アカデミー概要
アカデミー概要
設立趣旨
ピアノと調律
「ピアノは「楽器の王」といわれ、常に音楽の世界の中心に位置してきました。それは、ピアノが他の楽器に類を見ない、きわめて豊かな表現力と優れた演奏性を持つ楽器であるからにほかなりません。「音の位置がひとめでわかる」「手を鍵盤に自然な形で置ける」「音楽の三要素 であるメロディ・リズム・ハーモニーを同時に表現できる」「オーケストラに匹敵する幅広い音域」「ダイナミックレンジが非常に広く、タッチにより音の大きさを自在にコントロールできる」「華麗で、しかも変化に富む音色」こうしたピアノの優れた特性は、1本につき平均約90 kgの強い力で張られた弦や、精巧なアクション、ハンマー等の複雑微妙なメカニズムによって支えられています。その機能を十二分に発揮し、かつ維持していく上で、定期的な点検と調整はどうしても欠かすこ とができないものです。しかも、調律をはじめとするアフターケアにきわめて高度な技術が要求され、演奏者とは別に専門技術者(ピアノ調律師)を必要とするのが、ピアノという楽器の特徴といえます。
アフターサービスの充実
ヤマハは高品質な楽器をお客様に提供することを楽器づくりの基本理念としており、これはピアノづくりにおいても製造当初から一世紀を経た現在まで受け継がれています。しかし、どんな高品質な楽器も、お客様の手に渡ってからのアフターサービスが十分に行われなければ、その品質を長く維持していくことができず、本来の性能が発揮できません。楽器は弾いて楽しむことができてはじめて満足を得ることができるものです。また、お客様に十分に満足して楽器をご愛用いただくには、楽器の性能維持だけではなく、レッスンのお世話をはじめ、楽譜・テキストの相談、コンサート情報、ピアノ使用環境の相談などのサービスは欠かすことができません。ヤマハは「ピアノのことなら何でも分かる」お客様のよき相談相手となることを目指し、YCS(ヤマハ・ コンサルティング・サービス)などのきめ細やかな、アフターサービス活動を展開しています。
ピアノ調律師の養成
ピアノ調律師の仕事は、音楽という芸術表現に関わるものであるだけに、調律師自身が良い音や音楽についいて十分な理解を持つことが要求されます。また、ピアノが広く普及している今日では、お客様からのピアノについてのあらゆるご相談に応じられる技術と見識を持つことも必要となっています。こうした時代の要求に応えられる優秀なピアノ調律師を養成することを目的に、1980年4月にヤマハピアノテクニカルアカデミーを開設し、現在まで延べ2000名以上もの卒業生を輩出してきました。 近年では、デジタル技術の導入によりディスクラヴィアやトランスアコースティックピアノなどのハイブリッドピアノも次々に登場し、ピアノの世界もマルチメディア化が進んでいます。ヤマハピアノテクニカルアカデミーでは充実した設備とカリキュラムにより、これまで積み上げた伝統の上に、新しい技術と感性を備えたピアノ調律師を養成しています。
養成方針
長年にわたるノウハウ蓄積を反映した着実な技術習得
120年にわたるピアノ製造技術、ピアノのアフターサービスについての豊富な蓄積、そして60年に及ぶ技術指導ノウハウをもとに、一歩一歩着実に習得が可能なカリキュラム を組み立てています。
社内外講師による専門指導
アフターサービスを行うことで対価を得るという調律師の仕事には、ピアノの発達史、ピアノの設計・製造、音楽史、そして社会人としての常識など、周辺知識の習得も必要です。ヤマハ社内の専門部門や社外からそれぞれの専門家を講師に招き、これら周辺知識を習得します。
理論に裏打ちされた技術の習得
耳に聞こえる音や鍵盤を通じて感じるタッチは物理現象の上に成り立っています。調整の勘やコツは繰返しの練習により養われますが、基本となる理論を知ることにより、技術レベル が一層高まり、また習得スピードも速まります。ピアノテクニカルアカデミーでは理論と実習を連携させた研修を行います。
上級コースの設置
ピアノテクニカルアカデミーでは、新規養成を行う総合 コースに加え、ヤマハ特約店の調律師を対象に「レベルアップコース」を設置し、グループ全体の技術力向上を図っています。
沿革
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昭和30年代工場内における徒弟制度を通じて調律技術を伝える
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1960年4月東京・大阪にピアノ技術学校を創立
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1980年4月ピアノテクニカルアカデミー創設
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1981年3月スビャトスラフ・リヒテル氏アカデミーホールにて演奏
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1983年3月コンサートコース開講
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1984年3月スビャトスラフ・リヒテル氏アカデミーホールにて2回目の演奏
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1987年5月グランドピアノマスターコース開講
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1994年8月コンサートチューナー海外研修開催
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2007年4月ピアノテクニカルアカデミーを掛川工場に建設の新社屋に移設
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2008年3月総合コース卒業後延べ2000人を輩出
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2008年5月総合コースフォローアップ研修開講
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2009年3月コンサートピアノコース上級研修開講
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2013年5月コンサートピアノコース上級研修PhaseⅡ開講
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2015年4月学生寮を浜松市内から掛川工場近隣へ移設
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2022年10月コンサートピアノコース上級研修PhaseⅢ開講