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深見まどかの「C’est la vie~ 関西人のパリ音楽漂流記」

2015年ロンティボー国際音楽コンクール5位(1位なし)、2017年ブゾーニ国際ピアノコンクールファイナリストなど輝かしい成績を収め、世界的なピアニスト、マリア・ジョアン・ピリスからも賞賛を受ける深見まどかが、現在拠点を置くパリから日々の出来事や、演奏活動の様子などお届けいたします。

(毎月1日、15日頃更新。※更新日は、都合により前後する場合がございます。)
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pianist 深見まどか

pianist 深見まどか
« 卓越した技術と音色を併せ持つヴィルトゥオーゾ» « 壮絶なパワーと集中力 » « 傑出したドビュッシー弾き。不可能を感じさせない技巧と個性 » - 仏ウエストフランス紙、クラシカジャンダ紙などのコンサート評より

« まどかさんは常に真摯に音楽に取り組み、音楽に対して献身的な愛を傾けるピアニスト。膨大なレパートリー、完全な音楽性と安定した高度なテクニック。 » - マリア・ジョアン・ピリス

京都市生まれ。東京藝術大学音楽学部付属音楽高等学校、同大学音楽学部を経て渡仏。パリ国立高等音楽院修士課程において3つの科(ピアノ、古楽フォルテピアノ、室内楽)全てを審査員満場一致の首席で卒業。同音楽院学長の推薦を受け、最優秀学生として仏国立学術団体アカデミー・フランセーズ奨学金を受けた。パリ・エコールノルマル音楽院コンサーティストディプロマ取得。また、アブデル・ラーマン・エル=バシャの勧めによりベルギー・エリザベート王妃音楽大学のアーティスト・イン・レジデンスを3年間務めた。

※上記は2020年9月17日に掲載した情報です。

No.19コロナ禍に思うこと。封鎖直後のフランス〜Depth of Light裏話0番

2020.09.17更新

数ヶ月ご無沙汰してしまっておりました。
皆様、いかがお過ごしでしょうか。

前回12月にコラムを執筆していた時には、季節が変わる頃にここまで世界を取り巻く環境が一変してしまうとは想像もしていませんでした。

さて本日は、この数ヶ月ひたすら取り組み続けた主催プロジェクト「Depth of Light」無観客公演について、公演の映像配信開始を目前にした今、公演裏話を綴りたいと思います。

フランスの国境封鎖前後の様子に触れなければ、企画の経緯が書けないと気づきましたので (笑)、今回はまず、封鎖前後の様子と、「Depth of Light」公演の企画の発端を綴ります。

「Depth of Light」公演写真より Photo by Mari Tanabe

1月。フランスはまだその頃、コロナ関連のニュースよりも年金制度改革抗議デモ関連の話題が中心で、ウイルス関連の話題は武漢の状況が伝えられる程度でした。パリはまだ閉まっている駅も多く、通常の生活に戻れるには遠い感覚でした。

そんな中、マスクをつけたままで地下鉄に乗ると、子供からウイルスだー!と叫ばれて周辺の人が降りていき、複雑な気持ちになりました。また、ある主催者からは、日本に帰っていたみたいだから申し訳ないけど2月のコンサートは中止にしてほしい・・・と言われ、やはり皆アジアの病気として恐れているのだな、と気付いたのです。

この頃からフランスではアジア人全体やイタリア人を避ける動きが出始めていましたが、国同士の亀裂が深まっていく状況や日々の感染者増加の状況を見て、いま自分は音楽家として何が出来るのだろうかと問い始めました。

3月、フランスもついに緊急事態宣言が発令され、すべてのイベント中止、学校一斉封鎖を受けて、私たち音楽院の職員はオンラインレッスンへの切り替えへ向けて急な対応に追われることになりました。

しかしこの宣言直後の土曜日には大規模なデモが予定通り国のあちこちで行われ、この時期に集団で行進をしてしまう自覚のない行動に幻滅した大統領が、「罰金制度」を伴う外出禁止例を発令したのです。

外出禁止令発令直後のパリは、まさに映画の中で描かれている世紀末のような状態でした。
 

スーパーや薬局には人が殺到し、備蓄できる食料の棚は空っぽ。イタリア製の食材だけが残っているところがなんだか物悲しい・・・

いかなる状況でも「なんとかなる」精神で、非常時でも「楽しむ」精神が自然に備わっているフランス人の友人たちですが、そんな彼らでも怒りが抑えきれない様子。

このフランスの緊急事態宣言と国境封鎖から間もなくして、私は慌てて日本に一時帰国することになりました。4月に日本で予定していた公演がまだ開催予定だったのです。

外出禁止令発令数日後のパリ。罰金制度の効果があり、人がいない!

フランスと日本、両国の都市封鎖を体験して感じたのは、

未知のウイルスに対するやり場のない怒りや積み重なるストレスなどで、どんどんと荒んでいく人々の心。

そして、社会の隅に追いやられていく文化芸術分野の危機 。

国境封鎖によって世界が分断され、殺伐とした気持ちが増幅されていくこの現況を何とかしなければと思った時、立ち止まって考えたのは、「芸術の存在意義、今後の芸術のあるべき姿」でした。

今こそ、芸術で人の心に活力を与えるために、アーティスト同士がそれぞれの芸術分野の垣根を超えて繋がり、共に立ち上がって何かをしなければ!と思い、異分野コラボレーションの企画を決意したのです。

・・・・
ここまでが、今回のコラボレーション舞台企画に至ったきっかけです。

ここから先はまた次のコラムで・・・ à la prochaine fois !


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« 卓越した技術と音色を併せ持つヴィルトゥオーゾ» « 壮絶なパワーと集中力 » « 傑出したドビュッシー弾き。不可能を感じさせない技巧と個性 » - 仏ウエストフランス紙、クラシカジャンダ紙などのコンサート評より

« まどかさんは常に真摯に音楽に取り組み、音楽に対して献身的な愛を傾けるピアニスト。膨大なレパートリー、完全な音楽性と安定した高度なテクニック。 » - マリア・ジョアン・ピリス

京都市生まれ。東京藝術大学音楽学部付属音楽高等学校、同大学音楽学部を経て渡仏。パリ国立高等音楽院修士課程において3つの科(ピアノ、古楽フォルテピアノ、室内楽)全てを審査員満場一致の首席で卒業。同音楽院学長の推薦を受け、最優秀学生として仏国立学術団体アカデミー・フランセーズ奨学金を受けた。パリ・エコールノルマル音楽院コンサーティストディプロマ取得。また、アブデル・ラーマン・エル=バシャの勧めによりベルギー・エリザベート王妃音楽大学のアーティスト・イン・レジデンスを3年間務めた。
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※上記は2020年9月17日に掲載した情報です。