エンジニアの音づくりとレコーディングを支えるソリューション

日々進化するデジタルオーディオ技術による音作りを最大限に活かすには、その土台となる色づけのないサウンドが欠かせません。それを支えているのが、ヤマハが一貫して追求してきた原音忠実の哲学です。その磨き上げられたナチュラルサウンドに多彩な色づけを行うエフェクトやプロセッシングの品質も、ライブサウンドに求められる重要な要素です。あなた自身のサウンドを作るためのツールが、ヤマハのデジタルミキシングコンソールには搭載されています。また、ライブパフォーマンスがさまざまなコンテンツに活用される現在においてはライブレコーディングも重要で、そのワンストップソリューションも提供しています。

The Yamaha Approach

創造性豊かな音作りの出発点は、無色透明なサウンド。それがヤマハミキサーの根幹を成す考え方であり、哲学と言ってもいいでしょう。ステージで鳴っている音をありのままに取り込み、そこからさまざまな色付けを行う。これが今までヤマハが一貫して追求してきたコンセプトです。

あらゆる現場の音作りに対応できるコンソールを実現するには、土台となる入出力部の音質が重要になります。そこでまず、メカ的な構造やボードの配置、電源&グランド、パーツの選定などを、多岐にわたって念入りに検討。回路を構成する部品1つ1つも、その違いによる変化を厳しく測定・検証するのはもちろんのこと、社内外のサウンドエンジニアが実際に耳で聴いた「音」としての評価もフィードバックした上で選定しています。また、近年の高速/高密度化したデジタルミキサーで顕著になっている各種ノイズの影響も、長年のノウハウによって徹底的に排除しています。

RIVAGE PM10およびCL/QLシリーズではアルゴリズムの異なる4種類のChannel EQを使用することができます。狙ったポイントを正確に調整してさまざまな音作りが行える「Precise」。音楽的かつ効きの良さを特長とする「Aggressive」。原音の雰囲気を壊さず、自然でなめらかな音作りが可能な「Smooth」。そしてPM1DやPM5Dをはじめとする歴代のヤマハデジタルコンソールに搭載されている標準的な「Legacy」です。「Precise」は、LOW/HIGHのシェルビングフィルターにQパラメーターを用意し、オーバーシュートを活かした柔軟な調整を可能にします。

ライブサウンドを思いのままに色付けする内蔵エフェクトも、ミキシングコンソールの重要な要素。それぞれのエフェクトに優れた品質が求められるのはもちろんのこと、目的に応じてそれらをフレキシブルに使い分けられる自由度の高さも必要です。CL/QLシリーズではさまざまな現場の要望を踏まえ、品質/バリエーションともにブラッシュアップされたエフェクトの数々をバーチャルラックに用意。さらにRIVAGE PM10では、RND社との共同開発により、70年代&80年代の名機をVCMテクノロジーで新たにモデリングしたEQおよびコンプレッサーのほか、TC Electronic社のリバーブも搭載。さらに、Eventide社とのコラボレーションによるハーモナイザーも搭載予定です。これまでのヤマハデジタルミキサーで好評を得ている豊富なプロセッシングが、エンジニアの音作りを強力にサポートします。

Collaboration History with Rupert Neve Designs

Eventide H3000 Live

MY8-LAKE Processing Card

ライブサウンドの世界でスピーカープロセッシングに定評のあるLakeプロセッサー。その先進的かつ直感的な音作りとヤマハのライブシステムとの融合を実現したのが、Lab.gruppen社との技術提携によって生まれたLakeプロセッシングカード「MY8-LAKE」です。8in/8outのMesaモード(システムEQ)、4in/12outのContourモード(クロスオーバー)、4in/4outおよび2in/6outのMesa&Contourモード(コンビネーション)の3モードを用意。中でも左右非対称カーブでのイコライジングが可能なMesa EQをコンソールの入力段でも使用できるメリットは絶大です。

Waves SoundGrid

「Waves SoundGrid」は、Waves社が開発したEthernetベースのプラグインプロセッシングシステムです。汎用のサーバーやネットワークスイッチを用いることで低コストでシステムを構築することができ、またサーバーをプラグイン処理専用にすることで複数のハイパフォーマンスなプラグインエフェクトを低レイテンシーで同時使用することができます。専用のインターフェースカード「WSG-Y16」により、ヤマハミキシングシステムにSoundGridを組み込むことができます。

Waves SoundGrid

USBメモリーを用いた手軽な2トラックレコーディングから、ネットワーク経由でDAWと連動した本格的なマルチトラック録音まで、目的に合わせたレコーディングスタイルを提供しています。ライブパフォーマンスがさまざまなコンテンツに活用される現在において、最適なライブレコーディングを実現することでシステムの価値を高めます。

2-track USB Flash Memory Recording

デジタルミキシングコンソール「PM10」はUSBメモリーへの2トラックレコーディング(WAV, MP3フォーマット)、「CLシリーズ」、「QLシリーズ」および「LS9」はUSBメモリーへの2トラックレコーディング(MP3フォーマット)に対応しています。ライブが終わったらUSBメモリーを取り出し、アーティストにそのまま渡したり、録音したばかりのライブ音源をすぐにインターネットを通じて世界中へ公開することができます。もちろんBGMや効果音の再生(WAV*, MP3, AAC, or WMA フォーマット)にも活用可能で、現場へ持ち込む機材を減らすことができます。

* RIVAGE PM10 のみ

Steinberg Nuendo Live for Serious Multitrack Recording

ライブサウンドのマルチトラックレコーディングに最適化されたDAW、それがSteinberg「Nuendo Live」です。デジタルミキシングコンソール「CLシリーズ」、「QLシリーズ」と組み合わせた場合にはNuendo Liveのチャンネルネームやマーカー、トランスポートなどがコンソールと連動し、一度限りのパフォーマンスを確実に、かつスムーズに記録することが可能です。なお、「CLシリーズ」、「QLシリーズ」にはNuendo Liveがバンドルされています。各デジタルミキサーにおけるマルチトラックレコーディングの方法については、各種ライブレコーディングガイドを参照ください。

Danteライブレコーディングシステム

最もシンプルなレコーディングソリューションとして、Dante Virtual Soundcardソフトウェアがあります。コンピューター(Windows/Mac)のネットワークポートをDanteネットワークに接続するだけで、最大64チャンネルのオーディオをダイレクトに入出力できるようになり、Steinberg Nuendo LiveなどのDAWを用いて最大64トラックの高品質なマルチトラックレコーディングが行なえます。PCIeスロットを備えたコンピューターをお使いの場合は、Dante Acceleratorカードを装着して最大128トラックのマルチトラックレコーディングも可能です。

また、マルチトラック録音された素材を用いてバーチャルサウンドチェックも行えます。Danteのネットワークパッチを一時的に切り替えることで、DAWの再生音をコンソールにルーティングして、前日の本番などで録音しておいた素材を翌日のリハーサルに使うといった用途に活用できます。

信頼性のあるライブレコーディングのために

安定したライブレコーディングを実現するためには、コンピューターの性能およびセットアップが重要になります。 コンピューターは、少なくとも2GHzの処理スピード、4GBのRAM容量を搭載したものを使用することを推奨します。ハードディスクドライブのディスクスピードは、7200rpm以上のものを推奨します。可能であれば、オーディオの録音/再生用にシステムドライブとは別ドライブを使用することを推奨します。

ディスク容量は、1モノトラック1時間(48kHz/24ビット)の録音につき500MBを確保してください。たとえば、120GBの容量があれば60トラックを4時間録音することができます。48トラック構成の2時間のショーを録音する場合は、50GBの容量を確保してください。

マルチトラックレコーディングは、コンピュータに非常に高い負荷がかかります。高音質と信頼性を確保するために、必要のないソフトウェアやドライバーはインストールせず、専用のコンピューターでレコーディングすることを推奨します。また、使用しないネットワークインターフェース(ワイヤレス含む)を無効にしてください。さらにパフォーマンスを向上させるためには、録音/再生に使用するディスクドライブの自動インデックスサービスをオフにします。 その他、レコーディングのセットアップ手順やパフォーマンスを最適化する方法については、以下のレコーディングガイドをご参照ください。