Web音遊人(みゅーじん)

NU1XA

アコースティックピアノを演奏する喜びをもっと身近に。アバングランド「NU1XA」

アコースティックとデジタルの良いところを融合させたヤマハ ハイブリッドピアノのひとつであるアバングランド。この度モデルチェンジした「NU1XA」は、さらに磨きをかけたタッチと音響システムで自分の音色を奏でたい奏者の想いに応えてくれる。

鍵盤とハンマーのダブルセンサーと新しい音響システムが生み出す臨場感

アコースティックピアノの木製鍵盤とアクションを搭載し、コンパクトながらグランドピアノに迫る演奏感を実現するアバングランド。
2023年11月、4つのモデルを展開するアバングランドの中で唯一アップライトピアノアクションが搭載されたモデルが、「NU1XA」として生まれ変わった(他の3モデル「N3X」「N2」「N1X」はグランドピアノのアクションを搭載している)。アコースティックのアクション機構の一部を見直し、センサーと音響のシステムをアップグレードさせることでさらに繊細な表現ができるようになっている。
今回改良された点のひとつが、打鍵の力をハンマーに伝える“ジャック”と呼ばれる部品の形状。「特にアップライトピアノの場合は、グランドピアノに比べるとアクションの構造上、連打しにくいという特徴があります。そこで連打性と密接に関わるジャックの先端の形状を見直し、同音連打やトリルの弾きやすさを向上させました」と、商品企画を担当する太田哲朗さん。

NU1XA

多くのパーツから成るアップライトピアノのアクション。
今回のモデルチェンジでは、ハンマーを下から押し上げる“ジャック”と呼ばれるパーツの先端の形状を改良。
ハンマーが押し上げられてから元の位置に戻る時間が短くなり、連打がスムーズにできるようになった。

アクションの複雑な動きをふたつのセンサーで読み取る

「NU1XA」のベースはアコースティックピアノだが、音源や音を鳴らす部分はデジタル。ハンマーが弦を打つかわりにセンサーが動きを読み取って、「音源」と「音響システム」が音を響かせる。
奏者のタッチを読み取るセンサーは、従来からのキー(鍵盤)センサーに加えてハンマーにもセンサーを搭載。アコースティックピアノアクションにおいて、必ずしも連動しているわけではない鍵盤とハンマーそれぞれの動きをダブルセンサーで捉えることによって、奏者のタッチをより細かく検出できるようになった。
「ピアノを弾いている奏者は、音の出るタイミングや音の強弱をコントロールしながら多彩な表現を行っており、これらを決めるのが“ 弦を打つ瞬間のハンマーの速さ”です。ハンマーセンサーでハンマーが弦を打つタイミングと速さを緻密に読み取ることで、奏者のタッチの繊細な動きをより正確に捉えられるようになり、アコースティックピアノを弾くのと同じ感覚で演奏することができます」(太田哲朗さん)
なお「NU1XA」はアップライトピアノアクションを搭載しており、ほかのアバングランドのモデルとはアクションの構造が異なるため、独自のハンマーセンサーが一から設計されている。
「88あるハンマーそれぞれの動きを検出しつつも、タッチに影響を与えない非接触式を採用するところはアバングランドのこだわりです。特に『NU1XA』はボディを限りなく薄くコンパクトにしており、小さいサイズのアクションを搭載しているため、限られたスペースに検出能力の高いセンサーをいかにして搭載するかは開発の大きなポイントとなりました」と太田哲朗さんは語る。
さらにセンサーで読み取ったタッチの情報を、どのように音に反映し、奏者のところに返すかが重要となる。「NU1XA」では音響システムを改良し、新たに設計したスピーカーの構造を採用したり音の放射の方向を変えたりすることで、壁の反射音も生かした自然な音の広がりを実現している。
「屋根の下の左右に設置された高音域を鳴らすスピーカー(ツイーター)は、これまでは奏者に向けて音を出していましたが、奏者と壁の二方向に音を出すことで壁の反射も利用した立体的な音響にしています。また低音域を鳴らす鍵盤下の左右のスピーカー(ウーファー)も、奏者の方向に音を出していたのを天井方向に変えることで、奏者を含めてボディ全体を包み込むような音響となっています。その結果、目の前に響板が広がるグランドピアノの音響を再現するシステムとなりました」(太田哲朗さん)

NU1XA

写真左より、商品企画を担当する太田哲朗さん、マーケティングを担当する太田沙織さん。
おふたりをはじめ、普段からピアノを弾くスタッフが多数関わる「NU1XA」の開発。
ヤマハのピアノづくりの知見とノウハウに加えて、ピアノを知り尽くすスタッフの耳と感性が生かされている。

生楽器のタッチと表現力を多くの人に届けたいという思い

アコースティックの要素とデジタル技術を組み合わせたハイブリッドピアノは、アコースティックピアノと電子ピアノのスタッフが部署の垣根を越えて開発を行っている。互いの知見、ノウハウが生かされているが、開発の最終段階では「アコースティックピアノの音、響きになっているか」という指標をもとに細部の仕様が決められていったという。
また音源の部分はデジタルだが、鍵盤とアクションはアコースティックで、アクションだけで約5,000のパーツがある。それらが正確に動くよう、ヤマハが長年培ってきたアコースティックピアノ製造技術を生かして、技術者がひとつひとつ丁寧に調整を行っている。
マーケティングを担当する太田沙織さんが教えてくれた。
「アバングランドはアコースティックピアノそのままの弾き心地で演奏でき、中でも『NU1XA』はコンパクトかつ軽量です。また音量調節ができ、ピアノに触れる時間を増やすことができますので、ピアノを習っているお子さんの練習用としてはもちろん、趣味としてピアノを弾く大人の方にもおすすめです。ピアノといっても幅広い選択肢がありますが、アコースティックピアノのタッチで弾きたいけれど、音量を出せる時間が極端に限られる方、サイズが大きく重量のあるピアノは自宅に置けないという方は、ぜひアバングランドをご検討いただきたいです」
その時代のライフスタイルに合ったさまざまなピアノを生み出してきたヤマハ。住環境のスペースは限られるが、NU1XA」はアコースティックのピアノのタッチで演奏する醍醐味と、自分の音楽を表現する楽しみを与えてくれる。

NU1XA

(写真左)コンパクトで薄型なボディながら、流線型の脚でピアノの優美さを表現。
(写真右)蓋を開けると鍵盤と奏者の手が映る鏡面は、グランドピアノを弾いているかのような感覚を味わってほしいという願いが込められている。

奏者の想いを音につなげるアバングランドのシステム

NU1XA


2023 Yamaha AvantGrand NU1XA Promotional Video_vol.3

■NU1XA

NU1XA
アバングランドの中で最も小型なサイズながら、本物のアップライトピアノ鍵盤アクションを搭載し本格的な演奏感を実現させたモデル。

詳細はこちら

facebook

twitter

特集

今月の音遊人:大西順子さん「ライブでは、練習で考えたことも悩んだことも全部捨てて自分を解放しています」

今月の音遊人

今月の音遊人:大西順子さん「ライブでは、練習で考えたことも悩んだことも全部捨てて自分を解放しています」

12057views

バーニー・トーメ

音楽ライターの眼

バーニー・トーメのCD4枚組アンソロジー発売。ハード・ロックとパンクの“カッコ良さ”を体現したギタリスト

1160views

NU1XA

楽器探訪 Anothertake

アコースティックピアノを演奏する喜びをもっと身近に。アバングランド「NU1XA」

2879views

楽器のあれこれQ&A

ウクレレを始めてみたい!初心者が知りたいあれこれ5つ

4913views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目のピアノデュオ鍵盤男子の二人がチェロに挑戦!

8423views

調律師 曽我紀之

オトノ仕事人

演奏者が望むことを的確に捉え、ピアノを最高のコンディションに整える/コンサートチューナーの仕事

3779views

サントリーホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

クラシック音楽の殿堂として憧れのホールであり続ける/サントリーホール 大ホール

22677views

日生劇場ファミリーフェスティヴァル

こどもと楽しむMusicナビ

夏休みは、ダンス×人形劇やミュージカルなど心躍る舞台にドキドキ、ワクワクしよう!/日生劇場ファミリーフェスティヴァル2022

3094views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

民族音楽学者・小泉文夫の息づかいを感じるコレクション

10191views

われら音遊人ー021Hアンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:元クラスメイトだけで結成。あのころも今も、同じ思いを共有!

5128views

山口正介さん Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

いまやサクソフォンは趣味となったが、最初は映画音楽だった

6816views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

10147views

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ギタリスト木村大とピアニスト榊原大がトランペットに挑戦!

7337views

ギター文化館

楽器博物館探訪

19世紀スペインの至宝級ギターを所蔵する「ギター文化館」

14939views

音楽ライターの眼

ブルースの伝統を未来へと受け継ぐ2大アーティスト、クリストーン・“キングフィッシュ”・イングラム&セバスチャン・レイン

9725views

ホールのクラシック公演を企画して地域の文化に貢献する/音楽学芸員の仕事

オトノ仕事人

アーティストとお客様とをマッチングさせ、コンサートという形で幸福な時間を演出する/音楽学芸員の仕事

11992views

横浜レンタル倉庫(YRS)

われら音遊人

われら音遊人:目指すはフェス! 楽しみ、楽しませ、さらなる高みへ

1626views

CLP-600シリーズ

楽器探訪 Anothertake

強弱も連打も思いのままに、グランドピアノに迫る弾き心地の電子ピアノ クラビノーバ「CLP-600シリーズ」

44773views

東広島芸術文化ホール くらら - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

繊細なピアニシモも隅々まで響く至福の音響空間/東広島芸術文化ホール くらら

13554views

パイドパイパー・ダイアリー Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

楽器は人前で演奏してこそ、上達していくものなのだろう

8206views

楽器のメンテナンス

楽器のあれこれQ&A

大切に長く使うために、屋外で楽器を使うときに気をつけることは?

54181views

こどもと楽しむMusicナビ

親子で参加!“アートで話そう”をテーマにしたオーケストラコンサート&ワークショップ/第16回 子どもたちと芸術家の出あう街

5486views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

25415views