今月の音遊人
今月の音遊人:仲道郁代さん「多様性こそが音楽の素晴らしさ、私自身もまだまだ変化していきます」
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河内音頭発祥の地とされる大阪府八尾市で「八尾=河内音頭のイメージに、新しい魅力をプラスしたい」。こんな壮大(?)な意図のもと、結成されたのが「河内トロピカルジャズオーケストラ(KTJO)」だ。
バンドマスターの橋田正和さんは、学生時代はバンド、社会人になって家庭を持ってからは地元の八尾でジャズセッションと、音楽活動を続けてきた。そして2007年に地元の市民祭りにジャズバンドとして参加した際、あることに気が付いた。「河内といえば河内音頭が有名だけれど、この陽気な気質はラテンにも合うのでは……」
八尾にボサノバやジャズの場を広めたいと思っていた橋田さんは、ひとり密かに〝河内ラテン化計画〞をスタート。まず、同年夏の野外イベントに7人編成のラテンセッションバンドを組んで参加した。このとき耳にしたのが「熱帯JAZZ楽団の曲をやりたい」という声。そこでラテンビッグバンドを組もうと、インターネットコミュニティの中に「河内ラテンビッグバンド準備会」を立ち上げ、1年ほどかけてメンバーを募った。バンド名も参加者で話し合い、「河内にラテンのイメージを入れたい」と「河内トロピカルジャズオーケストラ」に決定。八尾の「八」にもかけて2008年8月8日に活動を開始した。
メンバーは20人。吹奏楽やビッグバンドの経験者が主だが、なかにはこのバンドのために、楽器を習ってから参加したという人も。「ジャズは自由にできる部分が多くて、リラックスして楽しめます。さらにラテンのリズム独特のスウィング感がおもしろく、演奏を追究する中で続いてきました」と話すトランペット担当の松尾勉さんは、ジャズのビッグバンドは初参加だ。
結成して8年。大所帯のバンドを長くまとめるのはさぞかし大変だろうと思われるが、運営のコツは「話し合うこと」と橋田さんは言う。「毎月の練習日、イベントのセットリスト、新しい曲など、すべてみんなで相談しながら決めてきました。そして無理のない範囲でというのが長続きの秘訣です」
メンバーは年齢も環境もさまざまだ。妊娠中に参加を決めたというトロンボーン担当の大原礼子さんは、「そろそろ音楽をやりたいと思っていたときに、この活動を知りました。練習に子どもを連れてくる人もいるし、誰でも参加しやすいんです」と、バンド活動を楽しんでいる。
ライブはジャズフェスティバルへの参加や単独ライブなど、年3回ほど。2008年から参加している東大阪市のジャズフェス「鴻池ジャズストリート」は、主催者から招待されての参加で好評を得ている。また「メンバーがそれぞれの地元でイベントやライブができる場所の情報を集めて活動を広げています」と、アルトサクソフォンとパーカッション担当の野村美智子さん。
近年は、「河内さんといえばトロピカル」と言われるなど、知名度も上がってきた。熱帯JAZZ楽団の楽曲が中心という〝ラテンな〞レパートリーはもちろんのこと、メンバーのノリの良さもウケている。加えて河内音頭のお膝元だけにお客さんもノリノリ。踊りだす人もいるほどだ。「八尾は吹奏楽も盛んで、音楽が親しまれているところ。この地を〝ラテンの拠点〞としても盛り上げていきたいですね」
橋田さんが描いた〝河内ラテン化計画〞はますます加速している。
●バンド名:河内トロピカルジャズオーケストラ
●結成日:2008年8月8日
●モットー:ラテン音楽の楽しさを、多くの人に知ってもらう。
●練習頻度:全体練習は月1回、パート練習はそれぞれで行う。
●平均年齢:40歳
●メンバー:野口武司(アルトサクソフォン) 谷口善章(アルトサクソフォン) 野村美智子 (アルトサクソフォン、パーカッション) 朝日麻衣(テナーサクソフォン) 林彰子(バリトンサクソフォン) 太田洵也(トロンボーン) 大原礼子(トロンボーン) 岡あゆみ(トロンボーン) 細川晃平(バストロンボーン)松尾勉(トランペット)風友明(トランペット) 岡田秋彦(トランペット) 堀越良一(トランペット) 駒井陽子(ピアノ) 堀田満(ベース) 高橋壽一(コンガ) 大本良明(ボンゴ) 立谷桂(パーカッション) 宮代理佐(ボーカル) 橋田正和(ドラム)
●活動内容:年3回ほど、八尾市文化会館プリズムホールや市役所、イタリアンレストランなどでライブを行う。地域の音楽フェスティバルにも参加。
文/ 佐藤雅子
photo/ 村川荘兵衛
tagged: アマチュアミュージシャン, われら音遊人, ビッグバンド
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