今月の音遊人
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受賞ディスク決定!「BBCミュージック・マガジン賞2015」
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2015.4.28
tagged: BBCミュージック・マガジン賞, クラウディオ・アバド, ルツェルン祝祭管弦楽団, ベンジャミン・グローヴナー, レイフ・オヴェ・アンスネス, マーラー・チェンバー・オーケストラ, マハン・エスファハニ
英国では、春は授賞式シーズンである。クラシック界にも数多くの賞があり、映画や演劇の授賞式ほど華やかではないかもしれないが、さまざまな分野の音楽家たちの業績が表彰される。
その中で、英国の音楽雑誌が主催する「BBCミュージック・マガジン賞」は、読者および一般の音楽ファンが投票できることで知られている。全部で7つの部門があり、前年に同誌のレビュー欄で5つ星を取ったディスクから選考委員が各部門3枚ずつ選び、オンラインでの一般投票で賞を決める仕組みである。
授賞式は4月7日にロンドンのキングス・プレイスのホールで行われた。
オーケストラ賞には、故クラウディオ・アバドの最後の演奏となった、ルツェルン祝祭管弦楽団とのライブ録音『ブルックナー:交響曲第9番』が選ばれ、息子たちが賞を受け取った。ピアニスト3人がノミネートされた器楽賞部門では、ミハイル・プレトニョフ、マルカンドレ・アムランというベテラン勢をおさえて、英国の若手の逸材ベンジャミン・グローヴナーのアルバム『DANCES』が受賞した。また、合唱賞にはアンドリュー・デイヴィス指揮BBC交響楽団によるエルガーのオラトリオ『ゲロンティアスの夢』の録音が選ばれたが、やや英国びいきなのは一般投票ゆえだろう。
協奏曲賞を受賞したのは、ノルウェーのスター・ピアニストのレイフ・オヴェ・アンスネスとマーラー・チェンバー・オーケストラによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番と第4番のディスク。このコンビは4年間にわたって〈ベートーヴェン・ジャーニー〉と題したピアノ協奏曲の全曲録音およびツアーを行っており、その第2巻にあたる。本盤はさらに〈レコーディング・オブ・ザ・イヤー賞〉にも選ばれ、旅の終盤にさしかかっているアーティストたちにとって嬉しいプレゼントとなった。同コンビは5月にはいよいよ日本にも上陸するので、旬の演奏をぜひライブで堪能してほしい。
このほか特別賞として、チェンバロ界の異才マハン・エスファハニに新人賞が贈られ、DVD賞には筆者が映画館で観た時にとても感銘を受けた『椿姫ができるまで』(ナタリー・デセイ主演)が選ばれるなど、メジャー企画だけの賞ではないことを印象付けた。
レイフ・オヴェ・アンスネス (指揮・ピアノ)with マーラー・チェンバー・オーケストラ
5月14日(木)19:00 静岡音楽館AOI
5月15日(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
5月17日(日)14:00 東京オペラシティ コンサートホール