コンサートレポート

コンサートレポート

木々の葉の色も深まりゆく晩秋、11月21日(日) 福岡ミュージアムパートナーズと西日本華道連盟の主催で
華道家・片山健氏とピアニスト宮谷理香さんによる秋の特別アカデミー「花とピアノの饗宴」が開催されました。

2021年11月21日(福岡市美術館 ミュージアムホール)

 公演情報公開と同時にチケットがほぼ完売となった福岡市美術館の話題のこのイベント、第一部は「花と私と世界旅行」と題し、華道文化の普及に世界中で活躍されている片山健氏による講演といけばなのデモンストレーションが行われました。

 途中でピアニスト宮谷理香さんが登場されると、片山氏が舞台上の鉄骨の大きなオブジェへダイナミックに花々を活け、宮谷さんはそのパフォーマンスと共にショパンの「華麗なる円舞曲」「ノクターン第2番」「英雄ポロネーズ」3曲を演奏されました。演奏が終ると艶やかな花々の作品と共に二人の芸術家は大きな拍手喝采を浴びました。

 第二部はその華やかな花々が舞台を彩る中で、宮谷さんのCF6によるピアノ・ソロ「花とピアノが織りなす時間」が繰り広げられました。
バッハの平均律で静謐な世界から幕は開き、ショスタコーヴィチ、ドビュッシー、フランクと前奏曲が続きます。圧巻の迫力を誇ったラフマニノフはピアノのコンサートは初めてと言われるお客様達もフィギュアスケート浅田真央選手のオリンピック・プログラムで耳馴染みがあったせいか、目を輝かせて聴き入っていたようです。

 最後にショパンの前奏曲の演奏が終ると片山氏が花束を持ってステージに登場、宮谷さんへ賞賛の拍手を贈り、まさに目と耳と五感に響いた華麗な時間は幕を下ろしました。

 美術館での初めの試みであるこの公演終了後、宮谷理香さんにお話しをうかがいました。

----------------------------------------------------------------------------------------
宮谷理香さんより
『今回は華道とクラシック音楽という長い歴史を持つ二つの芸術が舞台上で出逢う、斬新ながら伝統文化を感じさせられるものでした。
特にコラボレーションのセクションは、今まさに目の前で作られていく芸術をお客様達も同時体験できるという、インスタレーション芸術を創出できたのではないでしょうか。
会場は美術館内のホールということで、半響板がなく、天井も舞台袖も筒抜けの空間。加えて花々とのバランスで楽器をかなり下手寄りに設置されましたので、調律師の方と色々苦心しました。けれども本番が始まるとその心配は杞憂に終わりました。
 第一部の「花との共演」は、弾き手の楽しい波動がお客様にも直接伝わっていたようで、初めての体験に私自身も心躍らせながら演奏しましたし、バッハとショスタコーヴィチから始まる第二部のリサイタルでは、やわらかい音色から始めて徐々に輝きを帯びる音色を味わいました。フランクでは長大な祈りの作品ですが、深く荘重なオルガンの響きが会場を満たしました。「鐘」は高らかにかき鳴らし、ショパンでは半響板のことなど忘れて音楽に没頭し、お客様も一体となっていたように感じています。

 今回、CF6という音楽の深みに添ってくれる楽器に助けられながら演奏することが出来ました。お客様にも作品ごとの多彩な表現が可能な楽器の特性を感じていただけたのではないでしょうか。』
----------------------------------------------------------------------------------------

■プログラム
第一部「花と私と世界旅行」華道家 片山健氏とのコラボレーション
ショパン:ワルツ第2番op.34-1 華麗なる円舞曲/ノクターン第2番op.9-2/ポロネーズ第6番op.53英雄

第二部「花とピアノが織りなす時間」リサイタル
バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻第1番 前奏曲 BWV846 ハ長調
ショスタコーヴィチ:24の前奏曲とフーガ op.87より第1番 前奏曲とフーガ ハ長調
ドビュッシー:前奏曲第1集より「亜麻色の髪の乙女」
フランク:前奏曲、コラールとフーガ ロ短調 
ラフマニノフ:前奏曲 op.3-2 嬰ハ短調「鐘」
ショパン:前奏曲集より 第20番~24番 op.28-20~24

アンコール: ピアソラ リベルタンゴ 
※2回目の公演のみ

※本公演は同日に2回開催されました。

Text by 樋口洋子