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須藤千晴さん 音を出すと、次の音のイマジネーションが広がり、その瞬間をつみ重ねていく。そんなピアノが理想です。 この記事は2018年10月22日に掲載しております。

ソロや室内楽、企画のセルフプロデュースや作曲など、幅広い活動を展開する、ピアニストの須藤千晴さん。毎回素敵なゲストを招き、ヤマハ銀座スタジオで行っている「フライデーナイトスペシャル」も好評です。趣向を凝らした企画や演奏活動によせる想いについて、お話を伺いました。

Profile

pianist 須藤千晴

pianist
須藤千晴
東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。ドイツ政府給費留学生としてドイツ国立ベルリン音楽大学に留学、ミヒャエル・エンドレスのもとで研鑽を積み、最高点を得て卒業、ディプロマを取得。2001年東京藝術大学在学中に伊達純メモリアル基金より「アリアドネ・ムジカ賞」と奨学金を授与され、奏楽堂モーニングコンサートにて芸大フィルハーモニアと協演。第4回ジーナバックアウワー国際ピアノコンペティション(アメリカ)入賞。2000年以降3年間に渡りクールシュベール夏期国際音楽アカデミー(フランス)にてパスカル・ドヴァイヨン氏のマスタークラスを受講し毎年ファイナルコンサートに出演。第4回ザイラー国際ピアノコンクール(ドイツ)、第3回ベルリンピアノコンクール(ドイツ)、ASTI国際音楽コンクール(イタリア)など多くの国際コンクールにて上位入賞。ドイツ・ライプツィヒにおいてリサイタル、ベルリンにおいて「フランス音楽の夕べ」、「20世紀ソナタシリーズ」に出演するなど、ソロそして室内楽に国内外で積極的な演奏活動を展開している。2007年CHANEL銀座/シャネル・ネクサス・ホールにおける「Pygmalion Days」のアーティストとして1年間定期的にソロコンサートを行い注目を集めた。これまで、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭、室内楽奏者として宮崎国際音楽祭などに出演。ヴァイオリ二ストの徳永二男氏、ホルン奏者の松崎裕氏、チェリスト古川展生氏他多くの演奏家と共演を重ねている。2008年ビクターエンタテインメントよりデビューCD「Preludes」をリリース。2011年チェロとのデュオCDをオクタヴィア・レコードよりリリース。2014年日本アコースティックレコーズよりソロCD「Gems」をリリース。また、2014年〜2015年ベーゼンドルファー東京サロンにて自身のプロデュースによるシェーンベルクピアノソロ作品全曲シリーズ全4回を開催し好評を博した。
2015年1月より月に1度自身のUstream番組「須藤千晴のちはるデート」を配信し日本を代表する音楽家をゲストに迎えてトークと生演奏を放送。2017年4月より新たにヤマハミュージックエンタテインメントホールディングスのYouTubeチャンネル内で「ちはるデート シーズン3」の配信を開始している。
近年は作曲活動も開始し、クラシックのみにとどまらないジャンルを超えたプログラミングによるコンサートも行なっている。
須藤千晴オフィシャルサイト
※上記は2018年10月22日に掲載した情報です。

無人島で、ピアノだけがポツンとあったとき……

 もともと、音大のピアノ科でクラシックを勉強していた須藤さんが、ジャズやポップスにも関心を持つようになったのは、帰国後、演奏活動をおこなうなかで知り合ったミュージシャン仲間の影響が大きいという。
「クラシックは再現芸術といわれる分野なので、何百年も前に書かれた作曲家の楽譜を読み解き、いかに深く音楽を理解するかが大切です。もちろんそれも本当にすばらしいことですが、一方で、コードだけが書かれた楽譜で演奏し、その場でしか生まれない音楽を奏でられるミュージシャンもすばらしいと思うようになりました。最近は作曲もするようになって、ゼロから生むことの大変さも知りました。
 例えば、気づいたら無人島にいて、ピアノだけがポツンとあったとき、楽譜がないと演奏できないようでいいのかと考えた時期があるんです(笑)。そのとき、もっと原始的な感覚で、自分の音楽を演奏できるようになりたいと思いました。そうして、いろいろなジャンルの音楽に足を踏み入れるようになりましたね」
 一つのコンサートで、クラシックやポップスなど幅広いプログラムを演奏する須藤さんがピアノに求めるのは、一体どんなことなのだろうか。
「どんなプログラムでも共通して求めているのは、表現できるニュアンスの幅の広さ。音色そのものに豊かさがあるピアノは、音を出した時に次の音のイマジネーションが広がるので、その瞬間をつみ重ねていくことができます。親密感のある音や、響きの豊かなピアニシモを鳴らせるピアノであることが、私にとっては大切です。
 ヤマハのピアノは、ソロだけでなく、デュオや室内楽の場面でもオールマイティで、コントロールしやすいですね。信頼感があります。なかでもCFXは、繊細なニュアンスや親密な雰囲気も表現できますし、大ホールでコンチェルトを弾く時に必要な華やかさも持ち合わせている。表現の可能性を無限大に広げてくれる楽器だと思います」

 これからも、耳馴染みの良い作品から現代作品まで、さまざまな音楽と向き合うことで、自分の可能性を探っていきたいという。
「良いものって、ジャンルの概念を超えていますよね。それに、根本的にはどの音楽もつながっていると思います。とはいえ、自分の中にブレない軸がないと、幅を広げることもできません。その意味で、やはり私の基盤になっているのはクラシックです。そこからジャンルを行き来する中で、それぞれの経験を生かした演奏を目指していきたいです」

Textby 高坂はる香

須藤千晴さんへ “5”つの質問

※上記は2018年10月22日に掲載した情報です。



SATURDAY EVENING SPECIAL Vol.1

サタデー イヴニング スペシャルー Vol.1
日時:2018年12月15日
開場:15:30 開演:16:00 
会場:ヤマハ銀座スタジオ(ヤマハ銀座ビルB2F)
出演:須藤千晴(ピアノ)
ゲスト:古川展生(チェロ)
全席自由:4,000円

■お問合せ
ヤマハ銀座ビルインフォメーション
TEL:03−3572−3171