RX/QXシリーズ

音楽制作からライブステージまでをサポート

マニュアルイメージ

「DXシリーズ」と共に1980年代の音楽シーンを支えた機器が、リズムマシーンの「RXシリーズ」とMIDIシーケンサーの「QXシリーズ」です。まず「RXシリーズ」ですが、それまで主流だったアナログシンセ音源を主体としたリズムマシーンに対抗し、完全PCM(サンプリング)音源を用いたリズムマシーンとして注目を浴びます。それまでリズムマシーンというのはテクノ系の音楽などで利用される機械的なリズムを奏でるために使用されることが多かったのですが、リアルなドラムサウンドと、アクセントレベルと呼ばれる音量変化をプログラミングすることでより表現力の高いリズムパターンを奏でられるため、ポピュラーミュージックでのドラムパートの代わりに使用されるケースが高くなっていきます。この「RXシリーズ」がPCM音源を搭載していたことで、ドラム系はPCM、その他の楽器はFMという棲み分けができ、FM音源オンリーの「DXシリーズ」をロングセラーにする牽引力になったといっても過言ではないでしょう。また「RXシリーズ」には大型のパット型スイッチが採用されており、ライブステージでキーボーディストがパーカッションを演奏する際にも重宝されました。とくにカウベルの音は独特のサウンドで、さまざまな楽曲に使われています。

  • RX11
  • RX21
  • RX15

「RXシリーズ」が発売されてから約半年後にはMIDIシーケンサーの「QX1」も発売されます。楽器メーカーが、ヘッドフォンやペダルなどの周辺機器類以外で音の出ない製品を出すというのは非常に珍しいことですが、四分音符あたりの分解能(解像度)384という細かさに加え、8トラック仕様、80,000音のメモリー容量、8系統 MIDIアウト端子など、レコーディングからライブで使用できる本格的なプロフェッショナルMIDIシーケンサーとして話題を呼びました。1986年に7万円を切る価格で発売された「QX5」はアマチュア層に手の届くMIDIシーケンサーとして普及し、音楽制作層を拡大させるきっかけを作った機種とも言えます。この頃にはすでにコンピューターとMIDIシーケンスソフトウエアによる音楽制作も行われていましたが、電源が安定しないライブ会場などでも安心して使用できるハードウエアシーケンサーとして、プロの現場で長い間愛用されたのも「QXシリーズ」の特徴といえるでしょう。

  • QX1
  • QX3
  • QX5