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ピアニストの声となり歌い奏でる、コンサートグランドピアノ「CFX」の新モデル
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2022.6.15
tagged: CFX, 楽器探訪AnotherTake, コンサートグランドピアノ
国内外のあまたのピアニストに愛されてきた、ヤマハのコンサートグランドピアノ「CFX」。このたび登場した新モデルは、豊かな響きでピアニストを包み込み、共に音楽を歌い奏でるピアノです。
「開発の柱となっているのは『ユニボディコンセプト』という設計思想です。グランドピアノは約8,000のパーツから出来ていますが、パーツの継ぎ目がないかのように楽器を一体化(ユニボディ化)し、打鍵による振動エネルギーを無駄なく音に変換することで、豊かな響きを生み出そうと考えました。ただしそのためには、響きに直結する『響板』『支柱』はもちろんのこと、すべてのパーツの素材、設計を改めて見直す必要がありました」と語る、開発担当の堀田哲夫さん。
開発においては、長年培ってきたノウハウに加えて、最新のシミュレーション技術で改良すべき箇所の当たりをつけ、より精度の高い試作品を制作。さらに出来上がった試作品の振動や音響を測定・分析し、どう良くなったかを数値化することで、確信をもって開発を進めていったそう。
「重要なところでは、響板の湾曲構造の在り方を前モデルから大きく発展させています。シミュレーション技術により、構造を工夫することで響板が弦をより強固に支えられることが分かったのです。実際に試作してみると、はっきりとその効果を裏付ける高評価が得られました。その後も、シミュレーションと試作の好循環を起こしながら仕様を固めていきました。結果として中低音の音がぐっと深く伸びるようになりました」(堀田さん)
「実をいうと、『ユニボディコンセプト』が実現できたのは、最新テクノロジーというより、熟練の職人の腕によるところが大きいんですよ」と堀田さん。
ヤマハのグランドピアノ工場には、「CFX」などの上位モデルを製造する「特器工程」と呼ばれる場所があり、これまでその詳細は外部には明らかにされてきませんでした。
「新しい『CFX』を世に出すにあたり、特器工程や熟練の職人のこだわりを、写真や言葉で積極的に説明していく方針に転換しました。職人の繊細な手作業で、時間と手間をかけてピアノづくりをしていることを伝えることが、多くの方々に『CFX』の価値を知っていただくことにつながると思いました」と、マーケティングを担当する武市尚子さん。
外見から新モデルを見分ける大きなポイントが、孔(あな)空きの譜面台。室内楽や古典派・近代音楽のコンサートなど、本番で譜面を使うシーンは意外に多く、多数のピアニストから「音抜けの良い譜面台が欲しい」という要望があったそう。
「新モデルでは孔空きの譜面台が標準仕様となっていますが、一般的なのは孔なしの譜面台ですので、どちらを標準仕様とすべきかについてはさまざまな議論がありました。最終的には、多くのピアニストが望んでおり、孔空き譜面台を広く普及させたいという思いから決断に至りました」(堀田さん)
国内外の約100名に及ぶピアニストの意見を反映し、30台を超える試作を経て完成した新「CFX」。欧州にあるヤマハのグローバル拠点に試作品を運び、国際的に活躍する現役のピアニストに試奏してもらう機会も設けたそう。
「ヤマハのことを支持してくださる方だけでなく、ふだんヤマハのピアノを弾かない方にも積極的に試奏いただきました。なかには厳しい意見もありましたが、世界的に認められるピアノにするためにも、楽器選びに妥協のない方々にこそ試奏してもらい、意見に耳を傾ける必要があると思いました」
2010年にコンサートグランドピアノ「CFシリーズ」の最高峰として世に出た「CFX」。この「X」には、大きな飛躍と可能性という意味が込められています。
「新しい『CFX』もまだ飛躍の途上にあり、今後さらに認知度を上げ、多くのピアニストに弾いていただきたいという願いもあり、モデル名はあえて変えずにそのまま引き継いでいます」(武市さん)
これから時間をかけて、その音色、響きを耳にする機会が増えていくであろうコンサートグランドピアノ「CFX」。世界各地のステージで、ピアニストと共に、私たちを魅了する音楽を生み出してくれることでしょう。
ピアニストの情熱を実際の音に変え、共に作り上げた音楽を、コンサートホールの広い空間いっぱいに満たします。匠たちの技と叡智により結実した、ヤマハコンサートピアノです。
詳細はこちら
2022年8月5日(金)名古屋:電気文化会館ザ・コンサートホール
2022年9月29日(木)札幌:札幌市教育文化会館小ホール
2022年11月15日(火)仙台:宮城野区文化センターパトナホール
2022年12月15日(木)福岡:福岡あいれふホール
2022年12月21日(水)東京:ヤマハ銀座店 ヤマハホール
2022年12月25日(日)大阪:ザ・フェニックスホール
2023月1月21日(土)広島:広島市南区民文化センターホール
各会場のチケット情報などは公演サイトでご確認ください