今月の音遊人
今月の音遊人:反田恭平さん「半音進行が使われている曲にハマります」
16538views
2015年4月に開館20周年を迎えた浜松市楽器博物館。全国から来場者が訪れ、リピーターも多い人気の秘密を、館長の嶋和彦さんにお話をうかがいながら探っていきましょう。
浜松市楽器博物館のすごさのひとつは、1300点におよぶ世界の国・地域の楽器があるところ。
「『世界中の楽器を平等に展示して紹介する』ことをコンセプトとしているため、西洋楽器だけでなく、日本を含むアジア、アフリカ、オセアニアなどの、ほかでは見られない楽器を数多く展示しているのが特長です」
入り口をくぐり目の前にどーんと構えるのは、金色に光るミャンマーのサイン・ワインという打楽器。日本ではここでしか見られないものだとか。
「それから、インドネシアのガムランも自慢のひとつでしょうか。ガムラン自体はほかでも見られますが、ジャワ島の青銅のガムラン、バリ島の青銅のガムラン、ジェゴグというバリ島の竹のガムラン、この3つがセットで揃っているのは世界でもここだけだと思います」
嶋館長によると、同楽器博物館が現在の形になったのは2006年の展示増床リニューアルオープン後。1995年4月の開館時は西洋と日本の楽器でスタートし、その後10年かけて、それ以外の国・地域の楽器をコツコツ収集していったといいます。
「市場に出回らない楽器も多く、収集は困難を極めました。例えばパプアニューギニアのある村で使われる儀式用の太鼓は、仲買人を通して村人から購入しましたが、大型なので運搬が大変ですし、村人は領収書もくれません(笑)。苦労したエピソードを挙げたらきりがありません」
西洋楽器のコレクションも見逃せません。管楽器は18~19世紀のものを中心に、バルブのないナチュラル・ホルン&トランペットや、トロンボーンの基になったとされるスライド・トランペットなど、古い様式の楽器を見ることができます。
また鍵盤楽器のコーナーには、ピアノの先祖といわれるチェンバロ、クラヴィコードから現代のピアノまでがずらり。なかでも、現代のピアノを発明したクリストフォリをはじめ、ブロードウッド、ワルターなど、19世紀の名工たちのフォルテピアノ(またはその復元品)は世界的にも貴重なコレクション。主要な楽器の横にはアクション模型が置かれ動かすことができるので、音が鳴る仕組みや、音の違いを比較できるのも面白いところです。
洋楽器産業発祥の地・浜松ならではの国産洋楽器のコーナーと、2010年に開設した電子楽器のコーナーも見どころのひとつ。リードオルガン、ハモンドオルガン、電子オルガンなどのオルガン類や、シンセサイザー、エレキギター、リズムマシンなどの時代を代表するモデルが展示されており、思わず「懐かしい!」「子どものころ弾いてた!」と笑顔になる人も少なくないはず。
浜松市楽器博物館のすごさはまだまだ続きます。