TF-RACK

TFシリーズの直感的なユーザーインターフェースを継承したオールインワン、ラックマウントタイプデジタルミキサー

革新的な操作性で熟練のエンジニアからミキシングを学び始めたオペレーターまで幅広いユーザー層から好評を得ている「TFシリーズ」の特長を継承しながらも、コンパクトな3Uサイズを実現しました。 『TF-RACK』は、タッチパネルによる直感的なユーザーインターフェース「TouchFlow Operation™」などにより、スペースに制限がある会場や演目においても、直感的かつスムーズな操作性を提供し、可搬性にも優れるため素早いセッティングと快適なオペレーションを実現します。

2つのバンクに分かれたシーンメモリー

シーンメモリーはAバンクとBバンクに分かれており、それぞれのバンクには最大100、計200のシーンを保存可能。 バンクは用途によって使い分ける事ができ、例えばバンクAにはバンドタイプによって設定されたシーン、バンクBにはイベントタイプによって設定されたシーンといったように分けて運用する事ができます。

また、簡単に操作を行いたい方向けに1-knob COMPや1-knob EQをONにしたシーンや、従来の操作でミキシングを行いたい熟練エンジニア向けにすべての1-knob機能をあらかじめ解除したシーンなど、ミキシングを始めるのに便利なシーンが あらかじめ複数保存されています。

ノブ1つで最適なサウンドを実現する1-knob COMP™、1-knob EQ™

経験豊富なエンジニアがコンプレッサーを駆使すると、サウンドはより優れたものに生まれ変わります。ギターは生き生きと、ベースラインはパンチが効き、スネアはタイトに、そしてボーカルはよりクリアに。それをたった1つのノブで実現するのがヤマハの1-knob COMPです。アナログコンソールのMGPシリーズ、MGシリーズで好評を得ているこの1-knob COMPを、『TFシリーズ』ではデジタル化を行い、新たに搭載しました。難しい動作原理を覚える必要は無く、1つのノブを操作するだけで最適なコンプレッション効果を得ることができます。また、1ノブの簡便さをEQに拡張した1-knob EQも新たに搭載。

インプットチャンネルにはボーカルに最適で明瞭な声を簡単に実現する「Vocalモード」と、ユーザーが作り上げた特性、もしくは選んだプリセットの特性の深度をコントロールできる 「Intensityモード」を用意。アウトプットチャンネルには「Vocalモード」に代わり、最適な音質を保ちながらスピーカー、インイヤーモニターの音圧レベルを稼ぐ事ができる「Loudnessモード」と、インプットチャンネルと同様の「Intensityモード」を搭載しています。1-knob COMPも1-knob EQも、通常のコンプレッサーおよびEQ画面に切り替えることができ、いつでも従来通りの詳細な調整を行うことができます。

プロのサウンドを瞬時に実現するQuickPro Presets™

ヤマハの開発・R&DチームはShure、Sennheiser、Audio-Technicaといったマイクメーカーや数々のエンジニアと協業し、様々なマイクプリセットを作成。これらのプリセットを使うことでミキシングを学び始めたオペレーターは簡単に良いサウンドを実現することができ、経験豊富なミキシングエンジニアは設定時間を大幅に短縮する事ができます。インプットチャンネルにはボーカルからドラムセットまで200種類を超えるプリセットを用意。

実際に様々なマイクと音声、楽器を組み合わせて綿密にチューニングをしています。アウトプットチャンネルには、様々なスピーカーシステムや、インイヤーモニターのプリセットを用意。いずれも使用する空間の大きさなど環境に合わせたバリエーションが揃っており、これらを選択するだけで出力システムの最適な設定が完了します。これらのプリセットは全て編集・保存が可能。

また1-knob COMP™、1-knob EQ™と合わせて使うことで、プリセットの設定を生かしたスムーズなオペレーションが可能となります。 ヤマハプロオーディオウェブサイトでは既にコンソールに含まれているプリセットに加え、新たに追加されるプリセットをダウンロードできます。

揺るぎないナチュラルサウンド、自由度の高いサウンドメイキング

ステージで鳴っている音をありのままに取り込み、そこからさまざまな色付けを行う。これまでヤマハが一貫して追求してきたコンセプトは、TFシリーズでもしっかりと受け継がれています。コンソールの音質を特徴づける入力段のアナログ部にはヤマハが誇るD-PRE™マイクプリアンプをリコーラブル化して搭載。回路やそれを構成する部品の1つ1つを改めて念入りに検証し、高純度のナチュラルサウンドを実現しました。

さらにステージの音作りをサポートすべく強化されたプロセッサーおよびエフェクト群も用意。EQ、ゲート、コンプレッサーといった充実の入力/出力チャンネルプロセッサーに加え、強力な8基のプロセッサーにより自由度の高いサウンドメイキングが可能です。

ヤマハが誇るD-PRE™マイクプリアンプ

TFシリーズには、ヤマハが誇るディスクリートClass Aマイクプリアンプ「D-PRE」をリコーラブルに再設計し搭載しました。プリアンプは最終ミックスのクオリティを決定づける最重要コンポーネントの一つ。D-PREはヤマハの経験豊かなエンジニアの手によって、オーディオソースが持つニュアンスや表情を余すことなく捕らえることができるようにデザインされ、綿密なチューニングを施して います。

通常プリアンプは入力段の +(ホット)/-(コールド)信号それぞれに1基ずつトランジスターを用いて、信号を増幅していますが、D-PREは+/-信号それぞれに2基のトランジスター(合計4基)を搭載 するインバーテッドダーリントン回路をベースにデザインしています。マイクプリアンプは、使い方や用途に よって、あえて特徴的な色付けを行うものがありますが、D-PREでは演奏者の表現力や、個々の楽器が持つ本来のエッセンスをありのままに捉えられるように丁寧にチューニングし、全周波数帯に渡りフラットな特性を実現しています。

8基の強力なプロセッシング/エフェクトユニット群

『TFシリーズ』にはチャンネル毎のプロセッサーに加え、計8基の強力なプロセッシング/エフェクトユニットを搭載。全てのユニットにライブやレコーディング現場で定番のSPXを搭載しており、リバーブやディレイはもちろん、フランジャーやコーラスといったモジュレーション系、3バンドのマルチバンドコンプレッサーなど、19プログラムを用意しています。SEND/RETURNでの使用が前提の2基のグローバルFXは、パネルのEDITキーを押すとエフェクトパラメーター画面がタッチパネル上に展開され、リバーブタイムやディレイのフィードバックなどのパラメーターを瞬時に調整することができます。

残る6基のInsFXは、あらかじめステレオAUX9/10~19/20のBUSマスターにインサートされており、マルチバンドコンプレッサーを使用してインイヤーモニターへのレベル管理を行う、といったことができます。これらのInsFXはステレオバスにアサインすることで追加のSEND/RETURNエフェクトとしても使用でき、グローバルFX2基だけでは不足した場合も柔軟に対応することができます。

AUX1-8やメインの各出力にはインプットチャンネルと同じ4バンドPEQに加えて、31バンドのFlex12GEQを装備。それぞれスピーカー全体の音質調整や、ハウリングが起きる原因の周波数帯域をカットし、ハウリングマージンを稼ぐことが可能です。これらのGEQは物理フェーダーに展開して緻密な調整をすることもできます。

スピーチミキシングの歴史を変えた革新のDan Duganオートマチックミキサーを搭載

独自のアルゴリズムによるオートマチックマイクロフォンミキサーで定評のある米Dan Dugan Sound Design社とも協業し、TFシリーズではDan Duganオートマチックミキサーを本体内に標準搭載しました。インプットチャンネル1~8にあらかじめインサートされており、チャンネルストリップから簡単に設定画面にアクセスすることができます。

最大8チャンネルのマイク回線のゲイン配分をリアルタイムで自動最適化し、まるで複数の優れたオペレーターが操作をしているかのような、自然な音量制御を実現します。さらにハウリングやコムフィルターの発生を抑制するなど、さまざまな恩恵も得られ、台本がないスピーチ現場でも、個々のフェーダー操作に煩わされることなく、質の高い安定したミックス作業を行えます。

ラックマウントで省スペース

ラックマウントで省スペース

システムの省スペース化が求められる会議や株主総会、シンポジウムやトークイベントなどの現場では、ラック型ミキサーであるTFシリーズが威力を発揮します。TF-RACKはラックマウントが可能なため、シンプルかつ小スペースで必要なシステムの構築が可能です。

さらに、TF-RACKに搭載されたDan Duganオートマチックミキサーを使用することで、最大8チャンネルのマイク回線のゲイン配分をリアルタイムで自動最適化し、全体的なミックスレベルを一定に保つことができます。ハウリングやコムフィルターの発生を抑制するなど、さまざまな恩恵も得られ、プレゼンテーションやパネルディスカッションの拡声においても、個々のフェーダー操作に煩わされることなく、質の高い安定したミックス作業を行えます。

ミキサーとのシームレスな連携を実現する各種アプリケーション

近年のデジタルコンソールでは、外部アプリケーションを使ったワイヤレスミキシングやパーソナルモニターミキシング、オフラインでの事前準備を行えることが当たり前になってきています。そんな中、『TFシリーズ』では専用アプリケーションとして「TF StageMix™」 「MonitorMix」「TF Editor」の3つを用意。

いずれもコンソール本体とシームレスに連携し、どのデバイスを使用しても同じ感覚で操作できるように 開発/デザインされたユーザーインターフェースが特長です。

事前準備でも本番でも活躍するTF Editor

PC/Mac用アプリケーションの「TF Editor」は、『TFシリーズ』の大部分の操作が可能。各種パラメーターの編集やシーン/プリセットデータの管理*、キーボードによるチャンネルネーム入力などの機能を備え、時間や場所を問わずオフラインでの事前準備を効率良く行うことができます。

「TF Editor」はオフラインでの使用だけでなく、コンソールとつないで本体の拡張画面として使用する事も可能で、マルチタッチ対応のWindows8 PCを使えば本体画面と同じ感覚でタッチコントロールができます。またWi-Fiを使ってのリモートミックスも可能。「TF StageMix」と 「TF Editor」は同時に3台まで使用することができ、複数のオペレーターによるミキシング操作や用途を分けた運用が可能です。

リモートミックスを可能にするTF StageMix™

『TFシリーズ』のワイヤレスコントロールを可能にするiPad用アプリケーション「TF StageMix」を使用することで、客席やモニタースピーカー前などのリスニングポジションで音を聴きながらリモートミックスを行うことができます。また、コンソールの近くに置いて本体ユーザーインターフェースの拡張をすることも可能です。

「TF StageMix」のグラフィカルユーザーインターフェースは、コンソール画面と同じ流れを汲んだ使いやすいデザインになっており、コンソールと同じ感覚で操作することができます。

各演奏者が自分のモニターミックスを手元で行えるMonitorMix

「MonitorMix」は、『TFシリーズ』のAUXミックスをワイヤレスでコントロールできるiPad、iPhone、iPod Touch、Android用アプリケーションです。最大10台まで同時に使用することができ、各演奏者が手元で自分のモニターミックスを作ることができます。その際は自分用に割り当てられたAUXバスのバランスを コントロールするだけでよく、他の演奏者へのモニターミックスを誤って操作してしまう心配もありません。

デザイン性と設計自由度が高いカスタムコントロールパネル

デザイン性と設計自由度が高いカスタムコントロールパネル

操作画面のカスタマイズが可能なiPad用アプリケーション「ProVisionaire Touch」とWindows用ソフトウェア「ProVisionaire Control」を使用することで、使用環境やユーザーに応じた最適なコントロールパネルを用意することができます。

音量操作をするフェーダーやチャンネルのON/OFFスイッチ、写真などのウィジェットをデザイン画面上に配置するなど、操作画面のインターフェイスを直感的にデザインすることができ、デザインには特別なプログラミング技術は必要ありません。

また、デジタルミキシングコンソール「CLシリーズ」「QLシリーズ」「TFシリーズ」、マトリクスプロセッサー「MTX/MRXシリーズ」やパワーアンプ「XMVシリーズ」、そしてI/Oラック「Rシリーズ(ADDA)」、「Tio1608-D」、NEXO パワードTDコントローラー「NXAMPMK2」にも対応し、これらPA機器を同じスクリーン上からコントロールすることも可能です。

タッチパネルに最適化した直感的なユーザーインターフェース

『TFシリーズ』の開発にあたり、ヤマハは数々のデジタルコンソールで評価を得てきた基本的な操作体系をベースに、現在あらゆるシーンで身近になってきているタッチパネルに最適化した直感的なユーザーインターフェースを徹底的に研究しました。 タッチパネルの操作だけでほとんどのオペレーションを行うことができる『TFシリーズ』のユーザーインターフェースは、デジタルコンソールを使ったことがある方だけでなく、アナログコンソールを使っている方、さらにコンソールを触ったことのない方も短時間で操作方法を習得でき、素早く流れるようなスムーズなミキシングを行うことができます。 タッチパネル周辺に配置された物理操作子により、さらに緻密な調整を行うことも可能となっています。

音を触る感覚のタッチオペレーション

タッチパネルに最適化した直感的なユーザーインターフェースは、素早く流れるようなスムーズなオペレーション体験を提供します。指で直接操作することを前提にデザインされた画面は、シンプルで新鮮な印象を与えるだけでなく、機能的に考え抜かれたレイアウトにより直感的な操作体系を実現。音に直接触る感覚のオペレーションが可能です。

より緻密な調整を可能にするTOUCH AND TURNノブ

EQの微調整など、より緻密な調整が必要な際はいつでも画面脇のTOUCH AND TURNノブを使用することができます。また、画面の下に4つ用意されたUSER DEFINEDノブには、コンプレッサーのスレッショルドやEQのゲインといった頻繁に操作するパラメーターをあらかじめ割り当てることができ、選択したチャンネルのパラメーターをいつでも調整することが可能です。

幅広いアプリケーションに対応する入出力群

16(+1ステレオ) イン/16アウトのオールインワンデジタルミキサー「TF-RACKは」オプションのNY-64Dを装着し、他のTFシリーズ同様にTio1608-Dを最大3台まで接続する事ができ、最大で48IN/24OUTのステージボックスシステムを構築することも可能です。

コンパクトながら16マイク/ライン、1ステレオラインインプットと16アウトプットの接続端子を搭載

TF-RACK単体で16マイク/ライン、1ステレオラインインプットと16アウトプットの接続端子を搭載しており、さらにPCと接続してマルチチャンネルプレイバック/レコーディングが可能なUSB端子も搭載。単体でも高い接続性を誇ります。

シンプルな設定で、高音質なStageboxソリューションを

Tio1608-Dは先進のネットワークオーディオ規格「Dante」に対応した16マイク/ライン入力、8ライン出力を備えたI/Oラックです。Tio1608-Dに搭載 しているプリアンプゲインはTF本体からリモートコントロールできます。ステージに設置したTio1608-DとPA席に設置したTF本体との間をCAT5eイーサネットケーブルで接続するだけで高音質/低レイテンシーの音声伝送が可能になり、重くてかさばるマルチケーブルやボックスを持ち運ぶ必要はありません。

Tio1608-Dは最大3台まで接続する事ができ、最大で48IN/24OUTのステージボックスシステムを構築することができます。TFシリーズ 本体との接続はネットワークスイッチを必要としないデイジーチェーン接続を行うことが可能です。