今月の音遊人
今月の音遊人:宮本笑里さん「あの一音目を聴いただけで、救われた気持ちになりました」
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現在のエレクトーンを語るときに外せないのが、2004年に発売された「ステージア ELS-01シリーズ」(以下01シリーズ)。当時インターネットの普及による情報化、ライフスタイルの多様化が進み、エレクトーンも大きな岐路に立たされていました。
「ステージアを開発するに当たっては、エレクトーンに携わるさまざまな立場の人間が集まり、エレクトーンがどのような楽器か一から見直したり、エレクトーンを取り巻く環境について問題点を洗い出したりしました」(鳥村さん)
その結果生まれたもののひとつが、鍵盤や脚、ペダルなどの各部をユニット式とするコンセプト。以前は、上位モデルが欲しいときは楽器ごと買い換えねばなりませんでしたが、ステージアはユニットの交換によって上位モデルへとグレードアップでき、モデルチェンジがぐっと手ごろになりました。
「電子楽器はモデルチェンジのサイクルが早く、そのぶん奏者の負担が大きくなっていましたが、ユニットのみの交換とすることで負担を少しでも軽くしたいと思いました。さらに、インターネットに接続して機能のバージョンアップができるようにするなど、楽器を購入後も時代の変化に対応できるよう開発を行いました」(鳥村さん)
次に、ステージアのデザインに焦点を当ててみましょう。以前のエレクトーンは木製だったり、ピアノをイメージさせる黒を生かしたデザインでしたが、ステージアでは鍵盤ユニットを支えるフレームにシルバーの金属を使い、シンプルでモダンなデザインに。現代の居住空間との馴染みもよく、部屋の中で浮くこともありません。
加えて、楽器の両サイドや背面から奏者の足の動きが見やすいのもポイントです。
「エレクトーンは観客に背中を見せて演奏するのが一般的でしたが、ステージアでは奏者が客席のほうを向き、足さばきを見せながら演奏する選択肢も生まれました。また舞台上だけに限らず、演奏する場がどこであっても、奏者の演奏姿が格好よく見えるデザインを意識しました」と鳥村さん。
ユニット式のアイディアや、表現力や機能性の高さが多くの奏者の支持を得た01シリーズ。とはいえ、やはり10年ひと昔・・・。次々と新しい技術が生まれ、音楽のトレンドも変わってきたことから、2014年春、10年ぶりにフルモデルチェンジが実施されることになりました。新シリーズとなり、ステージアはどのように進化したのでしょうか。
Take1:改めて考える エレクトーンってどんな楽器?
Take2:エレクトーンに新風を吹き込んだ「ステージア」
Take3:変えるべきもの、変えざるべきものを見極める