも本気を出してきたかと!(笑)

ArmySlick:サウンドレンジの広さ(特にローエンド)に加えて、その解像度の高さには感心させられました! ヤマハといえば、テンエム(NS-10M)から受け継がれるモニタースピーカーの存在感が大きい印象ですが、素直で癖がなくフラットな「HPH-MT8」も、まさにクリエイティブの定番ヘッドホンとなりそうな予感を感じさせるものがありました。

様々なシーンに対応できる「HPH-MT8」は、制作だけでなく
楽器をプレイする際のモニターとしても素晴らしい!

お二人は、どのような場面でヘッドホンをよく使用されていますか?

Hiroki Sagawa:作曲・編曲・ミックスといった一連の作業の中で、それぞれのシーン毎に最適なヘッドホン、モニタースピーカーを使い分けるようにしています。現在もいくつかのヘッドホンを使用していますが、今後は「HPH-MT8」もその選択肢の1つとして活躍してくれると思います。個人的には、ヘッドホンとスピーカーを切り替えたときに、まったく違和感がないのが理想なのですが、「HPH-MT8」はその理想にかなり近いものがありました。ちなみに、機器のサウンドチェックではリファレンス音源として自分の楽曲を用いて、サウンドを確認することが多いですね。

ArmySlick:実は、僕の制作シーンでは、ほぼヘッドホンを使用せずモニタースピーカーのみで作業を行っています。逆に、ベーシストでもある僕にとってヘッドホンはレコーディングの際に欠かせない必須のアイテムといった存在です。先程、「HPH-MT8」は素直でフラットなサウンドとお伝えしましたが、それだけでなく楽器プレイヤーのテンションをあげてくれる絶妙なサウンドも兼ね備えていると強く感じました。ベースを弾きながら思わず楽しくなる、それでいてプレイのミスなどはシビアにジャッジできるのが素晴らしいです! また僕の場合は、サウンドチェック用に、Halsey(ホールジー)「Graveyard」やTroye Sivan(トロイ・シヴァン)「Wild」などお気に入りの楽曲をまとめたプレイリストを用意しているので、それをリファレンスにしています。

「HPH-MT8」のルックスやデザイン、装着感などについていかがでしょうか?

Hiroki Sagawa:制作中には、ヘッドホンを長時間にわたり装着し続けることも多いのですが、「HPH-MT8」は、最初の段階から側圧もちょうど良く、絶妙なイヤーパッドの形状と弾力のおかげで、まったく耳が痛くならないのが本当にありがたかったです! あくまで自然なつけ心地で、個人的にはその部分一点をとっても、制作用ヘッドホンとしてかなりの好印象でした。

ArmySlick:「HPH-MT8」はあくまで、制作者向けヘッドホンという位置づけだとは思いますし、シンプルで無駄のないデザインはとても好感が持てます。カールコードとストレートコードがあらかじめ付属していて、いざというときには簡単にリケーブルできる点も制作現場では心強いです。それから、「HPH-MT8」のコストパフォーマンスの高さも大きな魅力! 上をみれば切りがないプロ用モニタリング機器の世界で、学生でも購入可能な価格帯で、このサウンドクオリティーを得られるなら超コスパ最高じゃないですかね!(笑)

最適なサウンド環境を実現してくれる「HPH-MT8」は
必須のモニタリングツールとしてオススメ!

ヘッドホンを活用するメリットやおすすめの活用法について教えてください。

ArmySlick:モニタースピーカーで正確なサウンドを再現するには、それなりの再生環境と音量でスピーカーを鳴らしてあげることが条件になりますが、日本の住宅事情においてはプロでもスタジオ以外でその条件を満たすのはかなり厳しいところ。一方、ヘッドホンである「HPH-MT8」なら、部屋の影響を受けず外部への騒音も気にすることなくフラットなサウンドを再現可能です。そういった意味では、音楽制作を始めた方々にも、ヘッドホンを積極的に活用していただきたいですね。

Hiroki Sagawa:コライトに参加させていただく機会も増えていますので、それぞれのモニタリング環境の違いに影響を受けずにサウンドを正確にモニターできる「HPH-MT8」は、クリエイター同士のリファレンスサウンドとしても活躍してくれることでしょう。また、今後は、コライトの現場だけでなく、レコーディングやマスタリングの際に「HPH-MT8」を持ち込むだけで、手軽に自分のリファレンスサウンドで確認できるというのも大きなメリットとなりそうです。

最後に、モニターヘッドホンの導入を検討している音楽制作ユーザーの方々へのメッセージやアドバイスをお願いします。

Hiroki Sagawa:ヘッドホンは、僕にとってどこにでも手軽に持ち運べる相棒のような存在。ヘッドホンなら、コライトなどのいつもと違う制作スタジオでも慣れ親しんだ自分のモニタリング環境でいつでもサウンドをチェック可能です。日頃から、自分の耳をヘッドホンをベースにチューニングしておけば、どんな制作現場でも正しくそのサウンドにフォーカスすることができ、自分の思い描くサウンドにより近づきやすくなります! ぜひ皆さんも「HPH-MT8」を活用し、理想の音作りに挑戦してみてください。

ArmySlick:自室の限られた環境では、モニタースピーカーから最小限の音量で音を鳴らしつつ制作作業を行うことも多いのではないでしょうか。しかし、小さい音量で作業を続けていると、何か物足りない気がして、つい音数を増やしたり余計なアレンジを加えたりしがちなんですよね。さらには、楽曲としてのスケール感までもが小さくなってしまいますので、ときにはヘッドホンから(耳を傷めない程度の)大音量で、楽曲をモニタリングして制作を行うことも、とても重要だと思います。最適なモニタリング環境を整えるのが難しいからこそ、必須のモニタリングツールとして「HPH-MT8」はオスススです!


Profile

Hiroki Sagawa

1986年、埼玉県生まれ。母がオルガン奏者だった為、3歳よりピアノを習い、中学時代にはロックバンドのギターボーカルとして活動。16歳の時、現代音楽の作曲家・野村茎一氏に師事し作曲を学ぶ。その後パンスクールオブミュージックに進学し、音楽理論、DTMなど幅広く学びぶ。2008年より作曲家、編曲家としてのキャリアをスタートする。幼い頃から聴いていた歌謡曲と現代のトレンドをクロスオーバーさせた、唯一無二のロジカルなメロディラインには定評があり、2012年に作曲を担当した、三代目 J SOUL BROTHERSの「花火」で第54回日本レコード大賞、「優秀作品賞」を受賞。メロディメイクに加え、多彩なジャンルの編曲もこなす。

https://www.relic-lyric.com/hiroki-sagawa

ArmySlick(アーミースリック)

東京都出身、作曲、編曲、Remix、BassPlayerまで幅広いフィールドで活動。
E-Girls、AAA、Dream Ami、宇野 実彩子、大原 櫻子、つばきファクトリー、KARA、V6、SUPER☆GiRLS、モン吉、乃木坂46、SMAP、May J.、BoA、板野友美、瀬川あやか、宮脇詩音等への楽曲提供/編曲を手掛けている。
AAAに提供した「愛してるのに、愛せない」が、第57回レコード大賞優秀作品賞を受賞。Bassを濱瀬元彦氏、Contrabassを田中洪至氏、Piano、編曲、楽理を高橋信博氏に師事。一方、nukes名義で海外のHouseシーンでも活躍。1999年に自身のLabelからReleaseしたSingleがNew Yorkで爆発的ヒット、Danny Tenaglia、Junior Vasquez等の世界トップクラスのDJのChartに入ったのを皮切りに、アメリカ、イギリス、カナダ、イタリア、オーストラリア、マレーシア、ギリシャなど世界中のLabelから自身の作品を多数Releaseし、最前線のDJの常に高い評価を得て、Chartを総ナメに。

https://bavtronix.me/


データ

製品情報 HPH-MT8