Web音遊人(みゅーじん)

新妻聖子さんインタビュー - Web音遊人

「これが新妻聖子?」と思わせる声質と表現にこだわった、新たな挑戦/新妻聖子インタビュー

ミュージカル界きっての歌姫であり、多岐に渡っての活躍が目覚ましい新妻聖子。舞台やテレビ番組などで、そのパフォーマンスに釘づけになった方も多いのではないだろうか。ますます注目を集める新妻だが、2017年7月12日、シンガーソングライター・さかいゆうプロデュースによる『アライブ』とNHK「みんなのうた」でオンエア中の『天地(あめつち)の声』両A面シングルをリリース。新妻が生み出す新たな世界が、またもや心を捉えて離さない。

都会的でポップなセンスをもつさかいゆうと豊かな表現力と力強く美しい歌声で人々を魅了する新妻聖子。そんな珠玉のコラボレーションによって誕生したのが新作『アライブ』だ。
「新妻聖子+ポップスの方程式で曲を作るとどうなるのか、ずっと試してみたくて。それをポップスの最先端シーンで活躍しているさかいさんがプロデュースしてくださるのであれば、新しい新妻聖子の解釈を引き出してもらえるはずだという期待があり、本当に楽しみでした」その言葉通り、今回のニューシングルで新妻はまた新しい一面を見せる。たとえばAメロの歌い出し。「これが新妻聖子?」と思わせる声質と表現にこだわった。
「私が歩んできた道のりが見えるようなポップスにしたい。逸脱するところは大胆に逸脱し、でも本来のところに帰る、みたいな。寄せては返す波のような歌唱を目指しました」
『アライブ』は、alive(今生きている現状)とarrive(到着点、目指す先)のふたつの意味が込められた、いわば人生ソングだ。楽曲提供は受けたものの、歌詞がもつポジティブなメッセージや世界観が自分にぴったりハマり、自らの言葉として表現できたという。

新妻聖子さんインタビュー - Web音遊人

歌手になりたいという淡い夢を抱いていた少女時代。父親の仕事の関係で過ごしたバンコクから帰国した後は、オーディションを受けてもうまく行かずに、厳しい現実に直面することになる。自分は原石のままでは、この先音楽業界で求められることはない。一時はどん底に突き落とされたが、そこで新妻は“芸を磨くしか道はないこと”に気付いたという。
「私は若いときから脚光を浴びたわけではないけれど、ここまで一歩一歩地道に歩いてきました。うさぎと亀でいうと亀だと思っています。歌詞のなかにある“遠回り”という表現も自分に合っていますね。その道のりがなければ今の自分はいないし、それはとても愛おしい道だと思っています」
一方で、歌は聴き手が育ててくれるものだと新妻は考えている。
「だから、お客さまがこの曲の到着点を示唆してくれると思っています」
『アライブ』が、今後どんな曲に成長していくのか、期待大だ。

同時リリースの『天地の声』は、新妻が創り出す神秘的で壮大な世界観が存分に味わえる楽曲に仕上がっている。天地(あめつち)とは、天と地の間にあるもののすべて。
「神聖な気持ちで歌いました。最初のアカペラのかけ合いは、早朝の森の中で生命がまだ目を覚ます前の時間に命のやり取りが行われているような雰囲気の声にしたいな、と」
新妻にしか生み出せない世界は、ミュージカルによって培われたものだ。ミュージカル俳優は、ときに人間ではない役を演じることもある。
「いろいろな役をやってきた経験が、人間ではない目線から歌を表現するときにすごく役立っていますね」
新妻の魅力のひとつである豊かな表現力がいかんなく発揮された楽曲に、引き込まれずにはいられない。

2016年に引き続き、2017年も行われる全国コンサートツアーも楽しみだ。
今、もっとも生でその歌声が聴きたいアーティスト。そんな呼び声が高い新妻だが、「全国にそんなに私の声を聴きに来てくださる方がいるのが、未だ信じられなくて」と笑う。
舞台に育てられた新妻にとって、ステージで生の歌を聴いてもらうことは大きな励みになる。また、聴き手に喜んでもらうことを何より大事にするのは、決してぶれることのない新妻のスタンスだ。
「聴きたいと思ってくださる方がいることはめちゃくちゃ嬉しいですし、足を運んでくださる方を絶対にがっかりさせたくないですね。ワンステージ、ワンステージ自分が納得のいくレベルで準備し、当日はとにかく楽しんでいただければと思います」

■アルバムインフォメーション

『アライブ』/『天地(あめつち)の声』(両A面シングル)
新妻聖子さんインタビュー - Web音遊人
発売元:ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:2017年7月12日
価格:初回限定盤 1,944円/通常盤 1,296円(いずれも税込)

詳細はこちら

■新妻聖子コンサートツアー2017

Bunkamuraオーチャードホール〈東京/11月14日(火)、15日(水)〉ほか、全国各地で開催。

詳細はこちら

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:七海ひろきさん「声優の仕事をするようになって、日常の中の音に耳を傾けるようになりました」

12557views

音楽ライターの眼

指揮界の革命児、クルレンツィスがベートーヴェン・イヤーに放つ衝撃的な「運命」

4565views

ピアニカ

楽器探訪 Anothertake

ピアニカを進化させる「クリップ」が誕生

17131views

サクソフォンの選び方と扱い方について

楽器のあれこれQ&A

これからはじめる方必見!サクソフォンの選び方と扱い方について

57919views

桑原あい

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目の若きジャズピアニスト桑原あいがバイオリンの体験レッスンに挑戦!

15649views

出演アーティストの発掘からライブ制作までを一手に担う/ジャズクラブのブッキング・制作の仕事 (前編)

オトノ仕事人

出演アーティストの発掘からライブ制作までを一手に担う/ジャズクラブのブッキング・制作の仕事 (前編)

18064views

ザ・シンフォニーホール

ホール自慢を聞きましょう

歴史と伝統、風格を受け継ぐクラシック音楽専用ホール/ザ・シンフォニーホール

24771views

こどもと楽しむMusicナビ

“アートなイキモノ”に触れるオーケストラ・コンサート&ワークショップ/子どもたちと芸術家の出あう街

7055views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

世界に一台しかない貴重なピアノを所蔵「武蔵野音楽大学楽器博物館」

22909views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:仕事もバンドも、常に真剣勝負!

9820views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

クラス分けもまた楽しみ、レッスン通いスタート

4939views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

10371views

大人の楽器練習機

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:世界的ピアニスト上原彩子がチェロ1日体験レッスン

17540views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

民族音楽学者・小泉文夫の息づかいを感じるコレクション

10359views

音楽ライターの眼

ホールの空間を広げるピリオド楽器の“怪”と“快”/珠玉のリサイタル&室内楽 ベートーヴェン初期の室内楽 ~鈴木・小倉・岡本が創る新時代の幕開け~

5288views

一瀬忍

オトノ仕事人

ピアノとピアニストの絆を築く、アーティストリレーションの仕事

4059views

ゲッゲロゾリステン

われら音遊人

われら音遊人:“ルールを作らない”ことが楽しく音楽を続ける秘訣

1865views

CP88/73 Series

楽器探訪 Anothertake

ステージで際立つ音色とシンプルな操作性で奏者をサポート!最高のライブパフォーマンスをかなえるステージピアノ「CP88」「CP73」

16304views

ホール自慢を聞きましょう

ウィーンの品格と本格派の音楽を堪能できる大阪の極上空間/いずみホール

7061views

パイドパイパー・ダイアリー Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

あれから40年、おかげさまで「音」をはずさなくなりました

4754views

楽器のあれこれQ&A

きっとためになる!サクソフォンの基礎力と表現力をアップする練習のコツ

19355views

Kitaraあ・ら・かると

こどもと楽しむMusicナビ

子どもも大人も楽しめるコンサート&イベントが盛りだくさん。ピクニック気分で出かけよう!/Kitaraあ・ら・かると

6259views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

30893views