Xeno Behind Stories
時空を超え、受け継がれる情熱 — Xenoシリーズトランペット開発ストーリー
第5章終わりなき旅
2013~2017年 の「Xeno ArtistModel第2世代」発売以降はさらに使用プレイヤーを増やし、2017年頃には米国7大オーケストラで最も選ばれるトランペットとなった。2016年には世界最高峰のボストン交響楽団トランペットセクション全員がヤマハを選んだ。これは、川崎が長年描いてきた夢が叶った瞬間でもある。
2019年には「Xeno Artist Model第3世代」を発表した。吹奏感や息を吹き込んだ時の反応などが改善されたモデルだが、その設計を担ったB&O事業部の福田徳久と古海勝彦は、「歴代の設計担当の誰もが、『主役はあくまでも奏者。彼らの音楽表現を最大限に引き出す最高の相棒を作ることが我々の使命』と信じていた」と証言する。二人はヤマハトランペットに息づいている先代の思いを確かに受け継いだ。そして、「この思いを未来の開発者につないでいきたい」と考えている。
奏者の魅力が輝くトランペットを届け続けるために、プレイヤーに寄り添い、問題点を見つけ、改善のための挑戦を続ける。それこそが、ヤマハにおいて、時空を超え受け継がれてきた「開発者たるもののあるべき姿」であった。2020年、Xenoは誕生から30年を迎える。古海たちはこれからも、プレイヤーの声に耳を澄まし、その思いを受け止め、時代に合わせて進化する道を歩み続けるだろう。かつて川崎らがそうであったように、終わりなき挑戦の旅を続ける旅人として。
*4 “YM bell version” is an additional version of the New York model C trumpet. It features a YM bell taper which is more steeply flared and was designed to achieve a clear, richly defined tone