DM7 Series
汎用性の高いミキサー
DM7シリーズは、高音質とシームレスな操作性、拡張性を兼ね備えた汎用性の高いデジタルミキサーで、快適かつクリエイティブなエンジニアリングワークフローを構築でき、オーディエンスの記憶に残るサウンド体験を提供します。DM7シリーズは、充実した機能と柔軟な拡張性によって、高品質のサウンドを必要とし刻々と変化する音響現場からの要望に応える能力を備えています。
サウンド
デジタルミキサー開発の長い歴史の中で、一貫して守り続けてきたコンセプトがあります。それは、音作りの原点となるナチュラルで透明感のある音です。DM7シリーズの高品質なインプットセクションは、原音に忠実で色付けのないサウンドを生み出し、エンジニアがプラグイン、EQ、ダイナミクスなどを用いて色付けし、音作りをするためのキャンバスの役割を果たします。DM7シリーズは、エンジニアの理想の音作りをサポートするために、あらゆる面で進化を遂げています。
強力なインプットセクション
強力なインプットセクション
音作りのスタートとなるインプットセクションに妥協や物足りなさがあると、エンジニアやオーディエンスの期待に応えるミックスはできません。 そのためヤマハは音質について独自の厳格な基準を設け、コンソールやI/Oラックのインプットは電源/アース、回路構成、機械構造など、入力段で考えられる全ての要素に細心の注意を払った設計をしています。
また、DM7シリーズは、サンプリングレート96kHzに対応しており、コンソールのインプットだけでなくI/OラックRシリーズを用いた場合でも高分解能な音質を実現します。
充実したチャンネルストリップ
充実したチャンネルストリップ
DM7シリーズのチャンネルストリップは、直感的な音作りを可能にする数々の利便性の高い先進的な機能を搭載しています。フラッグシップミキサーRIVAGE PMシリーズから継承したチャンネル EQに加え、チャンネルダイナミクスに新たに追加した「FET Limiter」と「Diode Bridge Compressor」はダイナミクスコントロールの可能性を広げます。さらに、ダイナミクスの変化を時間軸上で視覚的に確認可能な新機能“History”を使えば、これまで以上に正確にダイナミクス調整でき、さらに新機能の"Mix Balance"パラメーターは、原音とコンプレッションされた音のバランスを調整でき、パラレルコンプレッションも可能にします。また、必要に応じてEQとDynamics2の順番を変更でき、音作りの幅がさらに広がりました。
DM7シリーズは、独自のアルゴリズムによるオートマチックマイクロフォンミキサーで有名な米国のDan Dugan Sound Design社との協業により、最大64チャンネルの「Dan Duganオートマチックミキサー」を標準でマウントした状態で搭載し、EQ RACKのリソースを消費することなく、必要なチャンネルに即座にインサートして使用できます。
また、入力メーターにはHAレベル調整をサポートするヒストグラム表示を追加しました。
豊富なプラグインと新エフェクト
豊富なプラグインと新エフェクト
DM7シリーズは、Rupert Neve Designs社との共同開発によるイコライザー「Neve Portico 5033」やコンプレッサー/リミッター「Portico 5043」など、幅広い用途に対応する豊富なプラグインを搭載しています。
他にもオーディオエンジニアに定評のあるダイナミックノイズサプレッサー「DaNSe」や「DynamicEQ」といったヤマハのオリジナルプラグインも搭載しています。
FX RACKには、新搭載のリバーブ「REV HD」「REV R3」をはじめ、43種類の高品位なマルチエフェクトプロセッサーを搭載し、より深みのあるクリエイティブな音作りを可能にします。
操作性
ヤマハはプロのユーザーがデジタルミキサーに求める高い操作性を提供してきました。アナログライクな操作性を実現した「M7CL」、Centralogicをブラッシュアップして操作性を高めた「CLシリーズ」、そして「DM7シリーズ」では、直感的な操作性をさらに進化させ、マルチディスプレイによる効率的な操作性、最新のSelected Channel Viewなどを採用しました。
直観的に操作可能な先進のGUI
直観的に操作可能な先進のGUI
DM7シリーズは、エンジニアのミキシング操作に最適化したGUIを搭載しており、タッチ操作でコンソールの持つ様々な機能に直感的にアクセスできます。
チャンネルストリップの情報を一括で表示するSelected Channel Viewは、従来のGUIの良さを継承しつつ、より少ない手順と時間で操作できるように刷新しました。また、GUIの随所に日常生活で慣れ親しんでいるタッチスクリーン操作環境を取り入れることで、より直感的な操作性を実現しています。
ワークフローに合わせたシステム構築が可能なラインナップ
ワークフローに合わせたシステム構築が可能なラインナップ
DM7シリーズは、2ベイタイプの「DM7」とラックマウント可能な1ベイタイプの「DM7 Compact」の2モデルをラインナップしています。いずれも様々な場面で快適な操作性を実現しますが、オプションの拡張コントローラー「DM7 Control」をEthernetケーブルで接続すれば、パンナー、モニターコントロール、シーンメモリー、User Defined Keys/Knobs、カスタムフェーダー、ジョグホイールといったフィジカルコントローラーを追加することができ、ワークフローに応じた操作性が向上します。「DM7 Control」には、別売オプション品のBroadcast Package/Theatre Packageと2種類の機能強化パッケージをバンドルしており、「DM7 Control」のフィジカルコントローラーと組み合わせることで、より快適な操作環境の構築が可能です。
ユーティリティ画面による効率的な操作性
ユーティリティ画面による効率的な操作性
DM7シリーズは、12.1インチと7インチのマルチタッチスクリーンを搭載しており、直感的で快適なミキシングが可能です。12.1インチの大画面は、音作りに集中できる利便性の高い操作性を実現し、Selected Channel Viewなどのミキシングに必要な情報を瞬時に確認できます。新たに採用した7インチディスプレイのユーティリティ画面ではシーンリスト、User Defined Keys、レベルメーターなどの大切な情報を表示して即座にアクセスでき、迅速かつ効率的な操作に役立てることができます。
先進のSelected Channel Viewと視認性に優れたOverview
先進のSelected Channel Viewと視認性に優れたOverview
DM7シリーズは、優れた操作性能を有するRIVAGE PMシリーズのSelected Channel ViewとOverviewの操作体系を継承しつつ、より直感的なインターフェースに刷新し、最新のニーズに対応する機能を搭載しています。Selected Channel Viewでは、個々のチャンネルの重要な情報を一括で表示し、タッチパネル操作により僅かな作業時間で調整したいパラメーターに素早くアクセスできます。
Overviewは、12ch単位で複数のチャンネルの情報を一括で表示することで、アナログコンソールを操作するような感覚でチャンネルのパラメーターにアクセスできます。
チャンネル名の日本語化に対応
チャンネル名の日本語化に対応
DM7シリーズは、チャンネル名に日本語を含む多言語の表示が可能です。アーティスト名や楽器名を日本語表示することで視認性が高まり、より快適に、より直感的な操作を可能にします。
* 多言語チャンネル名の入力はDM7 EditorまたはDM7 StageMixから行います。
デザイン
エンジニアは、アーティストの音楽表現を支える高度な専門知識と幅広い経験、そして洗練された音楽性が要求されます。
ヤマハは130年以上に渡り楽器を製造していますが、設計の過程で素晴らしい音と優れた演奏性を持つ楽器を作るだけでなく、演奏するアーティストをどのように引き立てるか、楽器自体の形や美しさにも焦点を当てています。
DM7シリーズでは、エンジニアが困難な状況でも自信を持ってクリエイティブにミキシングできるよう操作性を重視するとともに、エンジニアが操作する際の見た目の美しさも追求しました。
機能的で魅力的なレイアウト
機能的で魅力的なレイアウト
ストリップライトは、フェーダー面を照らすことで暗いライブ会場でもエンジニアが操作し易くなるように設計しています。DM7シリーズでは、ストリップライトとフェーダー面をつなぐサイドパッドを滑らかな曲線でデザインすることで一体感を持たせており、さらにその形状は、ストリップライトからの光漏れを防ぐとともに、USBメモリーやノブなどとの誤接触防止のガードも担っています。
一貫したデザイン
一貫したデザイン
オーディオエンジニアは、限られた時間の中でセッティングを行い、最高のサウンドをつくり上げる必要がありますが、会場によって環境や使用機材が異なるため、操作しにくいミキサーは作業負担を増加させます。DM7シリーズは、ボタンやノブのレイアウト、機能、グラフィックなどのこれまでのヤマハミキサーのインターフェース基準を継承し、親しみやすい操作感を実現しています。
また、RIVAGE PM/CL/QLシリーズの滑らかなラインを継承し、操作性、造形性の両面で一貫したデザインを実現しています。
持ち運びや設置が容易な軽量、コンパクトな筐体
持ち運びや設置が容易な軽量、コンパクトな筐体
様々な用途に使用されるミキサーにとって、運搬性やセットアップのしやすさは最も重要な要素の一つです。DM7シリーズでは、ディスプレイの角度、フェーダーやボタンの間隔、ストリップライトの位置などを工夫し、高い操作性と視認性を維持しながらコンパクトな筐体を実現しました。DM7 Compactはサイドパッドを取り外すことでラックマウントができ、限られたスペースの現場でも使用可能です。
機能性
エンジニアは、アーティストやクライアントからの様々な要求に巧みに対応し、オーディエンスに最高のサウンドを届けることが日々求められています。ヤマハは、エンジニアが限られた時間の中でクリエイティブな作業に集中し、妥協することなく迅速かつ効率的なワークフローを確立できるよう、DM7シリーズに最先端の技術を搭載しました。
1台のミキサーで2台使用のように活用できるSplit Mode
1台のミキサーで2台使用のように活用できるSplit Mode
Split Modeでは、シーンメモリーを含むミキシング機能を2分割することで、2台のミキサーが必要な場面でも、1台のミキサーでそれぞれのオペレーションを独立して行うことが可能です。例えば、FOHミキシングとモニターミキシング、FOHミキシングとストリーミング配信などの、2台のミキサーが必要になる場合の異なるミックスを、1台のミキサー操作でオペレーションすることが可能です。
オペレーションに集中できるAssist機能を搭載
オペレーションに集中できるAssist機能を搭載
ヤマハのデジタルミキサーは、これまでユーザーの声を反映した機能強化、そして新しい技術とともに進化してきました。そしてDM7シリーズに追加した新しいAssist機能は、DM7をオペレートするエンジニアにこれまでに無い先進の操作環境を提供します。
Assist機能はHAレベル、チャンネルネームとアイコン、フェーダーバランスなど全ての音作りの中核となるパラメーターをミキサーがエンジニアに「提案」する機能で、設定や準備にかかる時間を短縮し、クリエイティブな作業やコミュニケーションに集中する手助けをします。HA Assistは入力信号レベルに応じて適切なHAレベルを、Naming Assistは入力信号情報から各チャンネルのアイコン/チャンネル名を、Fader Assistは割り当てられたチャンネルのフェーダーレベルのバランスをそれぞれ提案します。これらの機能は、ユーザーからの声をもとに、今後も進化していきます。
柔軟な接続に対応するDanteインターフェース
柔軟な接続に対応するDanteインターフェース
DM7シリーズは、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワークプロトコルの組み合わせで、プロオーディオの業界標準となっているオーディオネットワークDanteインターフェースを標準で搭載し、Dante経由で144ch in/outが可能です。Danteは1本のEthernetケーブルで数百のオーディオチャンネルを伝送することができ、どの分野でもチャンネル数の上限を気にすることなく、柔軟な拡張性の高いネットワークシステムを構築することができます。デバイスマウント機能により、DM7シリーズからDante対応機器とのパッチやHAリモート、デバイスコントロールも容易に行えます。
汎用性の高いUSB接続
汎用性の高いUSB接続
DM7シリーズのUSB type-Cコネクターは、レコーディング、ストリーミング配信、プレイバック、会議システム等との接続に、18 in/outのオーディオインターフェースとして使用することができます。
また、MIDIコントロールやDAWリモート機能を同時に扱え、ワークフローを効率化することもできます。
効率的な音楽制作を実現するDAWリモート
効率的な音楽制作を実現するDAWリモート
DM7シリーズは、DAWを使った音楽制作やレコーディングにも最適なミキサーです。DAWリモート機能により、音量調整、トランスポートコントロールなどの操作を本体のフェーダーやボタン、ノブなどをフィジカルコントローラーとして活用でき、オーディオ制作やレコーディング用途でスムーズな操作環境を実現します。DAW Remote Modeは、フェーダーバンクDCAを押し、DAW Remoteを選択するだけでアクセスできます。
電源の二重化で信頼性を確保
電源の二重化で信頼性を確保
DM7シリーズでは、プロオーディオ機器を運用する上で大きなリスクとなる電源を二重化し、本番中の電源喪失リスクを軽減しています。万が一、一方の電源に問題が生じても、もう一方の電源が問題なければ、動作に影響することはありません。
拡張性
理想的なシステムは、オペレーター、会場、イベントによって異なりますが、DM7シリーズは、ユーザーの必要に応じてシステムをカスタマイズし、ソフトウェアでワークフローを効率化することができます。
エクスパンションコントローラー「DM7 Control」
エクスパンションコントローラー「DM7 Control」
「DM7 Control」ユニットとDM7コンソール本体をEthernetケーブルで接続することで、User Defined Keys/Knobs、シーンメモリー、モニターコントロール、パンナーといった多くの物理コントロールを使った素早い操作が可能になり、さまざまなアプリケーションで活用できます。ミュージカルなど、完璧なタイミングでのトリガーやシーンチェンジが求められるようなアプリケーションでは、User Defined Key/Knobやシーンメモリーボタンによる高速かつ確実な操作を実現します。効率のいい編集作業が求められるポストプロダクションでは、User Defined Keyやジョグシャトルに割り当てたトランスポートコントロールで快適かつ迅速な操作を可能にします。
フィジカルコントローラーが活躍する放送局やイマーシブプロダクションといった現場では欠かせないツールとなるでしょう。
DM7 Controlは、DM7/DM7 Compactに取り付けることができ、1台のミキサーとして操作できます。
* DM7 Controlには、オプション品のBroadcast Package/Theatre Packageをバンドルしています。DM7ファームウェアV1.5以降が必要です。
放送や劇場用途の機能強化パッケージBroadcast Package / Theatre Package
放送や劇場用途の機能強化パッケージBroadcast Package / Theatre Package
オプションのBroadcast Package/Theatre Packageにより、放送や劇場用途に適した機能を追加することができます。
放送用途に適したBroadcast Packageは、5.1サラウンド(将来アップデート対応)、ミックスマイナス、ラウドネスメーターなどの機能を追加し、DM7シリーズを使った放送向けミキシングを効率化します。
演劇やミュージカルなど劇場用途に適したTheatre Packageは、アクターライブラリー、DCAシーングリッド、AFC Imageコントロール(将来アップデート予定)などの機能を追加し、DM7シリーズを使った複雑なシーン運用や音響演出において、ミキシングの利便性を大幅に向上させることができます。
PYカード用拡張スロット
PYカード用拡張スロット
DM7シリーズは、オーディオI/Oや制御機能を拡張できる最大64 in/outのPYスロットを装備しています。64 in/outのMADI入出力に対応した「PY64-MD」、8 in/outのAES/EBU D-sub 25ピン端子を備えた「PY8-AE」、DIN 5ピンとD-sub 15ピン端子でMIDI/GPIコントロール端子を追加できる「PY-MIDI-GPI」など、多様なシステムに柔軟に対応できます。
コントロールソフトウェア
コントロールソフトウェア
近年のデジタルミキサーは、ワイヤレスミキシング、モニターミキシング、オフラインでの事前準備、各種アプリケーションによる遠隔操作などが一般的になっています。DM7シリーズは、これらに対応する専用アプリケーション「DM7 Editor」「DM7 StageMix」、汎用のアプリケーション「MonitorMix」「ProVisionaire Control」と「ProVisionaire Touch」を用意しています。また、OSC(Open Sound Control)サーバー機能を搭載しており、OSC対応機器からDM7シリーズをコントロールすることも可能です。
Console File Converter
Console File Converter
Yamaha Console File Converterは、ヤマハデジタルミキサーの異なるモデル間でデータを共有できるアプリケーションで、最新バージョンではDM7シリーズも対応します。DM7シリーズ、RIVAGE PMシリーズ、CL/QLシリーズ、PM5D、M7CL、LS9の各コンソール間でデータを共有できるため、使用するコンソールが異なっても、次の公演のために一からデータを作り直す必要がありません。
バンドルソフトウェア
バンドルソフトウェア
DM7とDM7 Compactには、VST Rack ElementsとNuendo Liveをバンドルしており、ライブやスタジオでのクリエイティブなサウンドメイキングをサポートします。
VST Rack Elementsは、Windows/Macに対応したプラグインホストソフトウェアです。お好みのエフェクトラックを簡単に作成でき、DM7シリーズと音声をルーティングすることでVSTプラグイン環境を構築することができます。
Steinberg Nuendo Liveは、ライブでのマルチトラックレコーディングはもちろん、マルチトラックでレコーディングされたデータを使ったバーチャルサウンドチェックにも活用でき、リハーサルや曲作りをスムーズに行うために最適化されたDAWです。
さらに「Yamaha Console Extension」をインストールすることで、PC側で操作しなくても、レコーディングの開始やプレイバックといったNuendo Liveのトランスポートコントロールなどをコンソールから操作できます。