2012年第8回浜松国際ピアノコンクールで歴代日本人最高位の第2位受賞の中桐望が、初めての海外留学へ出発。日々の出来事や想いを書き綴ります。
(毎月1日、15日頃更新。※更新日は、都合により前後する場合がございます。)- No.20 2015.10.21更新 「ショパン・コンクール – THE・END –」
- No.19 2015.09.10更新 「スイッチ・オフと心境」
- No.18 2015.08.18更新 「大自然と温泉とピアノと」
- No.17 2015.07.28更新 「いざ、ビドゴシチへ!」
- No.16 2015.07.01更新 「好きなものに囲まれて」
- No.15 2015.06.04更新 「リニューアル・オープン!」
- No.14 2015.05.13更新 「ワルシャワの食」
- No.13 2015.04.27更新 「ただいま、春のワルシャワ」
- No.12 2015.03.24更新 「路面電車に乗って」
- No.11 2015.03.05更新 「マゾフシェ」
- No.10 2015.02.18更新 「脂と涙の木曜日」
- No.9 2015.02.05更新 「調律師」
- No.8 2015.01.21更新 「To Warsaw」
- No.7 2015.01.08更新 「抱負」
- No.6 2014.12.17更新 「ポーランド食器とエキエル版」
- No.5 2014.12.03更新 「お買い物」
- No.4 2014.11.18更新 「愛すべき My Home」
- No.3 2014.11.04更新 「日常」
- No.2 2014.10.15更新 「先生との出会い・・・などなど」
- No.1 2014.10.01更新 「ワルシャワとの出会い」
- pianist 中桐 望
- 岡山県岡山市生まれ。東京藝術大学ピアノ専攻を首席卒業。同大学大学院修了。2009年日本音楽コンクール第2位。2012年マリア・カナルス国際音楽コンクール第2位。同年、第8回浜松国際ピアノコンクールでは歴代日本人最高位となる第2位を受賞。 関西フィルハーモニー管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、スペイン・ヴァレス交響楽団等のオーケストラと共演。国内外でのリサイタルや音楽祭に多数出演している。第11回岡山芸術文化賞グランプリ受賞。これまでにピアノを内山優子、近藤邦彦、平川眞理、芦田田鶴子、大野眞嗣、角野裕、エヴァ・ポブォツカの各氏に、師事。2014年4月に岡山、名古屋、東京にてデビューリサイタルを開催し好評を博した。今秋よりロームミュージックファンデーション奨学生としてポーランドのビドゴシチ音楽学校に留学している。
No.19スイッチ・オフと心境
2015.09.10更新
先日まで真夏のような暑さだったワルシャワも、9月を数日過ぎると一気に気温が下がり、急に肌寒くなりました。いよいよ秋の到来ですね!
さて今年の夏は、6月末から8月上旬頃までマスタークラスなどでみっちり音楽と勉強漬けの日々を過ごし、その後は少しピアノから離れてゆっくり過ごす時間を作りました。というのも、ポーランドのポブウォツカ先生から「8月は一週間ほどピアノから離れてスイッチ・オフする時間を作りなさい。」とお休みのお許しをもらっていたので(笑)日本での夏休みを満喫し、ポーランドに戻ってきてからも、クラクフやチェコのプラハに行ってしっかりとリフレッシュしてきました!
クラクフの聖マリア教会の内装。美しい!
有名なカレル橋と、右奥にはプラハ城。この眺めは本当に最高です!
もちろん、ご存知の通り今私は、今秋のショパンコンクールに向けて練習を重ねる日々ですが、改めてショパンコンクールの大変さを痛感しています。
他のどんなに大きなコンクールでも、大抵はいろんな作曲家の作品から選んでプログラムを組むことがほとんど。もちろん作曲家によってカラーが違うので、そこに自分のキャラクターを重ねて、より自分の持ち味が生きる作品を意識的に選ぶし、その選曲に随分と自分が助けられていることを感じます。その点、ショパンコンクールはショパンの作品オンリー!ショパンから逃げも隠れもできないし、ショパンという人とその作品たちに徹底的に向き合う以外道はありません(笑)さらにショパンと向き合っているうちに、自分自身も見透かされているような気がしてきて、自分という人間、またピアニストとしての自分に真っ正面から向き合わなければ、何と言うか…ショパンを弾けない気さえしてくるのです。やはり恐るべしショパン、恐るべしショパンコンクールといった感じで、その偉大さをひしひしと感じる毎日です。
ショパンはどういう想いでこの作品を書いたのだろう…
これはもちろん当然考えなければいけないことだけれど、それ以上に“自分はどういう想いをもってこの作品を弾くのだろう…?”“本当に自分が出したい音、心が求めている音楽はどんなものなのだろう…?”“自分はピアニストとしてどうありたいか…?”“そして、ちゃんとそれが音に伝わっているか…?”
もうそんなことばかりぐるぐる考えて、ああでもない!こうでもない!と模索するのですが、意外とその答えやアイディアってピアノから離れている時間の何気ない瞬間にクリアになったりするもので、先生の言う「スイッチ・オフ」の期間は、そんな風に自分自身と深く向き合うための時間なのかなと思いました。それにピアノから離れる時間があると、そのあと戻った時にまた新しい発見や違った自分に出会えたりするんですよね!
どんな時でもピアノを弾くことにいつも新鮮な喜びと感動を持ってピアノに向かいたいな(…それがどんなに緊張するコンクールの舞台でも…!笑)と強く思います。
というわけで、今回はたまには真面目に音楽の話を…と思っていたら、ただのお悩み吐露になってしまいましたが(笑)コンクールまで早いものであと半月ほど!ポーランドでの留学奮闘の成果はいかに…ということで、この奮闘記をいつもご覧くださっている皆様には是非温かく見守って頂けたら嬉しいなと思いますし、自分自身でもこの一年ポーランドで吸収したことを自分なりの音(=言葉)で伝えられたらいいなと思っています。とにかくとことんショパンと自分と向き合って日々を大切に過ごしていこうと思います。
ショパンの手 at 私の部屋
最後に、ショパンコンクールのウェブサイト(http://chopincompetition2015.com/)です。
コンクールまで、そしてコンクール期間中も是非色々な情報をチェックしてみてください!
コラムIndex
- No.20 2015.10.21更新 「ショパン・コンクール – THE・END –」
- No.19 2015.09.10更新 「スイッチ・オフと心境」
- No.18 2015.08.18更新 「大自然と温泉とピアノと」
- No.17 2015.07.28更新 「いざ、ビドゴシチへ!」
- No.16 2015.07.01更新 「好きなものに囲まれて」
- No.15 2015.06.04更新 「リニューアル・オープン!」
- No.14 2015.05.13更新 「ワルシャワの食」
- No.13 2015.04.27更新 「ただいま、春のワルシャワ」
- No.12 2015.03.24更新 「路面電車に乗って」
- No.11 2015.03.05更新 「マゾフシェ」
- No.10 2015.02.18更新 「脂と涙の木曜日」
- No.9 2015.02.05更新 「調律師」
- No.8 2015.01.21更新 「To Warsaw」
- No.7 2015.01.08更新 「抱負」
- No.6 2014.12.17更新 「ポーランド食器とエキエル版」
- No.5 2014.12.03更新 「お買い物」
- No.4 2014.11.18更新 「愛すべき My Home」
- No.3 2014.11.04更新 「日常」
- No.2 2014.10.15更新 「先生との出会い・・・などなど」
- No.1 2014.10.01更新 「ワルシャワとの出会い」
執筆者 Profile
- pianist 中桐 望
- 岡山県岡山市生まれ。東京藝術大学ピアノ専攻を首席卒業。同大学大学院修了。2009年日本音楽コンクール第2位。2012年マリア・カナルス国際音楽コンクール第2位。同年、第8回浜松国際ピアノコンクールでは歴代日本人最高位となる第2位を受賞。 関西フィルハーモニー管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、東京交響楽団、スペイン・ヴァレス交響楽団等のオーケストラと共演。国内外でのリサイタルや音楽祭に多数出演している。第11回岡山芸術文化賞グランプリ受賞。これまでにピアノを内山優子、近藤邦彦、平川眞理、芦田田鶴子、大野眞嗣、角野裕、エヴァ・ポブォツカの各氏に、師事。2014年4月に岡山、名古屋、東京にてデビューリサイタルを開催し好評を博した。今秋よりロームミュージックファンデーション奨学生としてポーランドのビドゴシチ音楽学校に留学している。