エフェクトを使ってさらにグレードアップを

エフェクトを使ってさらにグレードアップを

もうシンセサイザーの音作りの基本はほとんど理解できたと思うのですが、最後にreface CSに搭載されているエフェクトの機能について解説しておきましょう。

シンセサイザーの音作りにおいてエフェクトの効果というのはオシレーターやフィルターを操作するのと同じくらい重要なポイントで、エフェクトを使いこなすことこそがシンセサイザーにおける音作りのコツとも言えます。

では毎度の「reface CSの基本形」を作りましょう。
EFFECTのセクションにはTYPE、DEPTH、RATEという3つのスライダーがあるのですが、基本的にはTYPEでエフェクトを選択して、効果の具合をDEPTHとRATEで調整するといった流れです。どんなエフェクトがあるのか、一つずつ試してみましょう。

ディレイ

まずは、TYPEをDELAY(ディレイ)にしてRATEを真ん中あたりに上げた状態で鍵盤をポンと一音だけ弾いてみましょう。

弾いた音と同じ音がもう一度後から聞こえてくると思います。

これがディレイ=遅延の効果です。すなわち弾いた音がしばらくしてからもう一度再生されるというエフェクトです。
RATEを一番上まで上げてみてください。

すると遅れてくる時間が長くなります。

今度はDEPTHを真ん中ぐらいまで上げてみましょう。繰り返して再生される音が大きくなり、さらに回数も増えます。

ピッチベンドレバーを動かして連続的にピッチを変化させた音にディレイをかけると、さらに幻想的な雰囲気を作り出すことができます。ただし、DEPTHを一番上まで上げてしまうと、繰り返しが止まらなくなり、音が鳴りっぱなしになるので注意が必要です。※あえてその状態をキープして効果音的に使うこともありますが、音を止めるときはDEPTHを下げてください。

フェイザー

次にTYPEをPHASER(フェイザー)の位置にしてみましょう。 DEPTHは一番下に下げた状態で鍵盤を弾きながらRATEを上下させると、「ウワンウワン」とうねるような音の変化が感じられると思います。RATEを上げるとうねる速度が速くなっていくのがわかると思います。

さらにDEPTHを上げると今度は「ミャーン、ミヤーン」といった音に変わっていくのがわかると思います。
あまり上げすぎると過激な音になってしまうのですが、RATEを一番上にして、DEPTHを真ん中ぐらいの位置にした状態でOSCのTPYEを一番上にすると、トレモロオルガンのようなサウンドを得る事ができます。

フェイザーとはフェイズ=位相をずらした音を元の音と重ねることで起こる干渉で生まれるサウンドを作るエフェクターで、フェイズシフターとも呼ばれます。単純なサイン波で考えた場合、位相が半周期分ずれると重なった時点からお互いを打ち消し合って音が出なくなってしまうというのはイメージがつくと思います。

周波数の違う波形の場合は、同じ時間だけ音をずらしても打ち消し合わずに逆に強調されたり、少しだけ減衰したりといった具合に変化が異なります。いろいろな倍音成分を持つ音に対しては、特定の周波数のみが減衰されるフィルターのような効果が得られ、さらに位相のズレ具合を周期的に変化させると減衰される周波数が上下に変化することになります。
これによりなんとなく後ろでピッチが上下するようなサウンド(ジェット機が通過するような音)が得られるのです。

コーラスとフランジャー

OSCのTYPEを一番下のノコギリ波に戻してから、今度はエフェクトのTYPEをCHO/FLAの位置にしてみましょう。

CHOはコーラス、FLAはフランジャーの意味で、どちらも仕組みがほとんど一緒のエフェクトです。

原理的にはディレイを応用しており、遅延して再生される音のピッチを揺らして原音と混ぜることにより音が2重になったようなというか、ボーカルでいうと二人で歌っているかのような効果を得るものです。当然ですが、ディレイタイムはずれていると認識できないぐらい短い値で設定されています。

フランジャーはコーラスよりもさらに短いディレイタイムを使い、ディレイにあるリピート機能(フィードバック機能)をかけて周波数の干渉を作り出すことで独特の上下するピッチ感を出すエフェクトになります。

RATEを真ん中ぐらいに設定し、DEPTHを真ん中より少し下ぐらいに設定して音を出してみましょう。全体に揺らぎのある豊かな音色になるのがわかると思います。
オシレーターセクションをノコギリ波にしているときのMODを上げてマルチソー状態にしたときの音に似ていますね。ただ、こちらはステレオエフェクトになっているので、立体感が出るのが特徴です。もちろんマルチソーにさらにこの効果をかけるのもアリです。

コーラスサウンドを試したら、次はそのままDEPTHを3/4の位置ぐらいまで上げてみましょう。
するとピッチが上下する音が混ざります。この状態がフランジャーサウンドになります。
この過激な音のまま使用しても良いのですが、上品にフランジャーサウンドを使用したい場合にはRATEを下げてピッチの上下感をさりげなく使う方が良いでしょう。

ディストーション

いよいよエフェクト部門の最後のエフェクトです。

TYPEをDISTに設定してみましょう。 DIST=ディストーションというエフェクターで、主にギタリストが使用する歪み系エフェクトのことです。
アンプで大きな音を出すと「ガガガ・・」という具合に音が割ると思うのですが、これをエフェクトにしたものと考えて下さい。

歪むと何が良いのか???

ちょっと疑問に思うかもしれないですが、ギタリストにとっては減衰していくギターの音に歪みを加えることで、一定の音量を保ったサウンドを出すことができ、さらにサステインも得られるため、自分のギターの音をアンサンブルの中で存在感あるものにできるというメリットがありました。

しかし、電子楽器であるシンセサイザーは、鍵盤さえ押し続ければ永遠とサステインを得られるので、シンセサイザーにディストーションをかけるのは希なケースだったのですが、歪ませたときのざらざらとノイズっぽいサウンドと、和音を弾いたときに現れるパワー感と若干壊滅的(?)なサウンドが見直され、近年ではシンセサイザーに歪み系のエフェクターを使用する人が増えてきました。

ひと言で言うと派手になる!!!と覚えておきましょう。

TYPEがDISTの時はTEXTUREが歪みの量、RATEがトーンコントロールになります。

TEXTUREを0にして歪ませない状態を作り、RATEのスライダーだけを使用すると、全体の音がちょっと籠もっているな・・・と思ったときのトレブルコントロールとして使用することもできますので、この裏技も覚えておきましょう。