CS-30 生産完了品
パッチングワークがワンタッチで。
VCO2基、VCF2基、VCA2基だけを組合わせても、フローイングは50通り以上。エンヴェロープジェネレーター3基を加えると、無限に近い組合わせが考えられます。スタジオシステムの場合には、はん雑なパッチングワークが必要。従来のパフォーマンスタイプのシンセサイザーの場合は、ある程度フローイングの可能性を限定することで、演奏性を保ってきました。CS-30はパッチング操作をノブ方式の切りかえスイッチによりまとめているため、演奏性を損なわず、無限の可能性が引き出せます。
3基のEG、5種類のエンヴェロープ曲線
CS-30はエンヴェロープジェネレーター(EG)を3基内蔵。そのうちEG1はヤマハ独自のイニシャルレベル(IL)とアタックレベル(AL)、そしてアタックタイム(A)、ディケイタイム(D)、リリースタイム(R)のコントロール。EG2とEG3ではアタックタイム(A)、ディケイタイム(D)、サスティンレベル(S)、リリースタイム(R)のコントロール。さらに、EG1とEG2にはリバース(逆相)曲線も。あわせて5通りのエンヴェロープ曲線を、ピッチコントロール部、VCF1、VCF2、VCA1、VCA2などに自由に使えます。全てを異なるセッティングにすれば、微妙かつ複雑な音づくりも可能。またプリセットした5種類のEGとして使えば、ライブ演奏中にVCFエンヴェロープを次つぎに切りかえていく、というハイテクニックも可能。さらにEGの変化時間を5倍に伸ばし、極めてゆっくりのエンヴェロープもつくれます。
シーケンサーはCS-30最大のメリット
シーケンサーとは、何種類かの記憶させた音程を順次引きだすことでVCOを駆動させ、オートリピート演奏を可能にする-という装置です。CS-30のシーケンサーは8音分。キイボードで音を選び記憶させることはもちろん、キイボードでは得られない中間音のパターンを記憶させることや、人間の指では不可能なアルペジオを展開することもできます。2基内蔵されているVCOの片方でシーケンサーによるベースライン演奏、もう片方のVCOでアドリブ演奏、という新しい使い方もあります。
VCOブロックとピッチコントロールブロック
VCOブロックでは、基本の波形と音程を決定します。CS-30にはVCO1、VCO2の独立したオーディオ信号用オシレーターのそれぞれに、6段階のフィート切りかえを装備。VCO2にVCO1の数オクターブ上の周波数を発振させたり、ピッチコントロールブロックのディチューンノブによって、VCO1、VCO2のチューニングを小さくも大きくも、ずらすことができます。
VCFブロックとキイボードフォロー
音色を決定するブロック。VCOから送られてきたオーディオ信号をフィルターに通し、さまざまな倍音をカット・強調して音色を合成します。VCF1、VCF2のそれぞれに、VCO1、VCO2からの信号を自由に流すことも、VCO以外の外部のオーディオ信号をフィルタリングすることも可能。さらにこのVCFの大きな特長は、キイボードフォロー機能です。本来はカットオフ周波数をキイボードの音程に合わせてスライドさせ、均一な音色を得るためのものですが、例えばキイボードの変化の倍の動きにセットすれば、鍵盤の高音部にいくほど、きらびやかな音が得られるなど、幅広い使い方ができます。
LFOブロックとモジュレーション
LFOブロックは、オーディオ信号に対するモジュレーション(変調)のための、低周波オシレーターです。ピッチ(周波数)に対して働かせればビブラート、VCAに対して働かせ音量を変化させればトレモロ、VCFに働かせカットオフ周波数を変化させればワウワウに。また矩形波パルス幅モジュレーションにも使われます。選択できる音の波形は正弦波、のこぎり波、逆のこぎり波、矩形波、サンプル&ホールド、外部からの信号-の6種類。そして、以上のパッチングは全て、ノブスイッチで行われますから、操作性は抜群です。また、VCA2にあるリングモジュレーターによって、VCA2を通過する信号をリング変調することができます。このリング変調とは、オーディオ信号に変調信号を与え、その和と差の信号を得る効果。例えば変調信号周波数が小さいときは、音程感のあるウナリを伴った音。変調信号周波数がオーディオ信号に対して充分に大きいときは、キイに対応した音程感が失なわれ、鐘の鳴るような、特殊なサウンドを得ることができます。
ポルタメントとピッチベンド
CS-30にはエフェクトとして、ポルタメント、ピッチベンドが装備されています。このうちポルタメントは、2つの異なる音程のキイを押し、その間の音程をなめらかにグライドさせる効果。ピッチベンドはその名のとうり、演奏されているピッチを上下にずらす効果です。CS-30のベンダーは、つねに基準ピッチの位置に戻りますから、スピーディな演奏に応えます。
トリガーと出入力端子
トリガーとはエンヴェロープジェネレーターを始動させる信号。CS-30はマルチトリガリング、シングルトリガリングの切りかえが可能。またエクスターナルインプット、トリガーインプットがついていますから、外部からのオーディオ信号をVCOのかわりに、音源に使用。ギターにつないでVCF、VCAでコントロールすることもできます。さらにトリガーアウト、キイボルトイン、キイボルトアウト、シーケンサーキイボルトアウト、シーケンサートリガーアウトなどの端子も装備。他のヤマハシンセサイザーを接続し、CS-30でコントロールしたり、逆にもう1台のシンセサイザーで、CS-30をコントロールするといった使い方もできるわけです。