Web音遊人(みゅーじん)

Leon Symphony Jazz Orchestra

われら音遊人:すべての楽曲が世界初演!唯一無二のジャズオーケストラ

多彩なジャンルの名曲をオリジナルアレンジで

団長の中山礼音レオンさん率いるLeon Symphony Jazz Orchestra(通称:レオケ)には、ほかの楽団にはない3つの魅力がある。1つ目は、クラシック編成のオーケストラに腕利きのジャズセクションを加えた総勢80名超の「グランド・オーケストラ」であること。レオンさんによれば、「弦楽器まで入ってジャズをやる常設のオーケストラは、プロ・アマを通じてほぼない」とのこと。1950~70年はパーシー・フェイス、ポール・モーリアといったグランド・オーケストラが次々と登場。イージーリスニングと呼ばれる“誰もが気軽に楽しめる音楽”を世界に浸透させた時代があった。
「でも、演奏するのは決して気軽ではありません。ジャズ畑とクラシック畑では文化も違い、まず統率が難しいのと、譜面そのものがないという高いハードルがあるからです」

Leon Symphony Jazz Orchestra

インタビューにご協力いただいたメンバー。左から、飯島渚さん(パーカッション)、奥田陽子さん(オーボエ)、中山礼音さん(団長・指揮・作編曲・キーボード)、見澤祐太さん(トランペット)、久保田和華さん(バイオリン)。

それでも、この特殊編成のオーケストラを復活させたいと思ったのには理由がある。レオケの理念でもある「楽しい音楽で世の中を元気にしたい」「次世代を担う子供たちに音楽の楽しさを伝えたい」を現実にするためだ。譜面がないなら自分が作ろうと、レオンさん自身がアレンジを担当。「大人も子供も楽しめる音楽に垣根はない!」と、古今東西の名旋律を素材に、ジャズ、フュージョンの香りのするゴキゲンなオリジナルアレンジに仕立て上げた。「それが2つ目のレオケの魅力」と語るのは、副団長で創団メンバーの見澤祐太さん(トランペット)。
「すべてをオリジナルアレンジでやるとなると、誰も聴いたことがない新作と同じで正解がありません。ただ、目の前にアレンジャーがいるので、レオンさんと対話しながら『この部分はこうしていきたい』『ここはどうしましょう?』という相談ができる。初演の責任感は伴いますが、そうやってわれわれの正解を作っていけるところに面白さを感じています」
入団1年目の飯島渚さん(パーカッション)も、「私はクラシックをやってきたんですが、ジャズもポップスも映画音楽も、みんなが知っていて自分もやりたいと思っていた音楽ができるのはもちろん、完成度の高いオリジナルアレンジで、演奏していて最高に楽しい」と話す。
そんな団員の思いが観客にも届くのだろう、定期演奏会のアンケートには「とにかくみんなが楽しそうに演奏しているので、私たちもすごく楽しく聴けました」と書かれていることが多いという。

Leon Symphony Jazz Orchestra

ユニークな編成のオーケストラを団長(右上)が統率し、とにかく楽しいオリジナルアレンジがなされた、多彩なジャンルの音楽が奏でられる。

演奏だけでなく演出にも本気で取り組む

レオケならではの魅力の3つ目は、その演奏会の “演出方法”にある。『スター・ウォーズ・メドレー』なら団員がベイダー卿やオビ=ワンに扮し、『ブラジル』ではサンバのリズムに乗ってまさかの会場練り歩きパレード、『マツケンサンバ』は団長自らコスプレでマツケンになりきって踊りながら指揮をするなど、「ここまでやるの?」のオンパレード。だから会場のお客さんもノリノリで楽しめるのだ。
演出委員を兼ねる久保田和華さん(バイオリン)は次のように語る。
「以前はもっと音楽に集中したいからと演出も控えめでしたが、今はかなり振り切った演出に変わってきました。衣装も楽曲の雰囲気を見た目でも楽しんでもらえるよう工夫を凝らしています。その演出を楽しみに会場に足を運んでくださるお客さまも増えてきて、とてもうれしいです」

Leon Symphony Jazz Orchestra

演奏会では演出にもこだわり、レオケメンバーの一人ひとりが思い切り楽しむことで、それがたくさんの観客にも伝わっていく。

だからといって演奏に支障が出ては本末転倒。ハイレベルでバランスのとれた演奏を聴かせるためにも、合宿やセクションごとの個別練習は欠かせない。しかし、団員一人ひとりの努力とアイデアが実を結び、今では1,000人から2,000人の会場を押さえてもチケットが完売してしまうほどの人気ぶりだという。
「それが実現できたのもいい人が集まっているから」と言うのは、副団長兼会計の奥田陽子さん(オーボエ)。
「80人もの奏者がいれば価値観の違いもありますが、団員同士がいつも本当に和気あいあいとしているのでストレスが生じないんです。それもレオンさんの音楽に対する愛情の深さと求心力があってこそだと感謝しています」
その言葉に「涙が出そう」とレオンさん。「僕自身、団員が笑顔で演奏して、それが観客に伝わっていくことが一番のモチベーション。今後もみんなが『よかった』と思ってくれる演奏会を目指して頑張ります!」

Leon Symphony Jazz Orchestra

レオケのロゴマークと、団長に似たキャラクターの「レオ犬」(レオケン)(左)。Tシャツやトートバッグなどのグッズも制作。(右)

Leon Symphony Jazz OrchestraのQ&A

Q.次のコンサートの内容は?
2025年5月6日(火・休)に東京の文京シビックホール(大ホール)で開催予定の第11回定期演奏会では、世界中の人に愛され、演奏されてきた「ジャズ・スタンダード」をレオケならではの多彩なアレンジでお届けする予定です。満を持して、ジャズオケがジャズのスタンダードをやりますので、どうぞお楽しみに!

Q.今後の目標は?
現在、約100曲のレパートリーを200曲まで増やすこと。そのうち50曲はいつでも演奏できる状態を維持し、定期演奏会以外にもさまざまな機会で演奏したいですね。この先もっと認知度を高め、5,000人、10,000人規模の会場での演奏会も目指していきます!

バンド紹介

●バンド名:Leon Symphony Jazz Orchestra
●結成時期:2018年10月
●活動内容:年2回の定期演奏会(大ホール)のほか、小規模編成のミニコンサートや学校訪問演奏などを行っている。
●練習頻度:全体練習は月2回、各約4時間
●年齢構成:20~70代
●メンバー:弦楽器54名、木管楽器11名、金管楽器12名、リズム隊4名、団長(指揮・作編曲・キーボード)、総勢82名
オフィシャルサイト

オフィシャルFacebook YouTube公式チャンネル オフィシャルX(旧Twitter) オフィシャルInstagram
オフィシャルLINE

仕事を持ちながら音楽を楽しむ「われら音遊人」大募集!

音楽情報誌「音遊人」とWebマガジン「Web音遊人」にご登場いただける、仕事をしながら活動を続けているアマチュアバンドや楽団を募集しています。ジャンルは問いません。ぜひ、取材にご協力ください。
詳細はこちら

photo/ 坂本ようこ

本ウェブサイト上に掲載されている文章・画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

facebook

twitter

特集

今月の音遊人:姿月あさとさん「自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思います」

今月の音遊人

今月の音遊人:姿月あさとさん「自分が救われたり癒やされたりするのは、やはり音楽の力だと思います」

15613views

音楽ライターの眼

連載1[多様性とジャズ]ジャズはなぜ20世紀に求められたのかを“個人主義”という視点で考えてみると……

3800views

楽器探訪 Anothertake

世界の一流奏者が愛用するトランペット「Xeno Artist Model」がモデルチェンジ

30698views

サクソフォンの選び方と扱い方について

楽器のあれこれQ&A

これからはじめる方必見!サクソフォンの選び方と扱い方について

61609views

おとなの楽器練習記

【動画公開中】注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

11168views

一瀬忍

オトノ仕事人

ピアノとピアニストの絆を築く、アーティストリレーションの仕事

6193views

武満徹の思い「未来への窓」をコンセプトに個性的な公演を/東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル

ホール自慢を聞きましょう

武満徹の思い「未来への窓」をコンセプトに個性的な公演を/東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル

17115views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

12398views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

世界の民族楽器を触って鳴らせる「小泉文夫記念資料室」

26377views

われら音遊人 リコーダー・アンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:お茶を楽しむ主婦仲間が 音楽を愛するリコーダー仲間に

9175views

パイドパイパー・ダイアリー

パイドパイパー・ダイアリー

泣いているのはどっちだ!?サクソフォン、それとも自分?

6751views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

34874views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:和洋折衷のユニット竜馬四重奏がアルトヴェノーヴァのレッスンを初体験!

6140views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

見るだけでなく、楽器の音を聴くこともできる!

15487views

ライヒ「4台のオルガン」、加藤訓子一人全役が示すミニマル・ミュージックの成立過程

音楽ライターの眼

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase24)ライヒ「4台のオルガン」、加藤訓子一人全役が示すミニマル・ミュージックの成立過程

3448views

オトノ仕事人

あらゆるトラブルに対応できる、優れたリペア技術者を世に送り出す/管楽器のリペア技術者を育てる仕事

9520views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:人を楽しませたい!それが4人の共通の思い

7713views

音楽を楽しむ気持ちに届ける「ELC-02」のデザインと機能

楽器探訪 Anothertake

【動画】「楽しさ」をまるごと運ぼう!「ELC-02」の分解、組み立て手順

21055views

久留米シティプラザ - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

世界的なマエストロが音響を絶賛!久留米の新たな文化発信施設/久留米シティプラザ ザ・グランドホール

21677views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

大人の音楽レッスン、わたし、これでも10年つづけています!

7905views

楽器のあれこれQ&A

ドの音が出ない!?リコーダーを上手に吹くためのアドバイスとお手入れ方法

213374views

こどもと楽しむMusicナビ

親子で参加!“アートで話そう”をテーマにしたオーケストラコンサート&ワークショップ/第16回 子どもたちと芸術家の出あう街

6461views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

28118views