Web音遊人(みゅーじん)

ステージマネージャーの仕事 - Web音遊人

オーケストラのステージの“演奏以外のすべて”を支える/オーケストラのステージマネージャーの仕事(前編)

オーケストラの編成は少なくても30名前後、多くなれば100名を超えることもある。合唱が入るとその数はさらに増える。この大人数をステージに迎え、コンサートを滞りなく進行させるには、舞台裏で支える専門スタッフの力が必要不可欠。そのスタッフの中で中心的な存在を担っているのが、ステージマネージャーだ。
「ひとことで説明するなら、コンサートの進行に関するすべてを司る仕事といえばいいでしょうか」と語るのは、東京交響楽団のチーフ・ステージマネージャーとして日々奮闘している今村和弘さん。今村さんに、オーケストラの演奏を支えるステージマネージャーの仕事について伺った。

東京交響楽団はミューザ川崎シンフォニーホールを本拠地ホールとして活動し、定期演奏会やオペラ・バレエ公演の演奏、子どものためのコンサートシリーズなど、各地のホールで年間160前後の公演を行っている。現在89名の楽員が在籍し、編成は公演ごとに変わる。そして、ステージマネージャーは楽員と常に行動を共にする。「毎月出されるスケジュール表を見て、いつ、どこで、何をすればいいのかをまず把握します」
公演やリハーサルがある日はすべて仕事になる。東京交響楽団のステージマネージャーは今村さんのほかにもう1人。アルバイトスタッフも数名いる。しかし今村さんは、ほぼすべての現場に参加するという。

「オーケストラの使命は、お客様に満足していただける演奏をすることです」と今村さんは言う。そのために、プレイヤーが演奏に集中できるように努力するのがステージマネージャーの仕事なのである。
「演奏する曲やオーケストラの編成、演奏会場やリハーサル場所など、そのときどきの状況に応じて対応しなければいけないので、毎日が変化の連続ですね」。基本的な仕事の流れは決まっているものの、ルーティンではこなせないものだという。

ステージマネージャーの仕事 - Web音遊人

東京交響楽団のメインホールであるミューザ川崎シンフォニーホールの舞台裏。ホールでリハーサル中のため、楽器ケースがそこかしこに置かれていた。

では具体的にどのような仕事をしているのだろうか。ひとつの公演を想定して、ステージマネージャーの仕事の全体像を見てみよう。

楽団の最終決定スケジュールが出るのが公演の約2か月前。「これを見て、まず演奏曲ごとの楽器編成を確認します」
ほとんどの楽器は、本拠地であるミューザ川崎シンフォニーホールにあるが、楽団で所有していない楽器を使うときは、借り出しの手配も行う。また、他の会場でリハーサルや本番がある場合は、楽器を持ち出す手配も行う。数か所を移動するときなどは、できるだけ効率よく運べるように考えるそうだ。
そして、演奏会で使用するホールの舞台図面にオーケストラの編成を落とし込む作業をする。「オーケストラの配置を、リハーサルと本番で同じ形になるようにしたいので、本番の会場での配置を考えてから、リハーサルではどうするか検討し、図面に編成を書き込みます」
それぞれの場所によって、広さや使えるものが異なるため、綿密な作業が要求される。この配置のプランニングがもっとも気を使う仕事という。

ステージマネージャーの仕事 - Web音遊人

コンサートホールの舞台図面を元に、楽器の配置や作業手順などのプランを練る。それぞれの奏者が演奏しやすい椅子と譜面台の間隔があるので、それらも考慮する。

編成のプランニングと並行して、各ホールには機材の搬入から搬出までのスケジュールを伝える。通常の編成だとそれほど苦労なく進められるとのことだが、時にはいつも以上の力仕事になることもある。「現代曲のときは打楽器の量がとてつもなく増えることがありますから大変ですね」
コンサート当日は、楽器の搬入、楽屋の準備、舞台の設営、ゲネプロ(最終リハーサル)、本番という流れになる。ホールにより空調や照明も変わるので、それらの調整も重要だ。そして開演の10分前くらいに、定刻通りに開演するかどうかを主催者に確認する。「開演の5分前になったらベルを鳴らし、楽員と指揮者にも声をかけ、時間が来たら楽員を舞台に送り出し、タイミングを見て指揮者も送り出します」
本番の演奏中は、何が起きてもすぐに対応できるように舞台の袖で見守っている。終演後は一息をつく間もなく、後片付け。ホールの退出時間が決まっているので、普通のコンサートならおよそ40〜50分で終えるという。

続きをみる

 

特集

宮本笑里

今月の音遊人

今月の音遊人:宮本笑里さん「あの一音目を聴いただけで、救われた気持ちになりました」

1988views

ドイツ・グラモフォン ベスト・オブ・ベスト

音楽ライターの眼

2018年に創立120年を迎えるドイツ・グラモフォンの歴史を俯瞰する名演集

2172views

マーチングドラム

楽器探訪 Anothertake

これからのマーチングドラム ~楽器の進化の可能性~

4435views

初心者におすすめのエレキギターとレッスンのコツ!

楽器のあれこれQ&A

初心者におすすめのエレキギターと知っておきたい練習のコツ

4821views

おとなの楽器練習記 レ・フレール

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ピアノデュオ『レ・フレール』がトロンボーンに挑戦!

5203views

ホールのクラシック公演を企画して地域の文化に貢献する/音楽学芸員の仕事

オトノ仕事人

アーティストとお客様とをマッチングさせ、コンサートという形で幸福な時間を演出する/音楽学芸員の仕事

5703views

HAKUJU HALL(白寿ホール)

ホール自慢を聞きましょう

心身ともにリラックスできる贅沢な音楽空間/Hakuju Hall(ハクジュホール)

10344views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

1815views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

民族音楽学者・小泉文夫の息づかいを感じるコレクション

3669views

われら音遊人ー021Hアンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:元クラスメイトだけで結成。あのころも今も、同じ思いを共有!

1203views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

すべては、あの日の「無料体験レッスン」から始まった

2191views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

2983views

バイオリニスト石田泰尚が アルトサクソフォンに挑戦!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】バイオリニスト石田泰尚がアルトサクソフォンに挑戦!

5693views

上野学園大学 楽器展示室」- Web音遊人

楽器博物館探訪

伝統を引き継ぐだけでなく、今も進化し続ける古楽器の世界

5042views

音楽ライターの眼

メトロポリタン歌劇場の130年のドラマを詳細に描き出した著作が登場

412views

オトノ仕事人

コンサートの音の責任者/サウンドデザイナーの仕事

3060views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:バンドサークルのような活動スタイルだから、初心者も経験者も、皆がライブハウスのステージに立てる!

3396views

“音を使って音楽を作る”音楽の冒険を「ELC-02」で

楽器探訪 Anothertake

音楽を楽しむ気持ちに届ける「ELC-02」のデザインと機能

4007views

紀尾井ホール

ホール自慢を聞きましょう

専属の室内オーケストラをもつ日本屈指の音楽ホール/紀尾井ホール

5564views

山口正介さん Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

いまやサクソフォンは趣味となったが、最初は映画音楽だった

1922views

楽器上達の心強い味方「サイレント™シリーズ」&「サイレントブラス™」

楽器のあれこれQ&A

楽器上達の心強い味方「サイレント™シリーズ」&「サイレントブラス™」

19305views

こどもと楽しむMusicナビ

“アートなイキモノ”に触れるオーケストラ・コンサート&ワークショップ/子どもたちと芸術家の出あう街

1458views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

2983views