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五人のピアニストが紡ぐ音と想い――電子ピアノ「クラビノーバ」演奏動画公開
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2025.12.2
tagged: 南杏佳, 萩原麻未, CLP-875PE, クラビノーバ, CLP-800シリーズ, 野上真梨子, 北村明日人, 外山啓介
グランドピアノに最も近い電子ピアノを目指し、進化し続けてきたクラビノーバ「CLPシリーズ」。2024年に発売された「CLP-800シリーズ」では、鍵盤やペダルなどピアノに備わっている個々の要素の性能を高めるだけではなく、「ピアノを演奏する」という一連の体験を大切に、グランドピアノさながらの豊かな演奏体験を届けることを目的として開発された。電子ピアノの概念を覆すその完成度は、注目を浴びている。このたび、国内外で活躍する5名のピアニストによるクラビノーバCLP-875PEの演奏とインタビューを収めた動画が公開された。「Digital Never Felt So Grand」――この製品のコンセプトを、文字通り体感したピアニストたちの演奏と言葉の説得力は絶大だ。
動画制作に携わったヤマハミュージックジャパンの笠井未悠さん、津田果林さんは、五人の演奏がそれぞれまったく違うことに、心底驚いたという。「電子ピアノは誰が弾いても同じように聴こえるという印象をもたれることが多いですが、本当に全然違うのです。奏者の想いに応えるという、この電子ピアノの開発において最も大切にしたことが、まさに実現できていると感じました。製品には自信を持っておりましたが、これほどにも可能性が広がっていることをあらためて実感でき、この感動をもっと伝えたいと思いました」(津田さん)。
撮影当日は、それぞれが選んだピアノ作品の演奏と、ピアノを始めたきっかけや、CLP-875PEの感想などについてのインタビューが行われた。動画の制作においてこだわった点の一つは、演奏を視聴者にしっかりと聴いていただくことだという。一人につき一本の動画として完結しており、楽曲のハイライトを繋ぎあわせるのではなく、演奏をできるだけノーカットにして、曲が流れる中にピアニストの言葉を織り交ぜた形になっている。さらに、演奏の聴きどころとなる箇所にはインタビューの音声を被せず、演奏する姿や指先の映像と共にCLP-875PEの音をじっくり聴けるように工夫されている。一つひとつの動画が、見ごたえ・聴きごたえのある作品だ。
日本を代表する実力派ピアニスト、萩原麻未さんは、五歳からヤマハ音楽教室に通った経験をもつ。同じ音楽教室に在籍し、萩原さんに憧れていたというスタッフの提案で、この動画への出演を依頼したそうだ。気さくな人柄で、終始和やかな雰囲気の撮影だったが、ドビュッシーベルガマスク組曲より『月の光』の演奏が始まるとその場の空気が一瞬で変わる。自宅のリビングにヤマハの電子ピアノ「アリウス」があるという萩原さんだが、「今までイメージしていた電子ピアノとは違う」と話し、中音域から低音の豊かさに「びっくりしました」。「電子ピアノだと割り切って弾くのではなく、純粋に楽しみながら弾くことができる」と語る萩原さんの言葉からは、この「CLP-800シリーズ」の本質的な魅力が伝わってくる。
北村明日人さんがサラリと演奏を始め、その空間に音が響いた時、「この楽器ってこんなふうに鳴るんだ」とスタッフも衝撃を受けたという。曲目はブラームス『6つの小品 Op.118-2 間奏曲』。北村さん自身も、「空間を把握できる音の広がり」を感じて演奏できたとのことで、「耳を育てるのにいい楽器」だと太鼓判を押した。幼稚園の先生が弾くピアノに憧れてピアノを始めた北村さんは、2022年ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリに輝いている。全国のピアノっ子たちの憧れの的であり、子どもたちと共演する活動なども積極的に行なっている北村さんの言葉には、次世代への温かい想いが詰まっている。
ピアノ教師であるお母様の影響でピアノを始め、普段からヤマハのコンサートグランドピアノCFXを演奏することも多いという野上真梨子さんは、ショパン『ノクターン Op.9-2』と『幻想即興曲』の二曲を演奏。ゆったりとしたもの、動きのあるもの、対照的な曲調の作品を演奏した際の印象の違いを感じるためだったそうだが、実際に演奏し、多彩な音色が出せることに驚いていたという。また、ヘッドホンを装着した時の閉塞感がないことにも話がおよんだ。ヘッドホンは楽器店で試弾をした一般のお客様にも「外に漏れていませんか?」と確認されるくらいの自然な音の広がりを感じられるものだそうで、一度試してみたくなる。
南杏佳さんも2024年ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ受賞者。南さんがCLP-875PEと初対面してまず感じたことは「視覚的にグランドピアノに近くて安心感がある」。「音」へのこだわりに比べて、デザイン、ペダルの形状など、ピアニストの目に入ってくる視覚的な情報は、ともすれば軽視されがちだが、「CLP-800シリーズ」はその点も忠実に再現されている。シューマンの『クライスレリアーナ Op.16 第2曲』を演奏した南さんは「ハンマーを離していく時の減衰まで聴こえる」「音が自分を囲ってくれているような感覚」と、この楽器を大絶賛。そして「大切なのは、自分がいい音を知っていること」と語ったのは、よい楽器と出会うことの大切さを実感しているからこそだろう。
クラシック界の中核となる世代のピアニストとして活躍中の外山啓介さんは、小さいころにクラビノーバを使っていた経験があるそう。それだけに、「今の電子ピアノはここまで進化したのか」と、驚きを隠せなかったようで、撮影中も終始興奮気味だったとか。ショパンの『プレリュード Op.28-7 雨だれ』を演奏し、「自分の指で音を作っていく感覚」がもてるピアノだと感激する様子が、そのまま動画にも収められている。外山さんの率直な反応と、楽器と対話するように奏でられた名曲をぜひ楽しんでいただきたい。
「クラシックピアノを学んでいる方だけでなく、これからピアノを始めようと思っている方やピアノ初心者の方にもぜひ観ていただきたい動画です」と笠井さん。今までピアノを聴く側だった方が、ピアノを始めてみたいと思うきっかけになればうれしいとも話してくれた。「この動画を通じて、『CLP-800シリーズ』の魅力を感じていただけたらと思います」
第一線で活躍するピアニストたちの言葉、そして、もはやどんな言葉も必要としない演奏を、ぜひ視聴していただきたい。
グランドピアノのような響きと音色変化により、表現力豊かな演奏を可能にした電子ピアノ。鍵盤とペダルが奏者の表現したい想いに忠実に反応し、グランドピアノさながらの演奏感を味わうことができる。
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文/ 正鬼奈保
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