【ライヴ・レポート】DOWNLOAD JAPAN 2019/新たなるメタルの春の祭典

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音楽ライターの眼
【ライヴ・レポート】DOWNLOAD JAPAN 2019/新たなるメタルの春の祭典
2019.4.22
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2019年3月21日(木・祝)、幕張メッセ国際展示場9~11で「DOWNLOAD JAPAN 2019」が開催された。

ジューダス・プリースト、スレイヤーというメタル界の重鎮をヘッドライナーに迎え、ポップ・パンクを代表するサム41、21世紀型ホラー・メタルのゴースト、”スラッシュ四天王”の一角を占めるアンスラックス、唯一の日本出身バンドであるMAN WITH A MISSIONなど総勢10アーティストが出演するフェスティバル。午前10時半から午後9時半までの11時間、ヘヴィなサウンドで観衆を蹂躙するイベントとなった。

2006年から開始したヘヴィ・ロックの秋の祭典「ラウド・パーク」が2018年には開催されず。同年春に行われた「Warped Tour Japan」の今後も明らかになっていない。もやもやした状況下で開催された「DOWNLOAD JAPAN 2019」は、日本のメタル・ファンにとっての”希望”の象徴でもあった。

トップバッターのライク・ア・ストームがステージに上がる前から、場内はかなりの入り。昼過ぎにはギュウギュウの状態となった。後期「ラウド・パーク」や「Warped Tour Japan」と比べても盛況であり、しかも観客層が若い。これまでのヘヴィ系フェスは2日開催が多かったところを1日にしてチケット代が安価になったこと、また2日分のオイシイところを1日に凝縮したことでコストパフォーマンスが高くなったことも理由だろうが、とにかく会場全体が生き生きとしていた。

アーチ・エネミーは日本のメタル・フェスではすっかりお馴染みの強豪バンドだ。「ラウド・パーク」ではほぼ毎年ギタリストのマイケル・アモットが出演する”アモット枠”があり、2014年にはマノウォーが出演をキャンセルしたため繰り上がりヘッドライナーとなったこともあった彼らゆえ、午後1時台の出演タイムというのは早すぎにも思えたが、そのステージ・パフォーマンスは真っ昼間から飛ばしまくりだ。

アンスラックスの存在も同様に、フェスそのものを極濃にしていた。午後2時台から「コート・イン・ア・モッシュ」、「マッドハウス」、「アンチソーシャル」、「インディアンズ」などスラッシュ・メタルの歴史を形作った名曲を聴くことができるとは、なんたる贅沢だろうか!近年は2015年の「ラウド・パーク」では午後4時台に出演、2017年にはメガデスのサポート・バンドとして来日するなど、決してトリ扱いではない彼らだが、常に全力投球のライヴは、観衆に”体力温存”を忘れさせた。

「DOWNLOAD JAPAN 2019」の数多いハイライトのひとつは、ゴーストの日本への帰還だった。2014年の「サマーソニック」フェス以来の来日となる彼らだが、フロントマンのトビアス・フォルゲは「コピア枢機卿」というペルソナをまとっての再降臨である。

2018年のコピア枢機卿への転生当時はパンダのような隈取りに違和感も覚えたが、そのステージのプレゼンスは目を離すことができないものだ。チョビ髭に燕尾服、細身のパンツという、怪盗ファントマを思わせるたたずまいがキャッチーでエレガントな音楽性と呼応しあい、異空間を生み出す。彼をバックアップするメンバーたちはいずれも鉄仮面を被った正体不明の「ネイムレス・グールズ(名無しの餓鬼)」だが、がっちりタイトな演奏で、ライヴを盛り上げていた。

最新アルバム『Prequelle』は日本盤が発売されていないものの、こんなライヴを見せられたら、彼らから目を離すことはできない。

サム41はしばしばポップ・パンクの旗手と呼ばれ、「DOWNLOAD JAPAN 2019」のメタル系のラインナップでは浮いてしまうのではないか……?とも思われたが、それは杞憂だった。会場には彼らのTシャツを着込んだファンも多く、1曲目「ザ・ヘル・ソング」から跳ねまくり、歌いまくり。みるみる会場全体を巻き込んでいく。

それもそのはず、彼らは2001年のMTV開局20周年イベントでロブ・ハルフォード(ジューダス・プリースト)やトミー・リー(モトリー・クルー)と「ブレイキング・ザ・ロウ」「シャウト・アット・ザ・デヴィル」を共演するなど、文字通り”筋金入り”のメタルヘッズだ。「DOWNLOAD JAPAN 2019」でもブラック・サバス「パラノイド」、ピンク・フロイド「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォールPart II」、クイーン「ウィ・ウィル・ロック・ユー」ファスト・ヴァージョンなど、メタル・ファンの心をくすぐるカヴァーを交えながら盛り上げていた。

スレイヤーのライヴは「FINAL WORLD TOUR」と銘打たれたものだ。もちろんそれは”最後のツアー”の一環としての来日であり、同じツアーでもう1回ぐらい日本を訪れるかもしれないが、現時点ではこれが本邦での最後のライヴになる可能性が高い。

「DOWNLOAD JAPAN 2019」でのライヴは、35年以上の足跡を総括する、グレイテスト・スレイヤーのショーだった。当然ながら”ヒット・シングル”とは無縁だった彼らだが、世界中のファンが愛してやまないスラッシュ・バイブル的ナンバーが次々と繰り出される。

最新アルバムのタイトル曲「リペントレス」から突入。観衆は首を振るのを止めることが許されない。「ディサイプル」では会場がひとつになって「God hates us all!」と絶唱、随所でグルグル疾走するサークル・ピットが発生するなど、ステージ上と場内の両方で繰り広げられるせめぎ合いのバトルは、この日演奏された曲のひとつ「ウォー・アンサンブル」=”戦争の合奏曲”がそのまま実現したようだった。

「ジハード」「ペイバック」など、ややコアめのナンバーも交えながら、後半のクライマックスへと向かっていく。「デッド・スキン・マスク」、「ヘル・アウェイツ」、「サウス・オブ・ヘヴン」、「レイニング・ブラッド」、「ケミカル・ウォーフェア」、「エンジェル・オブ・デス」という怒濤の展開は、鬼気迫るものがあった。これが最後のツアーであることを宣言している彼らだが、それは決して体力・気力の衰えではなく、むしろバンドがピークを迎えているからこそ、ベストな状態で幕を引きたいという想いによるものだろう。

オリジナル・メンバーはトム・アラヤ(ヴォーカル、ベース)とケリー・キング(ギター)の2人のみだが、ポール・ボスタフ(ドラムス)とゲイリー・ホルト(ギター)はかなりの期間、行動を共にしてきた、現在のスレイヤーに欠くことのできない盟友たちだ。

ショーの最後、トムが日本語で「ワタシたちの最後のショーです。とても悲しい。サヨナラ」と告げる。その寂しそうな表情には、嘘偽りはないだろう。観衆も顔面を汗と涙でグショグショにして、ヒーローたちに最後の声援を送ったのだった。

そして、ジューダス・プリーストは圧巻なステージでフェスを締めくくることになった。

当初フェスのヘッドライナーはオジー・オズボーンと発表されていたが、体調不良でキャンセル。かつて「ラウド・パーク」でも2年連続でヘッドライナーが出演中止、セミが繰り上がったことがあったため、このままスレイヤーがトリに……?とも思わせたが、まさかの”メタル・ゴッド”再降臨が実現することになった。

2018年11月に日本公演を行ったばかりの彼ら。最新アルバム『ファイアーパワー』に伴うツアーという点では同じだが、年を跨いでセットリストに手を入れてきた。前回は演奏されなかった「ユダへの貢物 Delivering The Goods」、「ブラッドストーン」、「デヴィルズ・チャイルド」、「殺人機械」、「ラピッド・ファイア」そして東京では演奏曲目から落ちた「エレクトリック・アイ」を加えたライヴは、前年とは異なる感動を与えてくれた。バンドの黄金時代を築いてきたフロントマンのロブ・ハルフォード(ヴォーカル)、唯一のオリジナル・メンバーとしてボトム・エンドをがっちり支えるイアン・ヒル(ベース)がプリースト・サウンドの背骨を貫き、リッチー・フォークナーとアンディ・スニープの新ギター・チームを得て、クラシックスの数々は鋭い切れ味を伴っていく。アンコールは「エレクトリック・アイ」「ブレイキング・ザ・ロウ」「リヴィング・アフター・ミッドナイト」の3連打。観衆の中に残っていた最後のエネルギーを絞りつくした。

屋内フェスのため、「サマーソニック」のように打ち上げ花火が上がることはない。だが、2万人の観衆の脳内では、アドレナリンがドッカンドッカンと轟音と共に炸裂していた。

とにかく密度が濃く、休憩タイムがまったくなかったため、翌日の筋肉痛がハンパでなかった「DOWNLOAD JAPAN 2019」。階段を上り下りするたびに腰をアイタタと押さえ、ついでに花粉症にも悩まされつつも、新たなるメタルの春の祭典が今後も開催されることを願うばかりであった。

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文/ 山崎智之