バンド・ライブ大規模
ステージと客席の規模が大きくなると、より出力の大きなPAシステムが必要になります。ここでは例として、エレキギター(2名)、ベース、ドラム、キーボード、ボーカル、コーラスという編成のステージを考えてみましょう。
システム例
PAシステムでは、音をまとめる「ミキサー」、音を増幅する「パワーアンプ」と「スピーカー」の3つの機器を組み合わせるのが基本です。近年では運搬や接続のしやすさを考えて、パワーアンプを内蔵する「パワードミキサー」や「パワードスピーカー」も多く使われるようになりました。
ここでは、デジタルミキサー、メインとなるパワードスピーカーに加えて、低音域用の「パワードサブウーファー」も使用する例をご紹介します。また、ステージが広いので、各演者がお互いの音を確認するため、足元にモニタースピーカーを人数分用意します。
会場が広いため必要に応じて楽器にもマイクを立てて音を増幅します。
入力
ボーカル&コーラス:マイクとミキサーをバランス(XLR)ケーブルで接続します。コーラス用にはマイクスタンドを使用します。
電子鍵盤楽器(電子ピアノ、シンセサイザー、キーボード):電子鍵盤楽器とミキサーを楽器用ケーブル(フォーン端子)で接続します。
ギター&ベース:ギターまたはベースアンプのスピーカー部にマイクを設置しマイクとミキサーをバランス(XLR)ケーブルで接続します。ベースの場合、DIを使用しBass AMP/ミキサーの双方に接続することも有効です。
ドラム:ドラムの各パーツにマイクを設置します。バスドラム(キック)、スネア、ハイハット、タム×3、オーバーヘッド×2、合計8本という構成です。マイクとミキサーをバランス(XLR)ケーブルで接続します。
出力
メインスピーカー:ミキサーとパワードサブウーファーを接続し、パワードサブウーファーからパワードスピーカーへ送ります。どちらもバランス(XLR)ケーブルを使用します。
モニタースピーカー:ミキサーとパワーアンプをパランス(XLR)ケーブルで接続し、パワーアンプから各モニタースピーカーへはスピーカーケーブルを使用し送ります。
アナログミキサーとデジタルミキサー
ミキサーには大きく分けて「アナログミキサー」と「デジタルミキサー」があります。
「中規模」で紹介しているミキサーEMXシリーズはアナログで、ここで紹介するTFシリーズはデジタルです。
デジタルミキサーには様々なメリットがありますが、中でもミキサーのセッティングを記憶する「シーンメモリー」が便利です。コンプレッサーやイコライザーなどのエフェクターやプロセッサーを内蔵し、その設定もシーンに記憶できます。
また出力を自由にアサインできるので、モニターの回線を必要に応じてフレキシブルに設定できるのも魅力です。
D.I(ダイレクトボックス)を使おう!
エレキベースや電子楽器にはD.I(ダイレクトボックス)も
エレキベースは、ベースアンプにマイクを立てて音を拾うとアンプを通した迫力のある音になります。
一方、D.I(ダイレクトボックス)と呼ばれる、ベースの出力を直接ミキサーに接続するための機器を通して音を拾うことも多く行われています。D.I(ダイレクトボックス)を使用するとベースのアタックの輪郭がしっかりと拾えるので、大音量のステージでも存在感のあるベースの音を鳴らすことができます。
D.I(ダイレクトボックス)には、ベースアンプを鳴らすための出力とミキサーへ送るための出力が分かれているものが多いので、ステージ上のベースアンプも鳴らしつつ、ミキサーへも送ることができます。
また、シンセサイザーなどの電子楽器も、キーボードアンプではなくPAシステムを使用すると迫力のある音を鳴らすことができますし、バランスケーブルでミキサーと接続することで、ケーブルが長くなってもノイズが乗りにくくなりますので、D(.I ダイレクトボックス)を使用すると良いでしょう。