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あの名曲たちが分厚いサウンドでよみがえる!デビュー35周年セルフカバーアルバム/横山剣インタビュー
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2016.8.3
tagged: インタビュー, アルバム, 横山剣, 香港的士-Hong Kong Taxi-, クレイジーケンバンド
「東洋一のサウンドマシーン」を自称し、昭和歌謡の香りも海外のリズムも共鳴させるクレイジーケンバンド(以下、CKB)。2016年8月3日発売のニューアルバム『香港的士-Hong Kong Taxi-』は、ボーカリスト、作詞作曲家として率いる横山剣のデビュー35周年を記念し、さまざまなアーティストに提供した楽曲をセルフカバーした。デビューを飾ったバンド、クールスR.C.時代の『シンデレラ・リバティ』も収録。作家・横山剣の歴史と奥深さに迫れる一作だ。
「提供曲は基本、アーティストの方にお渡ししたものなので、セルフカバーは品がないと思っていたのですが、35周年という大義名分があるからいいのかなあ」と、慎ましやかに語る。渋い歌声が魅力だが、元々憧れていたのは筒美京平のような職業作曲家。作家中心の時代も経験しているが、楽曲提供の依頼が頻繁に来るようになったのは、1997年に結成したCKBで世に出てからだ。「順序はどうあれ良かったなあと。デビューから10年、20年とありがたみが分かってなかったのですが、35年は自分が頑張ってきたというよりは、依頼をくださった方、リスナーの方への感謝に変わってきましたね」
表題曲『香港的士-Hong Kong Taxi-』は歌手の神崎まきへの提供曲だが、現在のCKBでも前身のCK’sでもライブで披露しており、ファン待望のCD収録となった。中華風サウンドは、横山の十八番。横浜育ちだけに中華街にその背景がある。「今はなくなってしまいましたが、『發三電機商会』という中国、台湾、香港、韓国、フィリピン、マレーシア、インドネシアと、アジアのレコードを売っている店があって、10代や30代の頃によく買いに行きましたね」
小学校の時に名画『慕情』を観て以来、ロケ地である香港に大きな憧れを抱くようになったという。
宮藤官九郎や阿部サダヲらのバンド『グループ魂』に提供した『欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)』も収録。「グループ魂は人名タイトルのシリーズをやっていたので。欧陽菲菲という名前の響きだけで、リズムができちゃいましたね」
彼の持ち前のセンスは、和田アキ子に提供した『女ともだち』でも発揮されている。「友だちの結婚式で、スピーチは照れるから歌を贈るんだけど、酔っぱらって段々語気が荒くなっていく、というキャラクターと和田さんを重ねてみた感じです」
歌の前半の歌詞が『たまには女同士で遊んでよ』だったのが後半では『たまには女同士でつき合えよ』に変わっていて、思わず膝をたたく。
SMAPに提供した軽快な一曲『退屈な日曜日』を聴けば、作風の広さが分かるだろう。「バンドのライブでやっている頃から、SMAPがユニゾンで歌っている感じだなあと勝手に思っていた。そしたら、依頼が来たので、迷わず、これをどうぞ、と」と笑う。
収録曲の多くは、それぞれのアーティストのアルバムの中の一曲であるなど、知る人ぞ知る存在ともいえる。埋もれさせておくには惜しい名曲たちが、CKBの分厚いサウンドでよみがえる。ほぼ毎年、20曲近くのオリジナル曲を収録した新作を発表しているCKB。「今年は前に作った曲だから楽できるかなあと思ったけれど、結局オリジナルに恥ずかしくないアレンジをしなきゃいけないので、むしろこっちの方が大変でした」
妥協を一切することなく作り上げたサウンドと、エンターテインメントが満載の一作を是非、手に取ってみてほしい。
『香港的士-Hong Kong Taxi-』
発売元:ユニバーサルミュージック
発売日:2016年8月3日
価格:初回限定盤(+DVD)3,800円/通常盤 3,000円(すべて税抜)
文/ 仁川清
photo/ 後藤泰宏
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