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今月の音遊人:甲田まひるさん「すべての活動の土台は音楽。それなしでは表現にはなりません」
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生演奏を届けて“強烈な実体験”にしたい。ウィーンから日本各地へ、47都道府県ツアーを開催/石井琢磨インタビュー
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2023.5.30
tagged: 石井琢磨
東京とウィーンの二拠点で活動するクラシック音楽のピアニストでありながら、22万人ものチャンネル登録者数を誇るYouTuberとしても活動している石井琢磨。演奏はさることながら親しみのある人柄で多くのファンをクラシック音楽の世界に引き付けている。2022年秋より2年ほどかけて、各都道府県をまわる「47都道府県ツアー 〜ウィーンからあなたの街へ〜」真っ最中の石井に話を聞いた。
東京藝術大学を卒業し、ウィーンに渡り11年。コロナ禍で演奏活動が制限された2020年、クラシック音楽の魅力を自分なりに伝えたいという思いでYouTubeチャンネル「TAKU-音 TV たくおん」を開設した。元々、YouTubeを始めることには消極的だったという石井。「生で演奏してこそ、音楽家の仕事だと思っていて。インターネット上の音源だけで、果たしてどこまでクラシック音楽の魅力が伝えられるのか、不安だったんです」と当時の心境を語る。
チャンネルでは、街やカフェに設置されているピアノを演奏したり、時には好物のスイーツを食べたり、ウィーンなどの街を歩いたり……。バラエティ要素を兼ね備えつつも、確かにクラシック音楽の魅力を伝える動画を次々とアップロード。着実にファンを増やしていく中で、石井はYouTuberとしての活動に手応えを感じるようになった。
「僕は、クラシック音楽の魅力をたくさんの方にお伝えすることで、皆さんが少しでも幸せを感じることができればと思いながら活動しています。そのためには、まずは石井琢磨の存在をたくさんの方に知っていただく必要がある。YouTubeでの活動は、そのための良い手段になっているんです」
クラシック音楽の魅力を伝えたい。そんな一心で活動を行ってきた石井が思うクラシック音楽の良さとは何なのか。
「聴くたびに何度でも新たな発見があったり、詳しくなるにつれて作品が残された背景や作曲家ごとの特徴がわかるようになったり、ピアノひとつをとっても種類ごとの音色や響きの違いに気づけるようになったり。聴けば聴くほど楽しくなってくるのがクラシック音楽の魅力だと思います」
そんな想いがダイレクトに反映されたのが、今回のツアーだ。クラシック音楽の公演は規模の大きい都市に集中する傾向にあるが、石井はあえて47都道府県の各地に足を運ぶことを選んだ。
「僕のチャンネルの視聴者の中には、“遠方だからなかなかクラシック音楽の演奏会に行けない”という方が多くいらっしゃって。それなら、僕がその街に音を運べばいい。そう考え、形になりました」
曲目は、リスト『愛の夢』やシューマン=リスト『献呈』、石井の十八番であるグリュンフェルド『ウィーンの夜会』といったウィーンにゆかりのある作品が中心。またシーズンごとに、フィンランドの作曲家であるパルムグレンなど、比較的マイナーな作品も取り上げる。作曲家や作品を解説するトークを挟み、クラシック音楽を楽しむための“ガイドライン”を引くことを意識しているという。
「インターネットの動画と生演奏の違いは、“強烈な実体験”を得られるかどうかだと思います。やはりその場で音楽を聴くからこそ、ずっと忘れられない体験になると思っていて。今回のツアーを、多くの方の“強烈な実体験”になるようにしたいですね」
石井の熱い想いは、ウィーンから日本に広がり、全国を駆け巡る。情熱を込めた渾身の演奏は、いかに多くの人々を“幸せ”にするのか。その瞬間を会場で目の当たりにしてほしい。
2023年
7月16日(日)13:30開演:キセラ川西プラザ キセラホール(兵庫県川西市)
7月17日(月・祝)14:00開演:豊田市コンサートホール(愛知県豊田市)
7月29日(土)13:30開演:山形テルサ テルサホール(山形県山形市)
11月18日(土)14:00開演:京都コンサートホール 小ホール(京都市左京区)
チケットのご購入や販売状況は、イープラスのサイトでご確認ください。
イープラス