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阪田 知樹 氏(Sakata Tomoki) クラシック音楽の垣根を意識することなく、自然な形で幅広く身近な存在として楽しんでほしい。 この記事は2015年3月6日に掲載しております。

 いま、世界各地で幅広い演奏活動を行っている若きピアニスト阪田知樹の名は、2013年にアメリカで開催された第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにおいて最年少入賞を果たしたことで、一躍広く知られるところとなった。

Profile

pianist 阪田 知樹

pianist
阪田 知樹
1993年生まれ。5歳半よりピアノを始める。 第61回 全日本学生音楽コンクール 全国大会 中学校の部 第2位。 第9回ショパン国際ピアノコンクールin ASIA 中学生部門 アジア大会 銀賞。 2009アジア国際音楽コンクール 最優秀賞、及びピアノ部門 高校生の部 第1位。 第4回福田靖子賞選考会 第1位 福田靖子賞受賞。 第9回フランツ・リスト国際ピアノコンクール セミファイナリスト。 第35回ピティナ・ピアノコンペティション 特級グランプリ、及び聴衆賞、併せて文部科学大臣賞、読売新聞社賞、王子ホール賞、東京シティ・フィル賞受賞。
第14回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール 最年少入賞(4-6位)。タマーシュ・ヴァーシャリ氏の推薦により「プラハ・ミュージック・パフォーマンス」に参加、イヴァン・モラヴェッツ賞受賞。 ニコライ・ペトロフ氏に招かれ第12回クレムリン音楽祭、第39回ヤナーチェク国際音楽祭等、国際音楽祭多数出演。ジュネーヴ、ルガーノ、パリ、プラハ、 東京、横浜にてリサイタル開催。NHK-FM、FM横浜、ロシア国営テレビ、RSIスイス・イタリア語ラジオ放送局、RTSスイス・ロマンド・ラジオテレ ビ放送局において、演奏録音、及び、放送される。 藤原浜雄、堀了介の両氏とピアノ三重奏を、ブレンターノ四重奏団、原田幸一郎、池田菊衛、磯村和英、毛利伯郎の各氏とピアノ五重奏を共演。矢崎彦太郎、レ ナード・スラットキン、ウラディーミル・ヴァーレック等の諸氏指揮の下、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、チェコ 国立交響楽団、フォートワース交響楽団他と共演。 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校卒業後、東京藝術大学音楽学部器楽科を経て、2014年10月よりハノーファー音楽大学に留学中。「コモ湖国際ピア ノアカデミー」に於いても研鑽を積む。ピアノを西川秀人、渡辺健二、パウル・バドゥラ=スコダの各氏に師事。音楽理論・作曲を高橋千佳子、永冨正之、松本 日之春の各氏に師事。2011年度ヤマハ音楽奨学生。第43回江副記念財団奨学生。
※上記は2015年3月6日に掲載した情報です

阪田は実際のレッスンのほか、古い録音からも多くを学んでいる。

歴史に名を残す名ピアニストの演奏をこよなく愛し、とりわけスクリャービンを得意としたロシアの偉大なるピアニスト、ウラディーミル・ソフロニツキー(1901~1961)の録音は、片時も離せないほどの愛情を注いでいる。
「実は、ヴァン・クライバーン・コンクールに参加したときも、ソフロニツキー古い復刻CDを持参していきました。練習に疲れると、ぼくは彼のスクリャービンに耳を傾ける。するとインスピレーションが湧いてくるんです。ソフロニツキーの演奏は、力の拠り所のような存在。コンクールでは、第1次予選でスクリャービンのピアノ・ソナタ第5番を弾いたんですが、そのときにもっていった録音には前奏曲や詩曲、幻想曲などが収録されています。ソフロニツキーの録音では、《伝説のシューマン・リサイタル》と題した録音も好きですね」
ソフロニツキーは、熱狂的な信奉者を多く獲得したことで知られ、古典派からロシア作品まで多彩なレパートリーをもち、特にスクリャービンの演奏で人々をとりこにした。彼の演奏はスヴャトスラフ・リヒテルやエミール・ギレリスによって「真に巨匠的な演奏」と称され、ゲンリヒ・ネイガウスは「リラの馨しさ」と評し、スタニスラフ・ネイガウスは「ショパンの即興演奏のよう」と絶賛した。彼は形式的な解釈ではなく、ひたすら自己の音楽を追求し、人々の記憶に残る緊迫感あふれる凛とした演奏を残した。

「以前、ロシアに演奏にいったとき、スクリャービン博物館を訪れることができました。ここはソフロニツキーが住んだこともある場所。ずっとこの場にいたいと感じるくらい、感動しました」

彼は古い録音の話になると、一気に雄弁になり、話が止まらなくなる。サラサーテやラフマニノフの自作自演などSPの復刻盤も集め、ピアニストのみならずヴァイオリニストや指揮者にも、大好きな演奏家は多い。フランスのピアニスト、アルフレッド・コルトー、ロシアの指揮者、エフゲニー・ムラヴィンスキーやエフゲニー・スヴェトラーノフ、スイスのエルネスト・アンセルメの名前も飛び出す。なかでも、チェコのヴァイオリニスト、ヴァージャ・プルジーホダ(1900~1960)の演奏は、ぜひ多くの聴いてほしいすばらしさだと熱弁をふるう。この人はプシホダとも記される。
「アルトゥーロ・トスカニーニに見いだされ、現代のパガニーニだといわれた人です。パガニーニを弾かせたら一番だと。ぼくがもっとも魅了されるのは、シューベルトの歌曲《万霊節の連祷》をヴァイオリンとピアノ用にプシホダが編曲して演奏しているものです。ぼくはアナログ人間で古い録音もいろいろ探しますが、楽譜に関しても図書館にいって自筆譜などを丹念に調べます」

Textby 伊熊よし子

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阪田 知樹 へ “5”つの質問

※上記は2015年3月6日に掲載した情報です