シンセサイザーって何?

シンセサイザーって何?

皆さんはシンセサイザーという言葉を聞いたことがありますか?聞いたことがあるという方もどのようなイメージを思い浮かべるのでしょうか?シンセサイザーという言葉自体は英語の「synthesize(シンセサイズ)」=合成する、という言葉からきており、電子回路を使って様々な音を出す機械(楽器)のことを指します。
音を合成?といわれてもピンと来ない人が多いかもしれないので、少し音や音の伝わり方について説明しましょう。

音の振動

音というのは空気の振動で伝わります。例えば太鼓を叩くと、太鼓に張られた皮が前後に振動して空気を揺らし、それが耳に届いて(鼓膜を揺らして)音として伝わります。

アコースティック楽器から 音が出る仕組み

生楽器では、打楽器のように物を叩いて空気を振動させたり、弦を弾いたり擦ったりして空気を振動させています。それにより音を出しているのです。

電子楽器から音が出る原理

このように空気を振動させられるものであれば音を出すことが可能なのですが、ここでちょっと糸電話を想像してみましょう。
糸電話は、話し手側の紙コップの底部分の振動が糸を伝わって聞き手側のコップの底にも伝わり、聞き手側の耳付近の空気を振動させて音が伝わります。

糸電話では振動を伝えるのに糸を使用しているのですが、この部分を電気信号に変換すると次のようなイメージになります。話し手側のコップがマイクに変わり、電気信号に変換された振動がケーブルを通ってスピーカーで再び空気の振動に変換されて届きます。(マイクの信号をケーブルに流したり、ケーブルの信号をスピーカーから大きな音で出すためにアンプという機器を使いますが・・・)
皆さんがお使いのヘッドホンやイヤホンもスピーカーの仲間ですので、現代の音楽再生の原理は基本的にこのような仕組みです。もちろんマイクの部分をメモリープレーヤーやCDにすれば様々な音楽を聴くこともできます。

先程のマイクとスピーカーの例では、マイクの前で楽器を弾けば、その音をスピーカーから出すことができるのですが、最初から電気信号をケーブルに流してしまえば、マイクと楽器の代わりになるのでは?と考えたのが電子楽器の原理と言っても良いでしょう。

電気信号が音になる仕組み

電気信号を流せば・・・と簡単に言っても声や楽器の音のような複雑な振動を電子回路で簡単に作り出すことはできません(実はここが永遠の課題なのです・・・)。しかし、今から100年以上前には既に発振回路(真空管やトランジスタを使用したもの)という一定の振動を繰り返す電気信号を作り出す装置が発明されており、これを音の元として使用することができるようになります。

この装置を元に作られた電子楽器の基礎ともいうべき楽器が「テルミン」で、発振回路から出る電気信号の周波数を調整して音の高さをコントロールすると同時に、音量もコントロールすることで楽器のように音を出すことができる機械です。
※実際には発振回路の周波数そのものでは無く、2つの発振回路の周波数の違いから生まれるうなりで音が出ています。

テルミン自体は音を合成して様々な音色が出るというものではありませんが、本来叩いたり弾いたり擦ったりしないと生み出せなかった空気振動の元を電気的に作り出す・・・という意味ではシンセサイザーの原型とも言えます。