今月の音遊人
今月の音遊人:曽根麻央さん 「音楽は、目に見えないからこそ、立体的なのだと思います」
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憧れの曲を美しく奏でたい!ピアノ演奏者なら誰もがそう思っているはず。でも、思うように手が動かなかったり、疲れてしまったり、練習には壁がつきものです。今回はピアノのレッスンについてのお悩みや疑問にお答えします。
A.まず、無駄な力が入っていると疲れて長時間弾くことができません。「けんしょう炎になりそう!」と悲鳴を上げる初心者の方は少なくありませんが、それは腕がこわばった状態で弾いているから。手首が硬くなってしまうのも、やはり力が入っているためです。指も硬くなるので、うまく動かなくなります。
また、力が入ると強弱をつけにくくなるという面もあります。例えばフォルテは、鍵盤を力いっぱい叩きつけることではありません。ハンマーがきれいに上がるように押してあげるのが、フォルテをきれいに鳴らす方法なのです。
A.指だけで弾こうとすると、どうしても肩にも腕にも力が入ってしまいます。そんなときは、腕の重さを鍵盤にあずけるように弾いてみましょう。地球には重力がありますよね。それをうまく利用するのがコツです。
まず、肩から先、あるいは全身でも構いませんが、できるだけリラックスして力の抜けた状態になってみてください。糸が切れた操り人形のイメージです。そして、誰かに肘と手首の間ぐらいを支えてもらい、腕の重みを全部預けます。
ここで支えを外してもらうと、重力によって腕は自然に下に落ちますよね。これが、本当に力が抜けた状態です。
成人の腕の重量は平均約4~5kgで、ピアノの鍵盤は約50gの重さで沈むと言われています。つまり、重力に任せて腕を下ろすだけで充分音を鳴らせるということ。力は手の形を作るのに必要で、あとは指先をコントロールするだけ。ぜひ、力が抜けた感覚を知ってください。
A.弾きたい曲があるということは、練習のモチベーションをアップさせるうえでも大切なことですよね。
いきなりくじけないためにも、急がば回れ。まずは、片手ずつ練習を。それから、つっかえずに一定の速さで弾けるまでテンポを落として練習しましょう。どんなに難しい曲でも、ゆっくり弾けば怖くありません。そのテンポで弾けるようになったら、メトロノームの目盛りを1ずつ上げていきます。
もう一つ、大事なのは最初から通して弾こうとしないことです。はやく一曲丸々トライしたい気持ちもわかりますが、そうすると途中でつっかえてやめてしまう。その結果、冒頭部分だけがうまくなってしまったというのは、よくある話です。弾けないところから練習する、後ろから練習するなど、楽譜を区切って部分練習してみることをお勧めします。これは練習効率を上げる方法でもあるので、時間があまり取れない方にもいいでしょう。
A.右手が利き手の場合、右手に比べて左手は動きにくく感じますよね。練習をするときには、その分、左手だけの片手練習を多めにする必要があります。その際、優秀なお手本はすぐそばにいます。それは、あなたの右手!右手の形や力の入れ方を見習って、練習してみてください。
『ハノン』を活用するのも手です。右手がきちんと動かせていることを確認したうえで、左手を合わせて動かしましょう。この両手練習は、一定の速さかつ均等な音量で弾けるテンポで行ってください。苦手意識を持っている人も多い『ハノン』ですが、実はいろいろ活用しやすい教材です。アスリートの筋トレのように、基礎力を底上げするのにも役立ってくれますよ。