今月の音遊人
今月の音遊人:八代亜紀さん「人間だって動物だって、音楽がないと生きていけないと思います」
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今月の音遊人:姿月あさとさん「自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思います」
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2017.10.2
宝塚宙組元トップスターの姿月あさとさん。2017年、舞台生活30周年の節目を迎え、記念アルバムの発売やコンサート開催など精力的に活動しています。『Web音遊人』恒例の3つの質問の答えには、ご家族の豊かな愛情に育まれてきたことや、歌の道をひたすら極めようとする“求道者”のような姿勢が感じられます。
たぶん、子守歌じゃないでしょうか。生まれた時から、母親がずっと歌ってくれていたでしょうから。自分が好きな歌手の歌を聴いたとしても……例えば100回ぐらい聴いたとしても、子守歌は毎日365日聴かせてもらったわけですから、それには及ばないですよね。もちろん、覚えているわけではないですけれど。
母も、音楽が好きなんです。楽しいとき、いつも鼻歌を歌っています。私のコンサートの後で、何かしら印象に残った曲を歌ったりしていることもありますね。
父もジャズやブラックミュージックが好きで、ダイアナ・ロスなんかを聴いていました。だから家ではいつでもレコードがかかっていたんです。
両親はいま大阪に暮らしていますが、私が東京でコンサートを開くときは二人で来てくれます。もしかしたら、小さい頃のバレエやピアノの発表会の延長のような感覚なのかもしれませんね。
姿月さんにとって「音」や「音楽」とは?
私は、3つの名前を持っているといつも思っているのです。「姿月あさと」という芸名で活動しながら、本名もあって、舞台で演じる役名もある。だから、私にとって音楽は、本名の私じゃない自分になれる時間ですね。本名の自分で歌うのは、プライベートで親しい友人とカラオケに行く時ぐらいですが、それも私にとって大事な時間です。
職業病と言うのでしょうか。宝塚歌劇団にいたときは、お芝居やショーで演じる役柄に合わせて、さまざまな歌を歌ってきました。だから、今でも歌の内容によって、自分とは異なる役柄を演じるかのように表現していますね。
それと、音といえば、今のこの取材中でもカメラのシャッター音やピントが合うピッピッという音が聞こえるし、向こうではラジオが流れているし、そうした一つ一つの音を意識してしまいがちですね。オーケストラやバンドでも、その編成を構成するそれぞれの楽器の音を一斉に聞いてしまうタイプです。
それにしても、器楽奏者の方が楽器をメンテナンスして音を鳴らすように、私のような歌い手は自分を共鳴させるために、自分自身という安定しない楽器を常に調律しなきゃいけないのが、大変なところでもあります。鼻水が止まらない日もあるし、精神的にのらないこともありますしね。
鼻歌を歌っている人!人って辛いときは、おそらく鼻歌は出ないですからね。「鼻歌」=「楽しい」。いいなぁって思います。鼻歌って「歌ってください」とか「今から鼻歌どうぞ」ということでもないですよね。マイクの前で歌うものでもないでしょう。自然とメロディーが出てくるもの。言葉はいらないですしね。シェフの方でも鼻歌を歌いながらお料理する方もいますね。
私自身は、鼻歌は出ないですね。たま~にあったとしても、無意識に起こる現象です。自分が音楽に向き合うことは、やっぱり辛いこともありますからね。
でも、聴くことは好きで、癒やされます。ジャンルはいろいろです。クラシックのようなマイクを使ってない生の音は、自分の耳を調律することにもつながり、体が浄化されるような気分になります。バーの片隅でジャズを聴くのも好きです。自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思いますね。
姿月あさと〔しづき・あさと〕
1985年、宝塚音楽学校入学。1987年3月、宝塚劇団に入団し、「雪組」で初舞台を踏んだ後、同年5月に「花組」に配属。1993年、「月組」に組替えを経て、1998年、65年ぶりに誕生した新組「宙組」のトップスターに抜擢される。2000年に、宝塚歌劇団退団後、アルバムリリースやコンサートツアー、ミュージカルなど、ソロボーカリストとして活躍し、現在に至る。2017年にはデビュー30周年を記念して、アルバム『Treasure〜私の宝物〜』をリリースするほか、アニバーサリーコンサートも開催。
姿月あさとオフィシャルサイト http://www.shizukiasato.net/
文/ 仁川 清
photo/ 後藤泰宏
衣装/ユマ コシノ
tagged: 姿月あさと, 宝塚, インタビュー, 今月の音遊人
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