今月の音遊人
今月の音遊人:ぬましょうさん「“やれることがある”を気づかせてくれる音楽は、音楽だけじゃなく、人生も楽しくしてくれる」
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今月の音遊人:藤原さくらさん「音楽をやっていてよかったと思うのは、自分の曲が知らぬ間に誰かのものになっていること」
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2026.1.5
シンガーソングライターとして、また俳優としても活躍する藤原さくらさん。2025年にデビュー10周年を迎え、2026年2月には初の単独日本武道館公演を控えている彼女に、音楽への思いを語っていただきました。
お父さんがすごく音楽が好きな人で、その影響で私もかなりUKロック漬けの生活をしていました。ザ・ビートルズやウィングス、ポール・マッカートニーの曲は小さいころから聴いていて。この一曲っていうのは難しいんですけど、アルバムでいうとポールのソロ作の『ラム』(1971年)が好きです。こんなアルバムが作りたいと思いながら聴いていました。
また、フランスで活動しているイスラエルのシンガーソングライター、ヤエル・ナイムの『She Was a Boy』というアルバムも好きです。いろんな楽器が使われたカラフルな作品で、ブックレットを見て“この音はなんの楽器だろう?”と研究していました。
私はこの一曲という聴き方よりも、アルバム単位で聴くのが好きです。だからなのか、私の作品もアルバムを最初からシャッフルせずに聴いてもらいたいという気持ちがすごく強くて。それこそ映画を撮るみたいに、ストーリーを意識して曲順も考えています。
楽しいもの、委ねるものですね。私の原体験に洋楽やワールドミュージックがあるんですが、歌詞が英語をはじめ、さまざまな国の言葉なので、どんな内容なのかわからなくて。運よく日本盤が出ていてブックレットに訳詞が載っていたら、ようやく知るという感じだったんです。
普通に生活していたら交わることのない国の人たちの曲を聴いて、何を歌っているのかわからないのにすごく楽しい気持ちになったり、涙が出てきたりすることがあって。それは完全に言語を超越しているというか、すごいことだなと思うんです。まぁ、後から歌詞を知って、とんでもない曲だったということもあるんですけど(笑)、そういうのも音楽の楽しいところだと思います。
元々曲のメロディーや楽器の音を直感的、感覚的に楽しむ側の人間だったのに、いろいろ考えすぎて音楽を楽しむことから遠ざかっていました。最近になって、やっとまた原点回帰しているところなんです。

すぐに思い浮かぶ方がいます。いま一緒にアルバムを制作しているドラマーの石若駿さんは、まさに「音遊人」です。まるで子どものように音で遊んでいて、本当に楽しそうに演奏するんですよ。そんなすごい方を隣に見ながら演奏できるのは、かなり幸運なことだなと思います。
ジャズのプレイヤーの方たちにも音遊人は多いんじゃないかと思います。でも、一言に楽しんでいると言っても、楽しむための土台、基礎がしっかりあって、ある程度のルールみたいなものをお互いに共有できているからこそ、自由に羽ばたけるんですよね。それは並大抵の努力では到達できないところで、きっと大変な思いをしてたどり着けるのだろうなと思います。
私自身が音遊人になれているかはわからないですけど、素晴らしいミュージシャンとご一緒していると、同じ場所でプレイしていても、また一段階上のレイヤーで彼らはやっているように思えて。いまは、そこに行くのがすごく楽しみという気持ちにさせてもらっています。
音楽という共通言語があるからこそ、素晴らしいアーティストと一緒に演奏することができたり、シンプルに友達になれたりとか、それが大きいですね。
あとは、自分の曲が知らぬ間に誰かのものになっていること。ファンレターなどで、私の曲を拠り所にして頑張っていますという声をいただくと、届いているんだなって実感します。皆さんのお家に行って直接お話を聞いてあげることはできないけれど、近いことができちゃうような気がするのが、やっぱり音楽のおもしろいところだと思うし、やっていてよかったなって思いますね。
ある役者の方から、音楽の凄まじさのようなことをうかがったことがあります。「自分たちが“こういうことを伝えたい。こんなことを感じて欲しい”と思いながら取り組んだものが、60分のドラマや2時間半の映画になるわけだけど、音楽は3分でそれを伝えてしまうからズルい」と。音楽には、確かに時間感覚とか時空を超えてしまう力があるなと思います。だから私にとって音楽は、底知れない、そして聖なる、ありがたい存在です。

藤原さくら〔ふじわら・さくら〕
1995年生まれ。福岡県出身。天性のスモーキーな歌声は、数ある女性シンガーの中でも類を見ず、聴く人の耳を引き寄せる。2024年4月に発表した5枚目のアルバム『wood mood』は、サウンドプロデューサーにジャズドラマーである石若駿を迎え、原点回帰でもあり、自身の今の音楽的ムードを昇華した作品。2025年3月には、デビュー10周年を迎えた。ミュージシャンのみならず、役者、ラジオDJ、ファッションと活動は多岐にわたる。
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文/ 飯島健一
photo/ 坂本ようこ
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