Web音遊人(みゅーじん)

きっとためになる!サクソフォンの基礎力と表現力をアップする練習のコツ

金管楽器に比べ、初心者でも音が鳴りやすいサクソフォン。でも基礎をしっかり身につけておくことで、その先の表現力にもぐっと差が出てきます。今回はサクソフォンの練習についてのお悩みにお答えします。

Q1. サクソフォンを吹くと下唇が痛くなってしまうのですが、解消法はありますか?

A. 考えられる原因は、マウスピースを上下の歯で噛み過ぎていることです。マウスピースをくわえると、多くの方は無意識のうちに噛んでしまうと思います。でも、「サクソフォンは上の歯である程度固定し、下顎はリラックスして吹くもの」。これが原則です。下唇はリードに触れているぐらいのイメージです。なぜなら、サクソフォンの表現の要は下顎にあると言っても過言ではないからです。音を曲げたり、ビブラートをかけたりとニュアンスを与えるのは下顎の役目。いかに下顎の力を抜くかが重要なポイントとなります。
下顎の力を抜く方法のひとつは、上下の奥歯をふだんより1ミリ開くように意識すること。そうすれば、自然と口の前側も開き、下顎がリラックスした状態をつくることができます。

Q2. 大きな音が出るサクソフォンの練習は家ではなかなかできません。楽器を使わずにできることはありますか?

A. サクソフォンは、体の使い方がとても大切。そして、ベースとなる体づくりは楽器を持たなくてもできます。Q1の回答で下顎のリラックスが必要だとお伝えしましたが、舌も意識してみてください。付け根が下がって楽な状態になり、舌先は上にアーチしているのが理想です。と言葉で言っても、なかなか難しいかもしれませんね。そんな時は、まずは声を出して最もよく響くポジションを見つけてみましょう。なぜ響いているかといえば、抵抗が少ないから。それが、舌の付け根が楽になっている状態です。そして、そのリラックス感は指の操りにもつながります。
もうひとつ、大事なのがブレスです。深いブレスを実感するには、四つん這い、あるいは立って前かがみになり、肺が下に広がりやすいポジションを作って呼吸してみてください(腹式呼吸といいます)。その時のブレスを意識して、ネックだけで練習してみるのもいいでしょう。吹く時に顎や舌がリラックスしていて、肺から空気が垂直に上っていく。その感覚をつかむ練習は、実際に演奏するときに大いに役立ちます。

Q3. 指がうまく回らず、テンポが遅くなってしまうのですが、どうしたらいいですか?

A. サクソフォンのキーの可動域は、1cmほどしかありません。にもかかわらず、キーを押しこみ過ぎたり離し過ぎたりすると指が回りにくくなってしまうのです。
その対策としては、キーをゆっくり押し、ゆっくり離す練習が有効です。キーをゆっくり押すと、あるところまで押し返されるような反発があります。キーと本体がかちっと触れ合った瞬間も指で感じるはずです。押すのはここまで。そして、今度はキーの可動域分だけゆっくり離してください。このとき、余計な力が入らないよう意識してください。

Q4. もっと響きのある音を出したいです。表現力を身につけるためには、どんな練習をしたらよいですか?

A. サクソフォンは人間の声にいちばん近いとされ、歌うように吹くことができる楽器です。息のスピード感や圧力と、下唇や舌のポジションをコントロールすることで、表現の幅はぐっと広くなります。
それを身につけるためには、「いー」「えー」「おー」などと発音するようにして舌の位置を変えるアプローチもひとつの手。また、好きなサクソフォン奏者やボーカリストの曲を練習してみるのもいいでしょう。ここは感情がこもって音圧・音量がある感じ、優しく開放されている感じ……といった微妙な変化を聴き取り、その表現を真似してみることは、息のコントロールにつながります。いわゆる“棒吹き”ではない、歌うような表現力を手に入れてください。

協力:ヤマハ大人の音楽レッスン 佐藤渉講師

楽器に関する疑問・質問大募集!

音楽情報誌「音遊人」とWebマガジン「Web音遊人」では、楽器に関する疑問や質問を募集しています。ぜひ、お聞かせください!
詳細はこちら

特集

児玉桃

今月の音遊人

今月の音遊人:児玉桃さん「音楽は景色、温度、色彩、時間など多彩な要素を描き出すことができ、それを聴いた人たちと気持ちを分かち合うことができる」

1931views

音楽ライターの眼

ブリティッシュ・ロックの神ドラマー、ビル・ブルーフォードの1970年代の2作品がリミックス再発

4828views

楽器探訪 Anothertake

新開発の音響システムが表現力のカナメ。管楽器の可能性を広げる「デジタルサックス」

5260views

楽器のあれこれQ&A

初心者必見!トランペットをうまく鳴らすコツと練習方法

137013views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:独特の世界観を表現する姉妹のピアノ連弾ボーカルユニットKitriがフルートに挑戦!

5629views

オペラ劇場の音楽スタッフの仕事 - Web音遊人

オトノ仕事人

稽古から本番まで指揮者や歌手をフォローし、オペラの音楽を作り上げる/オペラ劇場の音楽スタッフの仕事(前編)

33928views

武満徹の思い「未来への窓」をコンセプトに個性的な公演を/東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル

ホール自慢を聞きましょう

武満徹の思い「未来への窓」をコンセプトに個性的な公演を/東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアル

17239views

こどもと楽しむMusicナビ

親子で参加!“アートで話そう”をテーマにしたオーケストラコンサート&ワークショップ/第16回 子どもたちと芸術家の出あう街

6493views

ギター文化館

楽器博物館探訪

19世紀スペインの至宝級ギターを所蔵する「ギター文化館」

16830views

われら音遊人

われら音遊人:アンサンブルを大切に奏でる皆が歌って踊れるハードロック!

6041views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

クラス分けもまた楽しみ、レッスン通いスタート

5484views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

11811views

大人の楽器練習記:クラシック・サクソフォン界の若き偉才、上野耕平がチェロの体験レッスンに挑戦

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:クラシック・サクソフォン界の若き偉才、上野耕平がチェロの体験レッスンに挑戦

13221views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

見るだけでなく、楽器の音を聴くこともできる!

15553views

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase30)フォーレ「ピアノ四重奏曲第2番」、レクイエムへのアルペジオ、センチメンタルな陽水

音楽ライターの眼

【クラシック名曲 ポップにシン・発見】(Phase30)フォーレ「ピアノ四重奏曲第2番」、レクイエムへのアルペジオ、センチメンタルな陽水

1842views

オトノ仕事人

オーダーメイドで楽譜を作り、作・編曲家から奏者に楽譜を届ける/プロミュージシャン用の楽譜を制作する仕事

20719views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:バンドサークルのような活動スタイルだから、初心者も経験者も、皆がライブハウスのステージに立てる!

9011views

NU1XA

楽器探訪 Anothertake

アコースティックピアノを演奏する喜びをもっと身近に。アバングランド「NU1XA」

4645views

荘銀タクト鶴岡

ホール自慢を聞きましょう

ステージと客席の一体感と、自然で明快な音が味わえるホール/荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館)

14274views

山口正介 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

この感覚を体験すると「音楽がやみつきになる」

9390views

楽器のあれこれQ&A

初心者必見!トランペットをうまく鳴らすコツと練習方法

137013views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

8746views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

11811views