STEP3 Dante機器のID設定

次に、Dante機器にIDを設定する方法について説明します。Dante機器をネットワーク接続する前に、下記にしたがって適切なID設定を施しておくことが重要です。

3-1-9 ID設定の目的

Danteシステムは、同一ネットワーク上に同じメーカーの同じDante機種が接続されることが多いため、それらをネットワーク上で個別認識させることが必要です。そのため、多くのDante機器で個別認識用のIDを設定できるようになっています。ID設定に応じて各機器が自動認識されるため、DanteネットワークへのLAN接続を行う前に、各Dante機器に対して重複しない適切なIDを付与してください。
留意点としては、「ID設定」はDante側の機能ではなく、Dante機器メーカー側の機能であることです。例えば、ヤマハ「CL/QLシリーズ+Rシリーズ」の組み合わせでは、ID設定によってデバイス検知やリモートコントロール、各種システム設定(サンプリング周波数、他)などさまざまなオートセットアップ機能が適切に働くようになります。また、この機能は一部の機種の組み合わせを除き、“同一メーカーの機器間”のみで有効なため、メーカーが異なる機器間ではID設定によるオートセットアップ機能はありません。
ID設定手法は各Dante機器本体で行う必要があり、その手法も機種によって異なります。
また、ID設定はDante側の機能ではないためDante Controllerで設定することはできません。

3-1-10 ヤマハ製Dante機器のID設定

ヤマハ製Dante機器ではRIVAGE PM/CL/QLシリーズ等のコンソール側のIDを『CONSOLE ID』、Rシリーズ等のI/Oデバイス側のIDを『UNIT ID』と呼び、区別しています。それぞれに重複しないIDを付与させてください。異なる機種(例:Rio3224-D +Rio1608-D)に同じIDを付与しても動作はしますが、このような重複は推奨していません。また、『CONSOLE ID』と『UNIT ID』は、同じIDを同一システム内で共存させることができます。

次項にヤマハCLシリーズとRシリーズを組み合わせた例で解説します。

3-1-11 UNIT ID : I/OデバイスのID設定

RシリーズのUNIT ID設定

複数のRシリーズを接続する際、重複しない「UNIT ID」を付与してください。機種が異なる場合でも重複しないID設定を推奨します。付与可能なIDの数はRシリーズの世代によって異なります。

Rio3224-D2、Rio1608-D2 Rio3224-D、Rio1608-D、Ri8-D、Ro8-D、RSio64-D、RMio64-D
128まで 32まで

UNIT ID付与の役割

Dante機器に個別のIDを付与する目的は、コンソールから個別のI/Oとして認識させ、HAリモートや、音声パッチの自動化を行うためです。

TIPS

RioシリーズではUNIT ID設定反映に再起動が必要

ロータリースイッチ方式でUNIT ID設定を行うRioシリーズ(旧モデル)では、設定を反映させるために電源の再起動が必要です。

3-1-12 CONSOLE ID : コンソールのID設定

CLシリーズの場合

複数のCLシリーズを接続する場合は、重複しない「CONSOLE ID」を「1~4」から設定してください。CLシリーズが1台の場合はID:1で使用してください。ID:1のCLシリーズの各種Dante設定(サンプリング周波数、ビットレート、レイテンシー)がデバイスマウント先のI/Oデバイスにも反映されます。ID:OFFの設定ではHAリモートができなくなります(HAリモートを行わないラインミキサーの扱いになります)。RIVAGE PM/CL/QLシリーズ混在時も重複しないIDを付与してください。

TIPS

DanteデバイスネームとIDの関係

ヤマハ製Dante機器のデバイスネームは「Y001」からはじまり、付与したIDナンバーに応じて、「Y00~」の数値が反映されます。そのため、異なる機器間でも重複しないIDを付与することで、ネットワーク上のデバイス管理がより行いやすくなります。
また、他メーカーの一部のDante機器のデバイスネームも「Y00~」のルールに従って設定することで、CL/QLシリーズ等のI/Oデバイスマウント機器として認識させることが可能です。