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夏休みは、ダンス×人形劇やミュージカルなど心躍る舞台にドキドキ、ワクワクしよう!/日生劇場ファミリーフェスティヴァル2022
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2022.8.1
tagged: こども, こどもと楽しむMusicナビ, 日生劇場, 日生劇場ファミリーフェスティヴァル, 子ども
日比谷公園の目の前、重厚な建物の日本生命日比谷ビルの中にある日生劇場は、1963年にオープンした由緒ある“舞台芸術の殿堂”。うねるような曲面で構成され、天井には2万枚ものアコヤ貝が散りばめられた幻想的な内装で知られている。これまでオペラやミュージカル、コンサートなど歴史に残る煌びやかなステージを60年近くも繰り広げてきた。
そんな同劇場が1993年から毎年夏休みに開催している、親子で本格的な舞台芸術に気軽に触れられる好企画が「日生劇場ファミリーフェスティヴァル」である。2022年も7~8月にかけて、バレエからクラシックコンサート、ミュージカルなど4つのラインナップを順次開催中で、各公演で賑わいをみせている。7月公演のバレエ『真夏の夜の夢』と物語付きクラシックコンサート『アラジンと魔法の音楽会』は好評のうちに終演を迎えたが、8月も魅力的な2つの公演が控えている。
8月公演の第1弾は、伝統的な文楽の技術を継承する人形劇と、コンテンポラリーダンスを融合させたスケールの大きな舞台。アンデルセンの名作童話をもとにした本作は、王女エリサが悪いお妃(魔女)の呪いで白鳥の姿に変えられた11人の王子たちを救うために奔走する、愛と冒険の物語。2018年の舞台の再演だが、オーディションで新たなダンサーたちも加わり、よりダイナミックな動きで魅せる。エリサと一緒に旅する小さな友だち、白オコジョのチャッピが今回も大活躍で、大きな存在感を示してくれるはず。ステージいっぱいに魔法が広がる場面にも乞うご期待。果たしてエリサは試練を乗り越え、呪いを解くことができるのか……ぜひ劇場で見届けて欲しい。
8月公演の第2弾は日生劇場×NHKエンタープライズ×東宝による初の共同企画・制作の『リトル・ゾンビガール』。構成作家で脚本家の德野有美がストーリーを書き下ろし、「NHKみんなのうた」の名曲たちで構成された異色の“ジュークボックス・ミュージカル”である。物語のヒロインは、仲間たちと森の奥深くに隠れ住むゾンビの小さな女の子、ノノ。ある日、敵である恐ろしい人間たちの突然の侵入に怯えたゾンビたちは、元気いっぱいのノノを街へ偵察に送る。彼女はそこで心優しい男の子、ショウと出会い、戸惑いながらも友達になる。しかし人間とゾンビたちの対立はますます激しくなるばかり。果たして二人の友情の行方は……気になる本作の誕生秘話について、脚本を担当した德野有美さんに話を伺った。
「『みんなのうた』の楽曲だけでミュージカルを作るにあたって、お子さんからお父さんお母さん、そしておじいちゃんおばあちゃんまで、3世代すべての心に響く『みんなのうた』って何だろうって考えて浮かんだのが、やなせたかし先生の『手のひらを太陽に』(1962年)でした。この歌のフレーズに『ゾンビだって、みんなみんな生きているんだ、友だちなんだ』って異質なものを入れてみたら面白いかもしれないなと。人とゾンビ、お互いにわかりあえない者同士が、どうやって一緒に生きていくのか考えさせられるような話はどうだろうって、そこからどんどん発想がふくらみました。実は劇中に『手のひらを太陽に』が登場するのはたった1回きりなのですが、この作品全体を貫く“核”になる一曲なのです」
1961年に放送がスタートしてから、それぞれの時代に数々のヒット曲を生み、これまでに1,500曲を超える歌を紹介してきた『みんなのうた』。長寿番組ゆえに世代によって想い入れのある曲はさまざまだろう。
「2幕のアタマで、有名な曲のメドレーをゾンビたちが歌って踊る場面があって、そこに入れる歌はスタッフやNHKエンタープライズの担当プロデューサーとも話し合いながら幅広い年代から選曲しました。ですが、ほかは私自身の世代が色濃く反映されています。『アップル パップル プリンセス』(1981年)や『コンピューターおばあちゃん』(1981年)は未就学児の頃に聴いていた曲で、メロディが私の人生にすり込まれています。『ヤミヤミ』(2012年)は大好きなバンド『相対性理論』のやくしまるえつこさんの曲でもあるし、物語の世界観とぴったり合うのでぜひ使いたかった。そしてSEKAI NO OWARIの『プレゼント』(2015年)は最近の曲も入れたいなと思って探していた時に、この歌詞はまさに本作の大団円にぴったりではないかと思って、その不思議な巡り合わせに驚きながら、フィナーレのイメージがどんどん固まっていきました」
キャストは主役のノノ(髙橋ひかる、熊谷彩春)とショウ(石井杏奈、伊藤理々杏)がそれぞれWキャスト。その他、ゾンビの親分役のコング桑田など実力派が勢揃い。
「髙橋ひかるさんのノノは等身大で親しみやすい。ノノって劇中でいろんな決断を迫られるキャラクターなのですが、そんな彼女の心情を髙橋さんはとても細やかに演じてくれています。一方で熊谷さんのノノは天真爛漫に森の中を駆け回るようなイメージ。みんなに愛される末っ子キャラそのものだからこそ、時に強すぎるメッセージであってもやさしく届けてくれる。二人のノノと二人のショウ、それぞれの組み合わせで違うケミストリー(化学反応)が生まれるので、どの回も楽しみです。そして“親分”は凄い存在感で、コングさんがひとつ言葉を発しただけで笑いが起こるし緊張感も高まるんです」
ゾンビと人間という分断された世界で、両者がいかにして相手を知ろうとし、認め合えるかという本作のテーマは、今の現実社会で起きている問題とも期せずしてリンクしているかもしれない。
「大人の方なら、そういう議論を深めるきっかけになるかもしれませんね。一方で子どもたちにとってはもっと身近な問題で、『学校でいつも自分に何かと突っかかってくる子がいる』とか、『何であの子とうまくいかないんだろう、わかりあえないんだろう』っていう時に、ノノのようにとにかく他者の話に耳を傾けて、相手のことをとことん理解することの大切さを思い出してもらえたら嬉しいですね」
猛暑が予想される2022年の夏。8月は親子で涼しい劇場におでかけして、一緒に夢の世界を旅してみては?
会場:日生劇場(東京都千代田区有楽町1-1-1)
開演日:8月6日(土)、7日(日)
時間:10:30/14:30
開演日:8月20日(土)、21日(日)23日(火)、24日(水)25日(木)、27日(土)、28日(日)
時間:公演日によって異なりますので、オフィシャルサイトでご確認ください。
※本作品は日生劇場での公演のほか、千葉、兵庫、大分、岩手、大阪でも公演が行われます。
オフィシャルサイトはこちら
文/ 東端哲也
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