ユース部門 受賞者インタビュー

第8回 ヤマハ ジュニア ピアノコンクール

ユース部門 受賞者インタビュー

2023年7月23日(日)に第一生命ホールで開催しました第8回ヤマハジュニアピアノコンクール ユース部門グランドファイナルの終演後、受賞者へインタビューを行いました。

学校の同期の友人の紹介でこのコンクールを知り、30分、45分というまとまったプログラムを演奏できることに魅力を感じ、参加させていただきました。

グランドファイナルではベートーヴェン《ピアノソナタ第17番「テンペスト」》とプロコフィエフ《ピアノソナタ第8番》を演奏し、古典と現代の2つの大きなソナタを続けて弾くのは、体力的に厳しかったですが、よい経験になりました。

プロコフィエフには初めて取り組んだのですが、意外と古典的な素敵な曲で、ベートーヴェンと並べて弾くことで、和声や響きの違いを感じたり、互いの魅力を鏡のように映し出すことができたように思います。

7人の審査員の方たちからいただいた講評は、それぞれ違う方向からよい点、悪い点を指摘してくださったので、これからの勉強の糧にしたいと思います。
やはり作品に埋め込まれた意図を自分でどう汲み取っていくかということが大切なのだ思いました。

子どもの頃、バレンボイムが指揮をする姿をテレビで見て、指揮者にあこがれました。
彼のように指揮もやって、ピアノも弾けたらかっこいいなと思ったんです。
スコアを読んで指揮の勉強もしていますが、最近は自分がどういう方向に進んだらよいかわからなくなっています。
今、ちょうど大学に通い始めて半年くらい経ち、少しずつ興味の持てることが見えてきたので、自分なりの道を模索していきたいと思います。

ヤマハ音楽教室ジュニア専門コースで学んでいたので、いつかこのコンクールに参加したいなと思っていました。
今回が初めての参加ですが、とても勉強になりました。

グランドファイナルでは「精神」をテーマに、ベートーヴェン《ピアノソナタ第21番「ワルトシュタイン」》、サン=サーンス《死の舞踏》、スクリャービン《ピアノソナタ第9番「黒ミサ」》を演奏しましたが、45分のプログラムを弾くのは初めてだったので、集中力を途切れさせずに弾き切るのは大変だなとあらためて思いました。
また、心の深い部分を表現するという意味でも未熟さを感じ、今後の課題として究めていきたいと思いました。
でも、響きのよい大きなホールで弾くことができてうれしかったです。

審査員の先生方からは、こういうふうに弾きたいという自分の意志をもっと強く持ちなさいという講評をいただきました。
たしかに、ただ単純に楽譜を見て、フォルテと書いてあるから強く弾くと思っていたので、強弱記号などに込められた作曲家の意図をもっと深く考えなければいけないと思いました。

小学生くらいの頃から、自分のピアノで人を笑顔にすることができたらいいなという漠然とした夢がありました。
来年は大学受験ですが、ピアノを弾き続け、聴く人に何か影響力が与えられるようになれたらいいなと思います。

以前、ヤマハ音楽教室に通っていた私にとって、ヤマハジュニアピアノコンクールは目標であり、憧れのコンクールでした。C部門・D部門ではセミファイナルで入賞することができましたが、なかなかグランドファイナルへ進むことができませんでした。
昨年、ユース部門グランドファイナルを聴きに行かせていただき、ファイナリストの皆さんの演奏が素晴らしく、ますます自分にとって憧れのステージになりました。
今回、動画審査そしてセミファイナルと、1ステージごとに一生懸命取り組みました。グランドファイナル進出が決まった時はとても嬉しかったです。

このコンクールの魅力は、響きの良い素晴らしいホールで長時間のプログラムを演奏できることと、審査員の先生方からの個別講評を口頭でいただけることだと思います。

グランドファイナルでは、ショパン《ボレロ》、ベートーヴェン《ピアノソナタ第27番》、ドビュッシー《前奏曲集第1集より「アナカプリの丘」「ミンストレル」》、バッハ=ブゾーニ《シャコンヌ》を演奏しました。

ステージで45分間演奏するのは初めてだったので不安もありましたが、自分が学んでいる曲をこんなに長い時間かけて聴いていただける機会はなかなかないので、少しでも良い演奏ができるよう練習に励みました。

審査員の先生方に共通して言われたのは、表現は自分が思っている以上にもっと出してよい、自宅で練習する時も、ステージでの演奏をイメージするように、ということでした。また、楽譜をよく見るようにと言われました。楽譜をよく見るということは、作曲家の意図を汲み取ることで、どうしてここでクレッシェンドしているのか、どういう意味を込めてこのような表現になっているのかをよく考えて、それらを理解した上で自分なりの表現にしていかないといけないことなどを学ばせていただきました。

この春に入学した、東京音楽大学ミュージックリベラルアーツ専攻ピアノ演奏家コースは、英語学習にも力を入れているのでそれを活かして、いつか国際コンクールに挑戦したり、海外で勉強する機会に繋がるといいなと思います。これからも努力を重ねていきます。

【取材:森岡 葉】
【撮影:武藤 章】