5.より忠実な空間再現を求めて

CINEMA DSP TECHNOLOGY 5. より忠実な空間再現を求めて

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音場の「高さ」が生み出す圧倒的な再現力

シネマDSPによる音場再現のベースとなっているのは、国内外の著名ホールや劇場などを巡り、「近接4点収音法」によって1980年代前半から収集を続けてきた生の音場データです。この音場データはシネマDSPプログラムの開発のみならず、優れた音響特性を持つ建造物の空間的な研究や、貴重な建築物の音場情報のアーカイブなどを目的に始められたもの。独自の測定・解析システムによって直接音と反射音との立体的な関連性が克明に記録されたこれらのデータには、それぞれの音場空間の響きと広がり(幅・奥行・高さ)を三次元的な形で再現し得る膨大な情報量が秘められていました。

ヤマハでは、2chステレオ再生の時代には存在しなかった音場の「高さ」という概念が臨場感に与える影響力の大きさに早くから着目。デジタル・サウンドフィールド・プロセッサーの第一号機「DSP-1」以来、独自のエフェクトスピーカーの採用を通して、既存の家庭用再生装置では困難とされてきた「高さ」方向の音場再現にこだわってきました。音場の「高さ」が生み出す立体的な再現力、それこそが「まるでその場所にいるような」シネマDSPの臨場感の源であるといって過言ではありません。

2007年、DSP-Z11とともに登場したシネマDSP〈3Dモード〉は、こうした考え方をさらに一歩推し進め、生の音場データが持つ「高さ」方向の情報を積極的に活用して立体的な空間再現力を高めた新機能でした。映画系プログラムでは画面に引き込まれていくようなエキサイティングな体験を、また音楽系プログラムではホールやライブハウスの床鳴りや天井の反射音がつくり出す生々しいプレゼンスを、大画面テレビやプロジェクター再生にふさわしい圧倒的なスケールとともにお楽しみいただけるシネマDSP〈3Dモード〉。さらにDSP-Z11には、最大11.2ch構成によって生の音場データに秘められた膨大な初期反射音情報の完全再現を目指した3次元高密度音場プログラム=シネマDSP HD3(エイチディー キュービック)も搭載し、DSP-1以来の夢であった実測音場データの完全再現をついに現実のものとしたのでした。

違いがわかるシネマDSP立体音場

  • シネマDSP〈3Dモード〉
  • フルスペック・シネマDSP〈3Dモード〉
  • シネマDSP HD3

DSP-1

シネマDSP HD3音場概念図
は直接音、ほかの球体は高さ方向や奥行きまで制御した反射音の分布を表しています。

  • 1. DSP=“デジタルサウンドフィールドプロセッサー”の思想
  • 2. 究極のリアリティを求めて
  • 3. 「HiFi-DSP」から「シネマDSP」へ
  • 4. HD時代に向けた静かな革命
  • 5. より忠実な空間再現を求めて
  • 6. よりリアルに、もっと手軽に

違いがわかるシネマDSP立体音場

  • シネマDSP<3Dモード>
  • シネマDSP3
  • シネマDSP HD3

映像に引き込まれるようなリアリティを手軽に

リスナーの意識をスクリーンの向こうへと引き込む「高さ」「奥行」の再現力と、立体的な音場に浮かび上がる力強いセリフが最大の魅力。登場人物の肉声の近さをはじめ、たとえば上空から目の前の地面に向かって突き刺さる矢、はるかな雷鳴や地響きといった垂直方向の移動感や距離感を忠実に再現します。また音楽ソースでは、コンサートホールの天井から降り注ぐ響きや、ライブハウスの床鳴りが臨場感を引き立てます。

あらゆるシーンを音で活写する3次元音場

シネマDSP<3Dモード>に比べ、側方から後方にかけての音の移動感や距離感をよりリアルに感じられるのがシネマDSP3。空間は垂直方向にも水平方向にも果てしない広がりを感じさせ、たとえばヘリコプターが機首を傾け背後から前方へ飛び去っていく、といったシーンを高精度に描写できます。音楽ソースなら、ヨーロッパの大聖堂からニューヨークのジャズクラブまで、まるでその場所に瞬間移動するような興奮をボタンひとつで味わえます。

映画と音楽の深みに光を当てる、高密度な3次元音場

シネマDSP3の3次元音場をベースに、さらなる高密度化を敢行。ナチュラルで実在感にあふれた音場空間が圧倒的スケールで展開されます。非現実的なスピードや息詰まる閉所感など、映画製作者が忍ばせた音のトリックや遊び心までも明らかに。今は取り壊されてヤマハの音場データの中だけに存在する伝説のコンサートホールやクラブも、シネマDSP HD3があれば、いつでも最高の席を用意してあなたを迎えてくれるに違いありません。