3-1. Danteシステム基本セッティング

STEP6:コンソールとI/Oデバイスの設定

STEP6 コンソールとI/Oデバイスの設定

IPアドレス設定を行えば、コンソールやI/Oデバイス等の各Dante機器本体側のネットワーク通信設定が行えるようになります。その代表的な設定が音声パッチですが、ミキシングコンソールを中心としたPAシステムの場合は、その前にもうひとつ大事なステップが残っています。それは「I/Oデバイスマウント」などの設定ですが、これらは各メーカー固有の機能となります。本ガイドではヤマハCLシリーズとRシリーズの組み合わせで解説します。

3-1-23 I/Oデバイスマウントの役割と目的

ミキシングコンソールを使うDanteシステムでは、ほとんどの場合でステージボックスをはじめとするI/Oデバイスがネットワーク越しに接続されます。Danteシステムを快適に運用するためには、ミキシングコンソールから各種I/Oデバイスをコントロールできることが重要であり、そのための設定が必要です。

CLシリーズとRシリーズの組み合わせにおいては、CLシリーズ本体で行う「I/Oデバイスマウント」と呼ばれる機能がその設定です。「I/Oデバイスマウント」を適切に設定することにより、CLシリーズとRシリーズ間のHAリモートなどのリモートコントロールが行えるようになります。また、RシリーズのUNIT IDに応じた自動Danteパッチや、CLシリーズ⇔Rシリーズ間の手動Danteパッチが行えます。そのため、CLシリーズとRシリーズのみのシステムであれば、Dante Controller による設定も不要なため、PCが無くてもシステム構築が可能です。

RIVAGE PM/CL/QLシリーズでは最大24デバイスをマウントできます。マウントしてコントロールできる機器はヤマハ製以外にもSHURE社製ULX-Dなどがあります。
I/OデバイスマウントでコントロールできないDante機器へのパッチ等を行う場合は、Dante Controllerが必要になります。

3-1-24 RシリーズのSTART UP MODE(REFRESH/RESUME)

Rシリーズ(RioシリーズおよびRio-D2シリーズ)は、CL/QLシリーズでマウントして使う場合や、単体のI/OとしてR Remoteソフトウェアなどからコントロールして使う場合などがあります。そのため、Rシリーズの使用環境に応じて電源起動時のHAゲイン等の設定値を決める「START UP MODE」機能が装備されています。「START UP MODE」には設定値を初期化して起動する「REFRESH」と、設定値を保持して起動する「RESUME」があります。「START UP MODE」の詳細を下表に示します。

START UP MODE 推奨条件 起動時の挙動 起動時のMUTE挙動
REFRESH コンソールからマウントされている場合 HA、HPF、GCを初期化 MUTEされる
RESUME コンソールからマウントされていない場合
R Remoteのみの場合
前回設定内容を保持 MUTEされない
REFRESH w/o MUTE
※Rio-D2シリーズのみ
※強制的にMUTE解除したい場合 HA、HPF、GCを初期化 MUTEされない

REFRESHモード

Rシリーズをコンソールでデバイスマウントして使用する場合はREFRESHモードにしてください。コンソールはデバイスマウントしたRシリーズのHAゲイン等の情報を保持しています。そのため、REFRESHモードで起動したRシリーズには、コンソール側から設定値が反映されます。このような仕組みになっている理由は、もしRシリーズ側が高いHAゲイン値を保持したまま起動しネットワーク接続された場合、入力ポートから予期せぬ大きな音声信号がDanteネットワーク上に流れてしまうリスクがあるためです。REFRESHモードで起動したRシリーズは、マウント先コンソール(WITH RECALLが有効な)からHAゲイン等の設定が反映されることで、設定の同期が完了し、安全な状態でMUTEが解除され、使用可能になります。

RESUME モード

Rシリーズをデバイスマウントするコンソールがなく、R RemoteでHAリモートを行う場合はRシリーズ本体側で設定値を保持しておく必要があるため、RESUMEモードにしてください。

TIPS

異なるサンプリング周波数の機器混在時におけるCONSOLE ID 1の注意点

CONSOLE ID1のミキサーの各種Dante設定(サンプリング周波数、ビットレート、レイテンシー)がマウント先のI/Oデバイスにも反映されます。そのため、96kHzと48kHzのミキサーが混在するシステムではCONSOLE IDの設定に注意が必要です。
96kHzベースで使用したい場合は、96kHzのミキサーをCONSOLE ID1に設定し、I/Oデバイスも96kHz動作させます。その際、96kHzのI/Oデバイスと48kHzのミキサーとの直接のパッチは行なえなくなりますので、SRC搭載機器(RSio64-Dなど)を経由してください。また、直接のパッチができないため、HAリモートなどを行わない(I/Oデバイスマウントは行わない)運用が安全です。