VL1 Version1 生産完了品

このシンセサイザーに触れた時、まったく新しい楽器が誕生したことを思い知るでしょう。<バーチャル・アコースティック・シンセサイザーVL1>。自然楽器の発音構造をヤマハ独自の最先端デジタル信号処理技術によって徹底的に解析し、"仮想楽器"を無尽蔵に創出する世界初の音源方式をビルドイン。FM→AWMに続くデジタル音源の"第三の波"というポジショニングすら優に超越して、むしろ"究極のデジタル音源"と呼ぶに値するサウンド・メイキング・テクノロジーの思想が、音楽シーンの無限なる未来を切り拓きます。

VL1は「物理モデル」をベースにした世界初の<VA音源(Virtual Acoustic Synthesis System)>を搭載。発振音を擬似的に合成したり、メモリー中のウェーブを加工して音づくりをおこなってきた従来方式の音源とは次元の異なるニュータイプのデジタル音源です。「物理モデル」とは、自然楽器が発音する原理(物理現象)を模式化して仮想的に楽器を再現する技術手法のこと。VL1ではまず管楽器のリードや管の特性、弦楽器の弦や胴の特性など、自然楽器の発音構造と同じ物理特性を模した"仮想楽器"を本体内で設計。この仮想楽器に信号を送って振動を発生させ、楽器内部の空気の共振を得ることで音を生みだします。つまり自然楽器の音色をシミュレートするのではなく、自然楽器とまったく同じ発音原理そのものを精密に再現するわけです。このため音と音のつながりや自然な音色変化といった従来の音源方式ではカバーし切れなかった部分も、驚くべきスーパー・リアリズムで再現します。

またVA音源ならではの独壇場として、フルートの管にサックスのリードを取り付ける、あるいはトランペットのマウスピースとバイオリン弦・胴体を合体させる、などといった実在しない架空の楽器モデルをも自在に設計することが可能。想像を絶する仮想楽器も無限に創ってしまう、驚愕の音のバーチャル・リアリティがここに。

自然楽器の特性に合わせて<VA音源>にも幾つかの個性があります。VL1は<S/VA方式(Self oscillation type /VA Synthesis system)>を採用。一定の圧力を与え続けることによって発振を得るタイプの楽器を物理モデルとして設計します。このためサックスやフルートなどの管楽器、バイオリンやチェロなどの弦楽器の音色再現にとりわけ威力を発揮。

振動や共振を生み出して楽器音を創る<インストゥルメント>、倍音成分の調整や楽器音の味付けをする<モディファイア>、そしてリアルタイムに音の表情を操る<コントローラー&エンベロープ>、以上3ブロックで音色をシンセサイズ&コントロール。とくにモディファイアはこれまでのシンセの音づくりの根幹をなすファクター。このモディファイアを活かせば、シンセ感覚の音づくりや今までにない空前のニュー・アコースティック音がクリエイト可能です。また新開発32bit DSPによる高品位エフェクトも内蔵。音づくりの一部として積極的に活かせます。

さらに<VA音源>の最大の魅力といえるのが自然楽器と同等の豊かな演奏表現力。たとえば、管楽器音では息を吹き込む強さや口の構え、唇によるリードの締め付け、タンギングなどを、また弦楽器音では弓を動かす速さや弓を弦にあてる強さなどを、キータッチ/ホイール/スライダー/外部コントローラーを駆使して自由に調整可能。演奏テクニックをフルに反映した存在感あるリード・プレイを繰り広げます。

VL1は真にリードがとれる楽器としてこだわった結果、あえて2音ポリ仕様を採用。出力系は音の定位やエフェクト効果を充分に発揮できるステレオ仕様です。

新音源の成果は128種の仮想楽器(プリセット・ボイス)に歴然でしょう。木管楽器/金管楽器/擦弦楽器をはじめ、アナログ・シンセ音/エレキ・ギター/ベースなどのポピュラー楽器、さらに吹奏感のあるストリングスや金管的なクラリネットなど、スーパーリアルな音色からスーパーシュールな音色まで実に多彩なバリエーションです。また3.5インチFDDを搭載し、音色データの管理も可能。別売ソフトで新たな仮想楽器も供給予定です。

MIDI機能も内蔵。外部シーケンサーとのデータ送受信もおこなえます。

プロフェッショナル・ツールとしてのアイデンティティは高級感あふれるルックスにも。本体パネルと背面パネルにはクラロウォールナットのリアルウッドと加工した素材を使用。木の暖かい風格と1台1台ことなる天然の木目を持つ外観は"プロの1台"として愛着を感じていただけます。