コンサートレポート

コンサートレポート

藤田真央さんがテレビ朝日『題名のない音楽会』に出演!
~クララ・ハスキル国際ピアノコンクール優勝の期待の新星、フレッシュな魅力を披露~

2018年2月26日(昭和女子大学 人見記念講堂)

■プログラム
チャイコフスキー:《ピアノ協奏曲第1番》より第3楽章

 1964年にスタートして以来、長年にわたって日本中の音楽愛好家に親しまれているテレビ番組『題名のない音楽会』。この日も、ハガキによる応募で観覧を希望した多くの聴衆が会場に詰めかけました。
 司会者の俳優・歌手、石丸幹二さん、アナウンサーの松尾由美子さんから、「クラシック界が注目する若き才能」とプロフィールが紹介され、爽やかな笑顔でステージに登場した藤田真央さん。藤岡幸夫さん指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団との共演で、チャイコフスキー《ピアノ協奏曲第1番》より第3楽章をヤマハのCFXで演奏しました。
 ティンパニの打音と共に始まる華やかな冒頭から、藤田さんは躍動感あふれるウクライナ民謡の舞曲のリズムに乗って、オーケストラとのスリリングな掛け合いを繰り広げていきます。中間部では、優美な旋律を煌めくようピアノの音色を響かせて繊細に奏で、静と動の対比を鮮やかに描き出しながらクライマックスへと向かいます。コーダは、まさに圧巻。両手のオクターヴで一気呵成に低音から高音へと駆け巡る凄まじいテクニックに、会場全体が息を呑みました。さらにピアノがオーケストラを牽引するかのように加速しながら最後の音まで突き進み、壮大なスケールで曲をしめくくりました。

 演奏後、司会者の石丸さんから「演奏するときに大事にしていることは?」と尋ねられると、藤田さんは「イメージを膨らませること」と答え、ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ第32番》を、19歳の今の自分が弾く場合と、70歳になった自分をイメージして弾く場合ではどう違うかを実演。冒頭の減7度の跳躍のフレーズを、ベートーヴェンの内面の苦悩を激しくぶつけるようなみずみずしい演奏と、長い人生を振り返るような重厚感のある演奏で聴かせ、会場を沸かせました。
「ピアニストを目指す後輩たちに何かメッセージを」というリクエストには、「長い時間をかけて練習することは大切ですが、いろいろな経験をすることも大切です。いろいろな経験をして、いろいろな失敗をして、それを音楽につなげてください。そして、本当に音楽を愛してください」と語りました。

 収録後、この日の演奏のパートナーとなったヤマハのCFXについて、「どういう音色、どういう響きにしたいかを常に考えながら演奏しています。調律技術者の方が僕の細かい要求に応え、本番の直前まで調整してくださったので、イメージ通りの音楽をつくることができました。美しく響く高音、地鳴りがするような力強い低音には、弾きながら驚きました。こんな音が出るんだって……」と絶賛した藤田さん。「これからもさまざまな経験を重ね、聴衆の皆さんに、また聴きたいと思っていただけるようなピアニストを目指して、成長していきたいです」と、今後の抱負を語ってくださいました。

Text by 森岡 葉

【放映予定】
テレビ朝日 題名のない音楽会
放映日:2018年4月14日(土)10:00より
※地域によって放映時間が異なります。
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