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今月の音遊人:石丸幹二さん「ジェシー・ノーマンのような表現者になりたい!という思いで歌の世界へ」
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先生がまるで目の前に!?ディスクラビアを使った新たなリモートレッスン
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2022.7.15
自動演奏機能を搭載したヤマハのアコースティックピアノ、ディスクラビア。近年では、このディスクラビア同士をインターネットでつなぐことで、お互いが離れた場所にいながらレッスンを行う取り組みも始まっている。
その仕組みは、演奏する際の鍵盤やペダルの動きを光センサーで感知して相手のディスクラビアに送り、リアルタイムで自動演奏させるというもの。そのため、相手が目の前で弾いているかのような生の音を聴くことができる。従来のオンラインレッスンとは一線を画したこの新たなレッスンが、大学のピアノ実技授業にも導入され始めている。
2020年度から、ディスクラビアを使ったリモートレッスンを本格的にカリキュラムに導入している、岡山県倉敷市のくらしき作陽大学。
「想像していたものより、ずっと優れモノです。ここまで進歩しているのは、すばらしいと思いました」
竹内京子・音楽部学長はそう評価する。
同大学は2000年、世界三大音楽院のひとつであるチャイコフスキー記念国立モスクワ音楽院の教育プログラムを導入した「モスクワ音楽院特別演奏コース」を世界で初めて開講した。その最大の特徴は、モスクワ音楽院から派遣された教師による1回1時間の個人レッスンが週2回受けられるカリキュラム。教師が常に2人体制で来日、常駐し、日本にいながらにしてロシア・メソッドを学ぶことができる体制を整えてきた。
ところが、コロナ禍で彼らが来日できなくなり、やむなくオンライン会議ツールによるレッスンを実施したこともある。とはいっても、学生たちにとってはどこか物足りない気持ちもあった。
そこで導入されたのが、ディスクラビアを使ったリモートレッスンだ。ロシア国内にて先駆けて導入されたモスクワ音楽院と、広大な面積を持つロシアの地方をつないだレッスンを、すでに実施している。その後、韓国、中国、ヨーロッパ各国もモスクワ音楽院とを結んだレッスンを開始。かねてから導入を検討していたくらしき作陽大学も導入に踏み切った。
対面レッスンでは2年生まで通訳がつくが、リモートレッスンも同様だ。この日はコース卒業生でモスクワ大学院に留学経験がある藤木夕子さんが通訳兼ディスクラビアの操作を担当(上写真左)。タブレットにインストールしたアプリ(コントローラー)を使ってディスクラビア同士をつなぎ、ピアノの音以外の教師の指導(映像と音声)はオンライン会議ツールを使用する。リモートレッスンを受けていたのは2年生の渡邊愛結さん。
「オンライン会議ツールではタイムラグがあり、また音のバランスが悪くなってしまいます。ディスクラビアを使ったこのリモートレッスンでは生のピアノの音が聴けるので、先生が演奏する音が感じやすくなりました。レッスンの充実ぶりは対面と遜色ないと感じています」
メリットは他にもある。これまで、対面レッスンを担当していたのは来日可能な教師に限られていたが、担当できる教師の幅が広がることに。また、外国からの入国に規制がある今、確実にレッスンを受けられるこのカリキュラムによってきめ細やかで充実した指導が可能になった。
現在はロシア人教師1人による対面レッスンが復活し、対面とリモートでそれぞれ週1回ずつレッスンが行われている。
「リモートレッスンは対面授業の代替ではなく、レッスンの選択肢が増えたと捉えています」(竹内京子・音楽部学長)
ウィーンと広島をつないだ新たな試みも。2021年12月に、ウィーンにあるヤマハ・ミュージック・ヨーロッパのオーストリア支店とヤマハミュージック広島店のディスクラビアをつないだリモートレッスンが行われた。
レッスンを受けたのは、広島市のエリザベト音楽大学の学生たち。同大学では毎年海外から客員教授を招聘してきたが、コロナ禍で来日が不可能に。そのため、現在ウィーンにいるエリザベト音楽大学客員教授、マーティン・ヒューズ氏によるリモートレッスンが試行的に行われることになった。
「音色がとてもきれいだと思ったのが最初の印象です。そして、タッチの繊細さやペダリングの細かいところまでよく伝わってきました」
そう話すのは、リモートレッスンを受けた水野恵さん。また、自動演奏ピアノならではの、対面レッスンでは得にくい新たな収穫もあったようで、小島凪沙さんはこう話す。
「普通のレッスンのときは先生が鍵盤のどれくらいの深さを弾いているのか、左右のバランスをどう取っているのかなどが、わかりにくかったのですが、今回は初めて鍵盤の動きをはっきりと確認することができて不思議な感じでしたし、とてもいい経験になりました」
レッスンを見学した川野祐二学長も大きな手応えを感じている。
「これまでのオンラインレッスンではスピーカー越しでしか相手の音を聴くことができませんでしたが、このように生のピアノを使ってレッスンできるということは、学生にとって大きな喜びになったと思います」
垣内敦教授もこう期待を込める。
「学生たちは、さまざまな音色を感じることができたのではないでしょうか。ウィーンの空気も十分に伝わってきたと思います。コロナ禍が明けたとしても、スタンダードなものとして学習に使われるようになることを期待しています」
日本で、そして世界で、新たな技術がつくる新しい学びが徐々に広がりつつある。
マーティン・ヒューズ氏より
I have given many remote lessons on Skype and Zoom, but these Disklavier remote lessons are quite different. It is as if the students were playing in the same room, and one could see the changes in their playing during the lesson. This is an amazing invention and I am really impressed. The Yamaha instrument put at my disposal at Yamaha Vienna was excellent, and despite the small size wide-ranging in tone and colour.
これまでスカイプやZoomでリモートレッスンをしてきましたが、このDisklavierは全く違いました。 まるで同じ部屋で演奏しているようで、レッスン中に生徒の演奏が変化していくのを感じることが出来ました。これは素晴らしい発明で本当に感銘を受けました。 ヤマハ・ウィーンで使用したピアノは、コンパクトながらも幅広い音色を奏でることが出来て色彩感豊かで、素晴らしいピアノでした。
■導入について
Q.リモート接続ができるピアノの機種を教えてください。
A.「ディスクラビア エンスパイア “PRO(プロモデル)”」です(グランドピアノのC3X~C7X、SXシリーズに搭載)。
Q.ピアノ以外に、必要なものはありますか。
A.インターネット回線が必要です。なお大学や企業内LANの場合、セキュリティーが強固でディスクラビアリモートレッスンの接続が難しいケースが多いため、通常の回線が望ましいです。
また、音声や画像をやり取りするためのPCもしくはタブレット、マイク、必要に応じてウェブカメラやスピーカーが用意されるケースもあります。
Q.ヤマハに支払うサービス利用料等はありますか。
A.ありません。
■運営について
Q.操作はどのように行うのですか。
A.無料の専用アプリ「ENSPIRE Controller」(iOS/Android対応)をインストールすると、お手持ちのスマートフォンやタブレットから簡単に操作ができます。
Q.ピアノの音と、映像がずれている場合、どのように調整するのですか。
A.映像に合わせて、「ENSPIRE Controller」でピアノの遅延の長さを調整します。通常、映像の方が遅延が大きいので、ピアノの遅延をあえて大きくするケースが大半です。
Q.常にピアノ技術者が立ち会う必要はありますか。
A.立ち会っていただくことが望ましいですが、常にその場にいる必要は通常はありません。
■その他
Q.連弾はできますか。また、他楽器とのアンサンブルはできますか。
A.わずかではありますがインターネット回線上の遅延は常に生じますので(通常1秒以下)、連弾やアンサンブル演奏は現状では難しいです。
Q.海外とリモート接続するために必要な機材は?
A.国内で接続するときと同様です。
※2022年3月現在、実証実験の段階であり、音楽大学さまにご協力をいただきトライアル実施を重ねております(一般のお客様へのサービス開始については未定です)
文/ 福田素子
photo/ 田中大造
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tagged: ディスクラビア, リモートレッスン, くらしき作陽大学, エリザベト音楽大学
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