今月の音遊人
今月の音遊人:宮本笑里さん「あの一音目を聴いただけで、救われた気持ちになりました」
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生活の中に音楽がある町、浜松市民の音楽拠点となる音楽ホール/アクトシティ浜松 中ホール
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2016.1.28
tagged: ホール, アクトシティ浜松 中ホール, 浜松, ホール自慢を聞きましょう
浜松市と民間施設が一体となった複合施設、アクトシティ浜松。東海道新幹線からも見える地上45階のアクトタワーがシンボルだ。アクトシティ内にある大・中ホールはとても人気が高く、ほぼ毎日さまざまな公演が行われている。「音楽都市・浜松」の中心的存在のひとつ、中ホールを訪ねた。
ドアを開けるとまず正面に、荘厳なパイプオルガン(フランス・コワラン社製)が目に入る。音楽ホールの優雅な空気感に心も落ち着く。クラシック音楽に最適な音響設計(残響2.1秒)で作られた中ホールは、満席の時と空席がある時で残響の変化が生じないよう、2階席の椅子の背を高くするなどの工夫も施されている。
このホール最大の特徴は、公共ホールとして市民に広く開かれたホールであること。超一流の世界的演奏家からアマチュアまで、誰もが利用できるというスタンスはオープン時から一貫している。その利用目的は多種多様だが、それぞれの出演者が理想とするプログラムを実現できるよう、コンセプトは「ホール自体が特定の“カラー”を持たない」ことだという。また、ステージを提供するだけにとどまらず、ホール側もプロの視点から技術面や演出などのアドバイスをして、ともにより良いステージ作りを目指している。
アクトシティ浜松ならではのもうひとつの特徴は、国際的なコンクールやイベントを開催していること。「浜松国際ピアノアカデミー」「浜松国際ピアノコンクール」や「浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル」などの会場としても親しまれている。
また、市民と手を携えて企画している吹奏楽関連イベント、音楽教室や各種セミナー、市民オペラなどは、浜松市文化振興財団が中心となり、心豊かに暮らせる音楽都市作りを目的に行っている活動だ。
2016年、アクトシティ浜松は誕生から22年を迎える。浜松市は、市民の誰もが生活の中に溶け込むように音楽がある「一般の音楽愛好家」がとても多い都市だという。音楽に触れて育ち、親となった層が家族で音楽を楽しむ。そうした文化が根付いていけば、次の10年、20年後には、音楽を人生の友とする人たちがさらに増えることだろう。
そこに暮らす人々の豊かさをも含めた「音楽都市・浜松」の壮大な構想は、長い年月にわたる地道な活動の積み上げによって、形になりつつある。それは、全国各地の音楽ホールが、本当の意味での豊かさのために大きな役割を担っていることを、明確に示しているのではないだろうか。
(写真左)木のぬくもりを基調とした音楽ホールとしての静かなたたずまい
(写真右)テーブルが付いている座席。何気ない心配りに優しさを感じる
所在地:静岡県浜松市中区板屋町111-1
TEL:053-451-1111
ホール形式:シューボックス形式
席数:1,030席
文/ 芹澤一美
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