この記事は2019年12月25日に掲載しております。

ツアーでは新しいファンとの幸せな出会いも

　全米でリリースされたアルバムとしては28枚目となる『Echo』の勢いが止まらない。自身のバンド・メンバーはもちろん、マーカス・ミラーやカーク・ウェイラム、ロベン・フォード、カイル・イーストウッドほか凄腕ミュージシャンたちがゲスト参加したこのアルバムは、米『ビルボード』誌のコンテンポラリージャズ・チャートで首位を獲得し、日本はもちろん全世界へとデジタル配信されて新しいファンを獲得した。リリースに合わせてスタートした欧米ツアー（アメリカ、ロシア、ウクライナほか各地）も好評で、2019年の後半にも多くのコンサートを行っている。

「全米デビューを果たして以来32年間、たくさんのアルバムをリリースしてコンサートを行ってきましたが、今回のツアーにも『初めてコンサートを聴くことができました』という方がたくさんいらっしゃって、とても幸せな気持ちになりました。その中には私のことをインスタグラムで見つけてくれた方や、ティーンエイジャーもいますし、20年間もファンでいてくれたけれど若い頃は仕事が多忙でコンサートへ来られず、ようやく夢が叶ったという方もいらっしゃったのです」

　コンサートは、もちろん演奏を楽しむ時間・場だが、松居は一方的に演奏を届けるだけではなく聴衆とのコミュニケーションを大切にし、おそらくはその日、その場の空気からキャッチしたものも演奏へ反映させているのだろう。

「私にとってコンサートは、同じ空間で私がキャッチしたものを音楽に乗せて演奏し、人種や国籍も世代もすべての壁を取り払って、そこにいる全員と共有するための大切な場です。みんなが来てくれるからこそ自分は生かされているのだなとさえ感じていますし、一人の音楽家としてはルーツのような場でもあるのです」