Web音遊人(みゅーじん)

自分も世界もまるごと大きな愛で包み込む/AIインタビュー

すべてを包み込むようなソウルフルな歌声を持つシンガー、AI(あい)。彼女の声を聴くだけで、歌う姿を見るだけで、勇気づけられたり、ポジティブな気持ちになったりする方も多いことだろう。2020年にデビュー20周年を迎え、ミニアルバムのシリーズ第1弾『IT’S ALL ME‐Vol.1』が7月にリリースされる予定だが、あらゆる境界線(ボーダー)を超え、ますます自由に羽ばたくAIの「いま」を詰め込んだカラフルな作品集となっている。

「私は好きな曲のテイストがバラバラで、やんちゃな曲からバラードまでいろいろ歌ってきましたし、明るい曲も好きだけど暗い曲も好き、といったように、どれかひとつに絞れない自分がいて……。でも、どれかひとつに絞ってしまうのもかえって自分らしくないと思って、あれもこれも全部自分という意味を込めて『IT’S ALL ME』というタイトルをつけました。それと同時に、これを聴いてくれる人たちに向けて、「あなた自身を大事にしてほしい」というメッセージを込めたものでもあります。自分のこんな部分を見せたら嫌われるかなと思ったり、自分がイヤで仕方ないこともあるけれど、それも含めてあなたなんだよって。そんな自分を愛してほしいなと」

世界的なヒットチューンを手がけるプロデューサーとのコラボレーション、ロサンゼルスや台湾でのレコーディングなど、収録曲はいずれも国際色豊かだが、なかでも『Kokoro』制作時のエピソードが印象的だ。

「ドミニカ共和国出身のジェン・モレルというラッパーと彼女の弟、そしてプロデューサーの3人に会い、ロサンゼルスのスタジオで録音したのですが、曲のコンセプトを話しているうちに、日本語の“Kokoro(心)”という言葉が、ドミニカでは“仲間、大切な場所”という意味だということが偶然わかったんです。“これだ!”という感じでタイトルが決まりました。それから私以外の3人はスペイン語が話せるので、私もちょっとスペイン語で歌ってみることに。英語と日本語以外の言葉で歌ったのははじめてでしたが、ジェンに何回も繰り返し発音を教えてもらって、もう大丈夫だと思えるところまで練習しました」

AI -「Summer Magic」Music Video

また『Summer Magic』は、南国のテイストが心地よいサマー・チューンだが、AIにとって「音もメロディーラインもいままでにない感じ」だったという。
「ここまで陽気な曲は、これまで意外とありませんでした。きれいで壮大でハッピーという曲はあるのですが。それから、私にしてはちょっと珍しいラブソングでもあります。私の歌詞って、恋愛よりも“大きな愛”について歌ったものが多いんですよね。いまはもう結婚して子どももいますし、自分がリアリティを感じる世界にしか入り込めないタイプなので。そういう意味でも、この曲は新鮮でした」

ラブソングといえば、アルバム冒頭の『ギフト』の歌詞は、別れた恋人の幸せを願っているようにもとれるし、離れて暮らす大切な友人への想いともとれる。

「そうなんですよね。この曲はいろんな人が、いろんな自分に当てはめられるように作りました。“どうか今日も あなたが幸せでありますように”という部分は別れたあとの元恋人同士という雰囲気がありますし、“誰に何を言われたってあなたは 私にとって 大切な人だから”という部分は、たとえ相手が悪く言われても、私はこの人を愛しているみたいな、恋人同士の感じもある。それから、私としては自分の娘が結婚したときの気持ちを想像して入れ込んだというのもあります。娘はまだ4歳ですが、そのときを想ってちょっと泣いちゃったり」

AI -「ギフト」Music Video

そして台湾のヒップホップ・グループ、MJ116とコラボレーションし、現地で録音した『You Never Know』には、「世界をひとつに」という大きな愛のメッセージが。
「MJ116のメンバーたちは、同じアジアでも私とは育ってきた環境がまったく違って、話を聞いていて驚くこともたくさんあるのですが、一緒に音楽を作ってみて、やっぱり中身は同じ、思っていることは同じだなっていうのを感じました。これまで台湾に限らず、ラテン系の国々や、アメリカ、ソマリアなど、世界中の人と一緒に音楽をやってきましたが、いつもそうでした。だから、私たちはみんな仲良くできるし、本音で話せば誰だってわかり合えると思うんですよね。『You Never Know』というタイトルは“やってみないとわからない”といった意味ですが、お互いを理解するためには、話してみないとはじまらないという気持ちを込めてつけたものです。世界が平和になってほしい、みんなが仲良く暮らしてほしいというのが、私の一貫したメッセージ。それを音楽で伝えることができたら最高だなと思っています」

AIからのメッセージをしっかり受け止め、日々を生き抜くエネルギーにしていきたい。

AI -「You Never Know feat. MJ116」Music Video

■インフォメーション

アルバム『IT’S ALL ME‐Vol.1』


発売元:ユニバーサルミュージック合同会社
発売日:2020年7月8日
価格:1,600円(税抜)
詳細はこちら

AI 20周年記念TOUR

2020年9月18日東京を皮切りに、全国31か所で開催予定。
詳細はオフィシャルサイトでご確認ください。
オフィシャルサイト

オフィシャルFacebook YouTube公式チャンネル オフィシャルTwitter オフィシャルInstagram
オフィシャルLINE オフィシャルtiktok

特集

前橋汀子

今月の音遊人

今月の音遊人:前橋汀子さん「同じ曲を何千回、何万回演奏しても、つねに新しい発見や見え方があるのです」

3977views

音楽ライターの眼

生誕250年のメモリアルイヤーに、ベートーヴェンの《第9》を改めて聴き直したい

3484views

エレクトーンに新風を吹き込んだ「ステージア」

楽器探訪 Anothertake

エレクトーンに新風を吹き込んだ「ステージア」

25715views

バイオリン

楽器のあれこれQ&A

アコースティックからサイレント、エレクトリックまで多彩なバイオリンを楽しもう!

897views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目の若手サクソフォン奏者 住谷美帆がバイオリンに挑戦!

10695views

オトノ仕事人 ボイストレーナー

オトノ仕事人

歌うときは、体全部が楽器となるように/ボイストレーナーの仕事(前編)

28204views

サラマンカホール(Web音遊人)

ホール自慢を聞きましょう

まるでヨーロッパの教会にいるような雰囲気に包まれるクラシック音楽専用ホール/サラマンカホール

25867views

ズーラシアン・フィル・ハーモニー

こどもと楽しむMusicナビ

スーパープレイヤーの動物たちが繰り広げるステージに親子で夢中!/ズーラシアンブラス

17042views

上野学園大学 楽器展示室

楽器博物館探訪

日本に一台しかない初期のピアノ、タンゲンテンフリューゲルを所有する「上野学園 楽器展示室」

21805views

われら音遊人ー021Hアンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:元クラスメイトだけで結成。あのころも今も、同じ思いを共有!

6675views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

クラス分けもまた楽しみ、レッスン通いスタート

5496views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

35054views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:若き天才ドラマー川口千里がエレキギターに挑戦!

13657views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

13551views

音楽ライターの眼

「ゴルトベルク変奏曲」を弦楽器で聴く歓び

6862views

オトノ仕事人

プラスマイナス0.05ヘルツまで調整する熟練の技/音叉を作る仕事

39628views

ゲッゲロゾリステン

われら音遊人

われら音遊人:“ルールを作らない”ことが楽しく音楽を続ける秘訣

3238views

楽器探訪 - ステージア「ELC-02」

楽器探訪 Anothertake

持ち運び可能なエレクトーン「ELC-02」、自由な発想でカジュアルに遊ぶ

35218views

ホール自慢を聞きましょう

地域に愛される豊かな音楽体験の場として京葉エリアに誕生した室内楽ホール/浦安音楽ホール

13470views

山口正介さん

パイドパイパー・ダイアリー

「自転車を漕ぐように」。これが長時間の演奏に耐える秘訣らしい

6944views

ギター

楽器のあれこれQ&A

ギター初心者のお悩みをズバリ解決!

1966views

こどもと楽しむMusicナビ

親子で参加!“アートで話そう”をテーマにしたオーケストラコンサート&ワークショップ/第16回 子どもたちと芸術家の出あう街

6510views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

11837views