ユース部門 受賞者インタビュー

第9回 ヤマハ ジュニア ピアノコンクール

ユース部門 受賞者インタビュー

2024年8月1日(木)に第一生命ホールで開催しました第9回ヤマハジュニアピアノコンクール ユース部門グランドファイナルの終演後、受賞者へインタビューを行いました。

 ユース部門は、素晴らしい環境で長時間弾かせて頂けるコンクールというだけでなく、自分で考えた重量あるプログラムを準備することで、大変ですが成長させて貰えるコンクールだと実感し、開設以来参加してきました。 特に昨年度は、グランドの切符を頂けたものの、諸事情で参加出来なかったので、今年度の第一位が本当に嬉しいです。

 グランドファイナルでは、ベートーヴェン《ピアノソナタ 第28番》、スカルラッティ《ソナタ K.87》、シューマン《ピアノソナタ 第3番》を演奏しました。ピアノソナタ2曲が大曲で、体力的に保たないところもあり、反省点は沢山ありますが、響きのよい第一生命ホールで大好きなヤマハCFXの音色の変化を感じながら演奏することができて気持ちよかったです。 このユース部分を受ける当初の動機も実はそこにあったりしました。CFXの柔らかく温かみのある音色には心惹かれます。

 ピアノを習い始めた小学生の頃は、とにかく好きで夢中で弾いていたような気がしますが、中学1年から藝大のジュニアアカデミーとヤマハマスタークラス演奏研究コースに入れていただき、偉大な先生方のご指導を受けられて、音楽を専門に学びたいと思うようになりました。 ピアノの魅力は、やはりひとりでオーケストラのような音楽をつくれることです。少し指揮者になったような気分になれるのも他の楽器にはない魅力だと思います。

 審査員の先生方からは、拍を意識すること、もう少し客観的に自分の音楽を聴くこと、弱音の種類を増やすことなど、以前から課題だったこともご指摘いただきました。

 この貴重なアドバイスを糧に、今後は国際コンクールなどにも挑戦し、聴く人に作曲家やその曲の魅力を伝えられるようなピアニストを目指して勉強していきたいと思います。

 台湾から始めて参加しましたが、素晴らしいステージで演奏する機会をくださったヤマハの皆様に感謝しています。CFXもコントロールしやすいピアノで、色彩豊かな音色がホールと自然に響き合って、とても気持ちよく演奏することができました。

 父がピアノが大好きなので、幼い頃からピアノに親しみ、ヤマハ音楽教室で学び始め、小学4年生のときに台湾の全国学生音楽コンクールで1位を獲ったことがきっかけで、ピアニストを目指して本格的に勉強するようになりました。現在は、国立台南芸術大学で李威龍先生に師事しています。

 グランドファイナルでは、ベートーヴェン《ピアノソナタ 第23番「熱情」》とラフマニノフ《ピアノソナタ 第2番》を演奏しました。2人の作曲家の世界を描き分けることができたらいいなと思いました。作品に取り組むときは、まず音楽のストーリーや背景を理解することが重要だと思っています。それをどのように作品の中の各フレーズで表現したらよいかを頭の中で想像してから、指で弾くようにしています。

 今回選んだ曲目はどれもお気に入りの作品で、とくにセミファイナルで弾いたストラヴィンスキー《火の鳥》は、技巧的に難しく、チャレンジが必要でしたが、原曲のバレエ音楽のオーケストラの各パートの音色が聴こえてくるような演奏を目指しました。

 今はとにかくレパートリーを増やし、誠実に音楽に向き合って勉強していきたいと思っています。ピアノを通して音楽の喜びを聴いてくださる方たちと分かち合える演奏家を目指したいと思います。

 このコンクールには、2016年の第1回から何回か参加しています。ジュニアB部門・C部門・D部門、そしてユース部門と、いつも学ぶことが多く励みとして参加してきました。今回は第2位をいただきとてもうれしく思います。

 1歳半からヤマハ音楽教室に通い始め、小中学生の頃はジュニア専門コースで学びました。ヤマハで学んだアンサンブルの経験が、今とても役立っていると感じます。また、同じくヤマハで感覚的に学んだソルフェージュや和声の知識を、今改めて言語化し学んでいます。ヤマハでは、ごく自然に体系的に音楽を学ぶことができたと思っています。

 グランドファイナルではモーツァルト《ピアノソナタ 第18番》、ラヴェル《夜のガスパール》を演奏しました。今フランス音楽に心惹かれています。モネの絵画のように美しい色彩感を音楽で表現できたらいいなと思います。

 審査員の先生方からは、モーツァルトについては、もっとオペラを勉強して、それぞれの役柄を演じるように音楽で表現すること、美しいものだけではなく醜いものも感じると美しさがより際立つこと、もっと自分の意思が伝わるような演奏にすること、などのアドヴァイスをいただきました。

 ヤマハCFXは、やりたいことを受けとめてくれるピアノだなと感じました。ここでこうしたいと思うときに、出したい音を作ってくれたと思います。

 目指しているのは、作曲家と聴き手をつなぐ存在として、作曲家の思いや曲のよさを伝えられる演奏家になることです。音色についても追求し、内面的にも成長していきたいと思います。

※同位は生年月日順に掲載しています

【取材:森岡 葉】
【撮影:武藤 章】