3. Danteシステム設計【基礎編】
Danteはプラグ&プレイなコンセプトが示すように、ネットワーク技術に詳しくない音響技術者にとってフレンドリーな機能を多く備えており、小規模なシステムであればさほど迷うことなく構築できるでしょう。一方で、実際にDanteを必要としているプロオーディオの仮設現場や、ホール・劇場設備などのシチュエーションでは、ある程度以上のシステム規模になることが多くなります。また、複数メーカーのDante機器を接続する場合には、各メーカー固有の特徴や独自の解釈を把握しなければならず、一筋縄ではいかなくなってくるものです。そういった、中規模以上の音響システムをDanteで構築するためには、やはりある程度のネットワークシステムに関する基礎知識が必要となってきます。
第3章の「Danteシステム設計 基礎編」では、主に下記の方を対象とし、プロオーディオ向けのDanteシステム構築に必要となる、ベーシックな内容について学んでいきます。
- Dante機器の導入を検討しているが、事前にセッティング方法を知っておきたい方
- Dante機器を導入し、初めてDanteシステムを構築する方
- Dante機器を導入して運用しているが、セッティング方法に詳しくない方
- Danteシステムで音を出すことはできるが、正しい設定方法を把握できていない方
Danteシステム構築におけるさらなる高度な設定や、安定性向上のためのテクニックなどについて知りたい方は、第4章「Danteシステム設計 応用編」をご参照ください。
3-1. Danteシステム基本セッティング
STEP1:Dante機器、スイッチ、ケーブル、PCの準備
- 3-1-1Dante機器の準備
- 3-1-2ネットワークスイッチ(スイッチングハブ)の準備
- 3-1-3LANケーブルの準備
- 3-1-4光ファイバーケーブルの準備
- 3-1-5PC(Windows/Mac)の準備
STEP2:ファームウェアバージョンの互換性を確認する
STEP3:Dante機器のID設定
STEP4:物理接続とリダンダンシー
- 3-1-13物理接続 : スター型トポロジー
- 3-1-14物理接続 : デイジーチェーン型トポロジー
- 3-1-15Dante専用ネットワークを用意する
- 3-1-16リダンダント接続(2重化)
- 3-1-17リダンダントモードとデイジーチェーンモードの注意点
- 3-1-18PCの接続
STEP5:IPアドレス設定
STEP6:コンソールとI/Oデバイスの設定
STEP7:音声パッチ
3-2. クロック同期 基礎編
- 3-2-1Danteのクロック同期は自動化されている
- 3-2-2ワードクロックとは
- 3-2-3同期とは
- 3-2-4なぜ「同期」が必要なのか?
- 3-2-5同期することでサンプリング周波数が一致する
- 3-2-6Danteシステムの「同期」手法は2種類ある
- 3-2-7Dante機器本体のワードクロック設定
- 3-2-8Dante機器本体のワードクロックソース
- 3-2-9ワードクロック推奨設定は「Dante」を選択すること
- 3-2-10Danteモジュール非搭載機器のワードクロック設定
- 3-2-11Danteネットワークの同期
- 3-2-12PTPクロックリーダーは音切れせずに移動可能
- 3-2-13PTPとは
- 3-2-14PTPとワードクロックの違い
- 3-2-15Danteにおけるクロック同期の推奨設定とその理由
- 3-2-16推奨されない高度なクロック同期手法について
3-4. ネットワークスイッチ 基礎編
- 3-4-1ネットワークスイッチとは
- 3-4-2Danteがスイッチ上で動作する仕組み
- 3-4-3ネットワークスイッチと他のネットワーク機器
- 3-4-4通信速度(帯域幅)
- 3-4-5Danteに適したネットワークスイッチ
- 3-4-6EEE(省電力イーサネット)の無効化
- 3-4-7ノンブロッキングであること
- 3-4-8ポート数
- 3-4-9etherCON、opticalCON端子
- 3-4-10PoE(Power over Ethernet)対応スイッチ
- 3-4-11マネージドスイッチとアンマネージドスイッチ
- 3-4-12スイッチのリダンダンシー
- 3-4-1310Gbpsアップリンクの活用
- 3-4-14ネットワークスイッチ選択のポイントまとめ