今月の音遊人
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炭鉱跡地の音楽祭「Colours of Ostrava —黒い町の彩り」
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2014.10.1
tagged: ボビー・マクファーリン, ZAZ, ロバート・プラント, オストラヴァ, チェコ, Colours of Ostrava, 炭鉱, 野外フェスティバル
夏は野外フェスティバルの季節である。チェコも大都市から小さな町まで、毎週のように音楽祭が開かれるが、中でも最大規模なのはオストラヴァの“Colours of Ostrava”。2002年から始まったこのフェスティバルは毎年7月に4日連続で開催され、既に13回目を数える。それまで市中心部の広場等が会場だったが、2年前から少し外れた広大な炭鉱跡地に引っ越して開催されている。
チェコ第三の都市・オストラヴァは19世紀から鉄鋼業を中心に栄え、1990年代に最後の炭鉱が閉鎖されるまで国の経済を支えた。炭鉱=黒い、汚いというネガティブな面で語られることも多く、どちらかというと偏見の目で見られがちだったのだが、それを逆手に取り「オストラヴァ(黒い町)の色」という名称を付けたのは、ブラック・ジョーク好きなチェコ人ならではといえそうだ。規模も年々拡大し、チェコの著名人のみならずボビー・マクファーリンやZAZ、ロバート・プラントなど世界中から著名な音楽家を招いており、初のチェコ公演が首都プラハではなくここオストラヴァという音楽家も多い。
炭鉱跡地と世界的なビッグ・ネームという組み合わせの妙に惹かれて、この音楽祭に観客として参加するのは今年で2回目。背景には錆びだらけの巨大なパイプや古いレンガの工場跡が並び、熱気に溢れた人の波と、人気の観光地とは言い難い町に響く外国人の声、これらすべてが異質に見え、独特の高揚感に満たされた。今年は屋外・屋内合わせて15のステージで開催され、来場者数は過去最高の4万人超えを達成。人口比で見た場合、日本で言えば約50万人が来場したことになる。
会場の炭鉱跡地は現在博物館になっており、国の文化財、またヨーロッパの文化遺産に登録されている。石炭が発見され、国内外から職を求めて大勢がこの町に移住してから約200年、時代の変化とともに静かにその役目を終えた炭鉱に代わり、このフェスが新しい町おこしの起爆剤となるよう願わずにはいられない。
文/ 竹林敦子
photo/ Matyáš Theuer、竹林敦子
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