今月の音遊人
今月の音遊人:綾戸智恵さん「『このコンサート安いわー』って言われたい。お客さんに遊んでもらうために必死のパッチですわ!」
12558views
僕の根幹にあるのは大石昌良。オーイシマサヨシはそこから派生したものなんです/大石昌良インタビュー
この記事は4分で読めます
10324views
2022.5.25
アコースティックギター1本で聴き手の心に激しく刺さる音楽を伝えるストイックなシンガーソングライター・大石昌良。そして、黒縁メガネをトレードマークにサービス精神あふれるステージを展開するアニソンシンガー・オーイシマサヨシ。まったく違う2つのキャラクターを使い分けるマルチアーティストの秘密に迫る。
大石昌良は4つの顔を持つアーティストだ。シンガーソングライターの顔、デビュー時に所属していたバンドSound Schedule(2011年に再結成された)での顔、サウンドクリエイターTom-H@ckとのユニットOxT(オクト)の顔。これに加えてアニソンシンガー“オーイシマサヨシ”としても活動している。彼がマルチなフィールドで活躍するアーティストであることはわかるが、なぜ、あえて大石昌良とオーイシマサヨシ、名前を分けているのだろう?
「バンド時代から大石昌良の名前で活動を続けてきて“自分が楽器を弾かないならステージには立たない”など自分なりのルール作っていったんです。ですから漢字の大石昌良という名義には“アーティストとして頑張っていく”という自分の意志が込められています」
しかし、彼がアニメソングの作家として脚光を浴び、アニソンシンガーとしても活動するようになると、楽器を持たずにカラオケで歌うことや地方のショッピングモールなどでのイベント出演などの機会も増えていった。
「そうなると大石昌良としてやってきたことと整合が取れなくなってしまうので、アニソンシンガーの活動は別名義にしようと考えたのがカタカナの“オーイシマサヨシ”です」
大石昌良とオーイシマサヨシはアーティストとしての姿勢もまったく違う。大石昌良は弾き語りというパフォーマンスを追求し、「日本一の弾き語リストになる」という夢を追い続けるシンガーソングライターだ。一方、オーイシマサヨシは、アニソンを通じて来てくれた人を楽しませようと全力を尽くすエンターテイナー。ある意味で正反対のキャラクターだ。
「ライブのMCも全然違います。オーイシマサヨシの場合は、最初に『アニソン界のおしゃべりクソメガネことオーイシマサヨシです』と必ず言うようにしていますし、すごく明るく人懐こい感じでやっています。でも、大石昌良はそういうことを言いませんし、声のトーンも少し低めで落ち着いています」
大石昌良のステージの魅力のひとつが、卓越したギターテクニックだ。スラッピングやタッピングなどのテクニックを駆使した演奏は、アコースティックギター1本とは思えないダイナミックな迫力を感じさせる。
「リズム楽器の音が聴こえるとか、後ろでエフェクトを同期させて音を出しているんじゃないかとか、よく言われるんですけど、決してそうではないんです。ピック弾きだけだと出ないニュアンスが楽しくてやっているんです」
その演奏スタイルは押尾コータローを連想させるが、実際に押尾との交流もあり影響も受けている。さらには海外のギタリストの演奏をYouTubeで研究して積極的に取り入れ、音楽仲間同士で影響し合いながら生まれたのが大石昌良ならではのギタースタイルだ。
「でも、僕はインストゥルメンタルの曲をやりたくてギターを弾いているのではなく、基本的に歌のためのギターなんです。歌うためのアンサンブルを作りたくてギターを始めましたし、それは今も変わっていません」
そんな彼がアコースティックギターを選ぶ時にどんなポイントを重視しているのかを聞いてみた。意外なことに、その答えは「疲れにくいこと」。指の長さに対するネックの太さやフレットの高さ、弦の太さや弦高の違いなど、さまざまな要素が疲れやすさの原因になるのだという。
「僕は、弾きやすさプラス疲れにくさもギターの大事なところだと思っています。練習していても疲れないギターのほうが上達するし、何より弾いていてシンプルに楽しいです。僕がヤマハのギターを選ぶ理由もそこが大きくて、すべてにおいてすごく優秀なんですが、特に疲れにくいという点が素晴らしくて、日本人にフィットしたギターだと思います」
大石昌良がギターにこだわっているとすれば、オーイシマサヨシとしてのこだわりはステージの演出だ。例えばステージにいきなりウルトラマンが登場したり、やぐら太鼓が出てきたりと、観客を驚かせる演出には事欠かない。
「毎回スタッフさんと一緒に、これでいきますかって相談をしながらステージを作っていく感じが楽しいんです。ですからオーイシマサヨシのライブは、どちらかと言えばエンタメ舞台の雰囲気が強いかもしれません」
ここまでの話でもわかるように、大石昌良のライブとオーイシマサヨシのライブはまったくの“別物”。それを知らずに行くと面食らってしまうことにもなりそうだが……。
「仮に間違ったとしても、両方とも誰も置いていかないライブを心がけているので、安心して遊びに来ていただけたら嬉しいですね」
それにしても、これだけスタイルの違う大石昌良とオーイシマサヨシを並行させる活動スタイルはいつまで続くのだろう?
「時期について、今はまったく考えてないです。でも、僕の根幹にあるのは大石昌良で、オーイシマサヨシはそこから派生したもの。もしオーイシマサヨシを辞めるとしたら、ファイナルライブで最後の曲が終わったら、それまでかたくなに取らなかったメガネを取ってステージのセンターに置いて『普通の大石昌良に戻ります』と言って去っていこうと。それだけは決めています(笑)」
オーイシマサヨシ
『恋はエクスプロージョン(feat.田村ゆかり)』
発売元:ポニーキャニオン
発売日:2022年6月1日
詳細はこちら
大石昌良
HAKUBA ヤッホー!FESTIVAL 2022
日時:2022年5月28日(土)
会場:白馬岩岳マウンテンリゾート山頂エリア 特設ステージ(長野県白馬村)
HAKUBA ヤッホー!FESTIVALオフィシャルサイト
その他のライブ情報は、大石昌良/オーイシマサヨシ オフィシャルサイトでご確認ください。
オフィシャルサイト