今月の音遊人
今月の音遊人:反田恭平さん「半音進行が使われている曲にハマります」
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コンサートでは初披露の曲など挑戦的なプログラムで臨むステージ/村治佳織インタビュー
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2019.11.6
「10代の頃にイタリア国立放送交響楽団と共演して『アランフェス協奏曲』を弾かせていただくなど、サントリーホールのステージにはこれまで何度も立たせていただきました。最近では客席で演奏を楽しむことも多くなりましたが、やはり自分の中では特別な空間だという印象が強いのです。ですから今回、リサイタルのお話しをいただいたときから、自分でも聴きに行きたくなるようなわくわくするプログラムを作りたいと考えましたし、これなら今の自分を皆さんにご覧いただけるはず!と自信をもって演奏できる内容になりました」
1993年に鮮烈なデビューを飾ってから25年以上がたち、ここ数年は「ギタリスト・音楽家たるもの」といった肩の力が抜け、解放されたように、包容力のある音楽を聴かせてくれる村治佳織。とはいえ彼女の演奏が、クラシックの確かな技術や音楽性に裏付けられているのは間違いない。だからこそ、クラシック音楽の殿堂といえるサントリーホールでのリサイタルは彼女の真骨頂が聴ける最高の機会となり、特別感のあるひとときになる。
「クラシックのギタリストにとって大切なレパートリーであるC.ドメニコーニ作曲の『コユンババ』やM.カステルヌオーヴォ=テデスコ作曲のソナタ『ボッケリーニ讃』、B.ブリテン作曲の『ダウランドによるノクターナル』などがあり、その一方で今の自分には大切なレパートリーである映画音楽も加えています。ジャンルは関係なく、ギターの音楽としてひとつの流れになるようなプログラムを組みました。ギターの音色でひとつの物語や旅を描くようなコンサートになれば理想的ですし、サントリーホールという独特のオーラがある場にふさわしい雰囲気をお楽しみいただけると信じています」
不思議な語感をもつ『コユンババ』は、トルコの音楽に影響を受けたエキゾティックな作品。そしてイギリスの作曲家であるブリテンの『ダウランドによるノクターナル』は、村治が子どもの頃から敬愛するギタリスト、ジュリアン・ブリームのために書かれた、演奏時間約20分を要する大曲だ。演奏の難易度も高く、それだけに今回は意欲的な姿勢も感じられる。 「以前から練習はしてきましたが、コンサートで弾くのは今回が初めてです。とてもドラマティックで最後に美しい瞬間があり、実は弾きながら涙してしまったことがあるほど。ほかにもカステルヌオーヴォ=テデスコのソナタ全曲をコンサートで弾くのも初めてですし、自分にとってはかなり挑戦的な選曲になりました」
プログラム全体は音楽で旅をするよう、バラエティに富んだ曲や作曲家が並ぶ(トルコ、スペイン、イタリア、イギリス、ブラジル)。それらの音楽を橋渡しし、次の場所へと導いてくれる役割を果たしているのが美しい映画音楽だ。2018年の9月にリリースされ、2019年「第33回日本ゴールドディスク大賞」の「インストゥルメンタル・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞したCD『シネマ』からの曲はもちろん、坂本龍一作曲の『戦場のメリー・クリスマス』などがクラシック作品と自然に共存する。聴き手は約2時間のコンサートをサウンド・クルーズのような気分で楽しめるだろう。
「特にこの数年間は、音楽活動のほかにラジオ番組のパーソナリティとしてさまざまな方と出会うにつれ、面と向かう自らを“音楽家として”というだけではなく“人として”の自分と意識するようになりました。そうした中で音楽を、そして毎日を楽しむことが大きな喜びですし、ステージに立てることに感謝しています。こうした気持ちや音楽に対する感動などを、お客様と共有できるコンサートにしたいと思っています」
多くの人が慌ただしさを感じているであろう年末の時期だけに、ひとときの幸せな時間を味わえるコンサートになるはずだ。
~デビュー25周年を越えて~ 村治佳織ギター・リサイタル2019「旅と映画に恋して!」
日時:2019年12月21日(土)14:00開演 ※未就学児入場不可
会場:サントリーホール 大ホール(東京都港区赤坂1-13-1)
料金:S席5,800円、A席4,800円、B席4,000円、P席3,000円(税込・全席指定)
予定プログラム:
【旅:トルコ】コユンババ(C.ドメニコーニ)
【映画】『禁じられた遊び』から<愛のロマンス>(村治佳織編)
【旅:スペイン】カスティーリャ組曲(F.M.トロバ)
【映画】『ミッション』から<ガブリエルのオーボエ>(E.モリコーネ)
【旅:イタリア】ソナタ“ボッケリーニ讃”Op.77(M.C=テデスコ)
【旅:イギリス】ダウランドによるノクターナルOp.70(B.ブリテン)
【映画】『ロミオとジュリエット』から<愛のテーマ>(N.ロータ)
【旅:ブラジル】“没後60年記念”カデンツァ:ギター協奏曲より(H.ヴィラ=ロボス)、ショーロス第一番(H.ヴィラ=ロボス)
【映画】『戦場のメリークリスマス』(坂本龍一/佐藤弘和編)
文/ オヤマダアツシ
photo/ 坂本ようこ
Hair & Make/山邊裕之(ルゥーダ)
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