Web音遊人(みゅーじん)

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

最近、ダウンロードした音楽を聴くことが多くなり、CDに手を伸ばす機会がめっきり減った。でも、棚の奥を探してみたら……あった!『BUENA VISTA SOCIAL CLUB』や『A Toda Cuba Le Gusta』『Distinto Diferente』――。20年近く前のキューバ音楽のアルバムだ。

2015年、アメリカとの外交関係再開以来、世界中の注目を集めているキューバ。この日も、魅力的な投資先として、ニュースでキューバの名が流れていた。この国は、これから加速度的に変化していくのだろう。
 
私がキューバを初めて訪れたのは、アメリカのミュージシャン、ライ・クーダーが、キューバ国外ではほとんど知られることもなかった老練なミュージシャンたちを集めて「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」を結成し、脚光を浴びたころ。アルバム『BUENA VISTA SOCIAL CLUB』はご存知の方も多いだろう。
同じごろによく聴いていたのが、「アフロキューバン・オールスターズ」によるアルバム『A Toda Cuba Le Gusta』や『Distinto Diferente』。「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」と同じメンバーが多く参加しているが、こちらの音楽は陽気で軽快、カラフルさを感じさせた。

そして、行ってみたくなったのだ。1932〜1962年まで「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」という会員制音楽クラブが実在していたというこの国に!会員制といっても、そこに集まるのは決して裕福とはいえない人々だったが、夜になると音楽やダンス、ラム酒と葉巻、そしてお洒落を楽しんだという。
勝手に膨らませたイメージとともに、私はキューバに向かった。

キューバは東西に細長い国だ。東の端、キューバ最古のスペイン人居住区であり、キューバの最初の首都でもあるバラコアから、革命発祥の地、サンティアゴ・デ・クーバへ。さらに、古都トリニダーからチェ・ゲバラが眠るサンタ・クララ、そして首都ハバナへ。当時はまだ食糧などは乏しかったように記憶しているが、音楽はあふれていた。鮮やかな街並み同様に人々は陽気で、音楽があるところには必ずといっていいほど踊っている人の姿があった。

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

パステルカラーに彩られたハバナ旧市街は世界遺産にも登録されている。正面の建物はカピトリオ(旧国会議事堂)。

キューバの文化には、この国が歩んできたさまざまな歴史が映し出されている。恥ずかしながら、音楽もそのひとつだということを私は旅をしながら知ることになった。
キューバ音楽は、アフリカ人たちが奴隷としてキューバに連れてこられたときから始まったといっていい。ほとんどがアフリカの太鼓のリズムとスペインのギターによるサウンドに由来し、その後、さまざまな要素が加わって「ソン」と呼ばれるキューバの伝統音楽のジャンルが誕生した。ソンはルンバのほか、20世紀中ごろにニューヨークのキューバ移民の間で生まれたサルサにも影響を与えたという。
知らずに聴いていたが、『BUENA VISTA SOCIAL CLUB』の音楽もそのほとんどがソンだという。

小さくてかわいらしい街、バラコアでは、夜になると野外に設けられたスペースに人々が集まり、ソンとダンスを楽しんでいた。甘いモヒートを飲みながら、私も思わず体を揺らしてしまう。
サンティアゴ・デ・クーバで訪れたクラブで流れていたのは、キューバンサルサ(ティンバ)。さんざん口説きまくったくせに、私のキューバンサルサのヘタさに愛想をつかし、足の長い女の子と華麗に踊っていた地元男子もいたっけ……。
コロニアルな建物が立ち並ぶトリニダーの夜は、あちこちの店からソンやサルサ、アフロキューバン音楽などが染み出していた。
情熱的な音楽文化の計り知れないエネルギーのようなものに飲み込まれた私は、いい意味で些末なことなどどうでもよくなった。

あのころのアルバムをもう一度聴いてみる。旅で感じた感覚が、音楽とともに鮮やかに蘇ってくる。新しいエネルギーをまとったあの国を、また旅したくなった。

 

特集

今月の音遊人:新妻聖子さん「セリーヌ・ディオンの歌声を聴いたとき、私がなりたいのはこれだ!と確信しました」

今月の音遊人

今月の音遊人:新妻聖子さん「あの歌声を聴いたとき、私がなりたいのはこれだ!と確信しました」

13263views

音楽ライターの眼

連載6[ジャズ事始め]大正バブルが日本でのジャズの普及を後押しした

1075views

楽器探訪 Anothertake

【モニター募集】37鍵ピアニカに30年ぶりの新モデルが登場!メロウな音色×おしゃれなデザインの「大人のピアニカ」

20120views

楽器のあれこれQ&A

ドの音が出ない!?リコーダーを上手に吹くためのアドバイスとお手入れ方法

102636views

脱力系(?)リコーダーグループ栗コーダーカルテットがクラリネットの体験レッスンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】脱力系(?)リコーダーグループ栗コーダーカルテットがクラリネットの体験レッスンに挑戦!

7115views

オトノ仕事人

プラスマイナス0.05ヘルツまで調整する熟練の技/音叉を作る仕事

13393views

ホール自慢を聞きましょう

歴史ある“不死鳥の街”から新時代の芸術文化を発信/フェニーチェ堺

2689views

こどもと楽しむMusicナビ

オルガンの仕組みを遊びながら学ぶ「それいけ!オルガン探検隊」/サントリーホールでオルガンZANMAI!

4312views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

歴史的価値の高い鍵盤楽器が並ぶ「民音音楽博物館」

17145views

スイング・ビーズ・ジャズ・オーケストラのメンバー

われら音遊人

われら音遊人:震災の年に結成したビッグバンド、ボランティア演奏もおまかせあれ!

2726views

山口正介 Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

マウスピースの抵抗?音切れ?まだまだ知りたいことが出てくる、そこが面白い

3403views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

5642views

注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

5354views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

世界の民族楽器を触って鳴らせる「小泉文夫記念資料室」

14389views

コルトレーンってビートルズ・ナンバーを演奏してなかったんだっけ?

音楽ライターの眼

コルトレーンってビートルズ・ナンバーを演奏してなかったんだっけ?

34823views

オペラ劇場の音楽スタッフの仕事 - Web音遊人

オトノ仕事人

舞台上の小さなボックスから指揮者や歌手に大きな安心を届ける/オペラ劇場の音楽スタッフの仕事(後編)

7925views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:人を楽しませたい!それが4人の共通の思い

3484views

楽器探訪 Anothertake

おしゃれで弾きやすい!新感覚のアコースティックギター「STORIA」

20775views

武満徹の思い「未来への窓」をコンセプトに個性的な公演を/東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル

ホール自慢を聞きましょう

武満徹の思い「未来への窓」をコンセプトに個性的な公演を/東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル

6865views

山口正介 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

この感覚を体験すると「音楽がやみつきになる」

4667views

金管楽器のパーツごとのお手入れ方法 - Web音遊人

楽器のあれこれQ&A

金管楽器のパーツごとのお手入れ方法

10508views

こどもと楽しむMusicナビ

“アートなイキモノ”に触れるオーケストラ・コンサート&ワークショップ/子どもたちと芸術家の出あう街

3271views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

19536views